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アメリカ人の心をつかんだ「動くぬいぐるみ」イワヤのおもちゃ

以前の記事で、終戦後、アメリカ占領下にあった頃に海外へ輸出されていた「メイド・イン・オキュパイド・ジャパン」のおもちゃのお話をしました。
 
それらのおもちゃを作っていたメーカーの一つが、いまも続くイワヤ株式会社です。
創業は1923(大正12)年ですから、今年2023年で創業100年となる老舗おもちゃメーカーです。
先日、そんなイワヤさんの資料室へお邪魔して、貴重なおもちゃを見せていただきました。


セルロイド製ゼンマイ玩具メーカーとして創業

イワヤはゼンマイ玩具のメーカーとして1923年に創業しました。当初はセルロイドを使ったゼンマイ仕掛けのおもちゃを作っていましたが、セルロイドは燃えやすくて危険なため、布帛(ふはく)を使ったおもちゃ作りへと移行していきました。

犬に追いかけられる赤ちゃんの人形。セルロイド製です。

日本でも有名な「コパトーン」のポスターで、女の子が犬に水着を引っ張られているイラストがありますね。そのイラストのモデルになったおもちゃだと言われています。

パッケージのイラストの方が似ているかな?

ちなみに、このおもちゃにはメーカー名として「アルプス」と書かれていますが、製造していたのはイワヤでした。
イワヤは他にも野村トーイ、バンダイなど多くのメーカーのおもちゃを作る製造工場でしたが、後に自社ブランドのおもちゃを作るようになりました。

まるで動くぬいぐるみ、布帛(ふはく)を使ったおもちゃ

布帛のおもちゃは、動くぬいぐるみのようなおもちゃ、と言ったら、わかりやすいでしょうか。
例えば、ミルクを飲むうさぎ。ゼンマイを巻くと、ミルクを注いで飲みます。

このあと、コップを持ち上げて飲む動作をします

後ろ足で立ち上がってくるくる回る犬。

後には、人気者ブースカのおもちゃも。

さらには現在まで続くロングセラー、たいこを叩いて笛を吹く、こぐまのトンピーも、こうした流れで生まれたおもちゃです。

アメリカ映画にも影響が?イワヤのおもちゃ

メイド・イン・オキュパイド・ジャパンのおもちゃの中でもよく知られているのが、「猿のジョッコー」です。
1951年からアメリカで販売され、大評判となりました。「ジョッコー」というのは、当時アメリカのカーレースで優勝したレーサーが運転席に乗せたことで話題になった猿の名前からつけらました。
大ヒットとなったこのジョッコーは、映画『理由なき反抗』の冒頭シーンで、ジェームズ・ディーンとも共演しているそうです。

そのシーンがこちら。イワヤさんのエントランスに飾られていました

このように、アメリカで大人気だったメイド・イン・オキュパイド・ジャパンのおもちゃは、現在でもコレクターが多く、さまざまなところで影響を与えているようです。
 
たとえば、この車のおもちゃですが、バットマンに出てくる「バットマンカー」にデザインが似ているような気がしませんか?

また、お化け屋敷のおもちゃのパッケージですが、映画『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の世界を思い出させるような・・・?

イワヤの100周年記念サイトでは、会社の歴史や歴代のおもちゃなどが紹介されていて、とても興味深いです。ご興味のある方はご覧くださいね。


昭和27(1952)年から55年間続いたおもちゃ屋「さくらトイス」の思い出話を毎月更新しています。こちらもぜひご覧くださいね。

編集協力:小窓舎


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