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フェミニズム記事はなぜ女性負担を誇張するのか?

 フェミニストがまたまた記事で女性負担を誇張していた。なぜチェリーピッキングばかりするんだろうか?なぜ、なるべく事態を正確に伝えようとする倫理観が持てないんだろうか?またもや繰り返される腐れフェミニストの愚行を示す以下の記事がyahoo!記事に転載されていたので批判したい。

では、上の記事のどこで女性負担を誇張しているのか提示しよう。それは以下の箇所だ。

お互いに仕事をしているのに、自分だけ家事や育児の負担が大きくて、イライラしてしまうと悩んだことはありませんか。共働き世帯が多数となっても、家庭の中では相変わらず、家事や育児の多くを女性が担っているのが現状です。共働き夫婦が互いに協力して家庭を運営するための心構えを、専門家にアドバイスしてもらいました。

内閣府の「男女共同参画白書」(2022年版)によると、共働き世帯は、夫婦のいる世帯全体の約7割に達しています。一方、東京都が実施した「男性の家事・育児参画状況実態調査」(2021年度)では、未就学児を持つ子育て世帯の家事・育児関連時間の1日当たりの平均は、男性は3時間34分、女性は8時間54分でした。男女差は5時間20分と、依然として大きく開いていることが分かります。

共働き世帯に注目すると、「お互いの仕事量に比べて家事分担が不公平に感じている」と答えたのは、女性が43.4%なのに対して、男性は26.0%で、女性が20ポイント近く上回りました。「育児をもっと夫が担うべきだ」と考えている人も、女性の44.4%に対して、男性は26.6%で、やはり女性が20ポイント近く上回っています。家事や育児の分担がうまくいかず、女性が不満を抱えている実情がうかがえます。

「世界一夫が家事しない国」で募る妻の不満…夫婦で「共働き方改革」を実現するために
読売新聞メディア局 バッティー・アイシャ 2023/7/19 大手小町 読売新聞社 (強調引用者)

 さて、上記の引用部において、引用において太字で強調しているように「共働き夫婦・共働き世帯・お互いに仕事をしている・お互いの仕事量に比べて」といった共働き表現を繰り返し用いることで共働き夫婦の事情を述べた箇所のような外見を作り出している。普通に読めばそんな印象を受ける。それゆえ、引用文中の以下の2つのデータの紹介も共働き夫婦の事情のデータの紹介のように感じられる。しかし、上段のデータは「共働き夫婦だけでなく有職者-無業者の組の夫婦も含む全体のデータ」である一方、下段のデータは「共働き夫婦だけのデータ」なのである。

未就学児を持つ子育て世帯の家事・育児関連時間の1日当たりの平均は、男性は3時間34分、女性は8時間54分でした。男女差は5時間20分

データA:共働き夫婦だけでなく有職者-無業者の組の夫婦も含む全体のデータ (再掲)

「お互いの仕事量に比べて家事分担が不公平に感じている」と答えたのは、女性が43.4%なのに対して、男性は26.0%

「育児をもっと夫が担うべきだ」と考えている人も、女性の44.4%に対して、男性は26.6%

データB:共働き夫婦だけのデータ (再掲)

 もちろん、「女性は8時間54分」という9時間近い長さからみて、フルタイム労働者が捻出する時間としては長すぎる、との見通しが立てれなくもない。つまり、以下のようにザックリと一日の時間を計算して「こりゃ長すぎてフルタイム労働者としての生活は不可能だな。つまり、フルタイム共働きの夫婦の話じゃないな」と判断できなくはない。

 フルタイム労働者であれば一日24時間中仕事の為の時間として残業時間が一切ないとしても「労働時間8時間+労働基準法で定められた休憩時間45分+通勤時間1時間(※仮の値)」は最低でも取られる。それゆえ、仕事以外の時間を考えると14時間程度である。そこから家事育児時間の9時間弱を引けば5時間程度しか残らない。さらにそこからトイレや身だしなみ等の自分用の最低限の生活時間を差し引けば、睡眠時間は5時間を切る。記事中には「1日当たりの平均」とあるので平均の時間には平日だけでなく休日の家事・育児時間を含むと考えたとしても、完全週休二日制下で働いている労働者は6割程度であるので(※肌感覚として完全週休二日のホワイト企業ばかりじゃないなぁという印象はあるだろう。この週休制の正確な現状が知りたい人は、厚生労働省が公表している「令和3年就労条件総合調査 結果の概況」(註1)を確認するとよい)、そこまで平日の家事・育児の時間が減るわけではない。つまり、家事育児時間の長い休日の影響を考慮に入れても家事・育児関連時間の1日当たりの平均時間から考えて平日に睡眠時間を6時間確保できるかどうかアヤシイ。そんな生活はフルタイム労働者の生活として破綻してしまうから、例外事例としてならともかくとしてフルタイム共働きの平均的な夫婦の話としては道理に合わない話だ。

「フルタイム労働者が捻出する時間としては長すぎると判断する」ときの思考 (筆者作成)

 しかし、上記で示した思考を経なければ、共働き夫婦の女性の家事育児時間として「8時間54分は長すぎる」とは気づかない。そのことに気づかなければ、引用文中に頻繁に登場する共働き等のワード(「共働き」のワード4回、「お互いに仕事」等2回)から、共働き夫婦のデータの紹介をして受け取ってしまうだろう。

 なぜ、そんなミスリードさせようとするのか?

 たとえ紙面の都合があったとしても、以下のように但し書きを付ける形でミスリードは防止できる。つまり、括弧や句読点を入れても20字に満たない補足説明を入れるだけでよい。なぜそれができないのか。

未就学児を持つ子育て世帯(ただし、専業主婦のいる世帯も含む)の家事・育児関連時間の1日当たりの平均は・・・

ミスリードを防ぐ形での上段のデータAの紹介例 (筆者作成)

 東京都が実施した「男性の家事・育児参画状況実態調査」(2021年度)の公表数値から、「女性:配偶者あり未就学児あり」の1000標本中、「女性:専業主婦・主夫」属性の標本が368標本もあることは判明しているではないか。女性全体の4割弱も専業主婦がいるのに、なぜ恰もすべて共働き夫婦の話に誤認させようとしているのか。

 このバッティー・アイシャ氏の不誠実な姿勢は、記事の下段のデータBの紹介におけるチェリーピッキング行為にも表れている。そのことを公表の数値(ただし、男女差は公表値から算出)で示してみよう(註2)。

「お互いの仕事量に比べて家事分担が不公平に感じている」と回答
配偶者あり未就学児あり  男性 21.8% 女性 35.9%  男女差14.1p
共働き世帯        男性 26.0% 女性 43.4%  男女差17.4p

「育児分担:育児をもっと夫が担うべきだ」と回答
配偶者あり未就学児あり  男性 27.8% 女性 43.5%  男女差15.7p
共働き世帯        男性 26.6% 女性 44.4%  男女差17.8p

「育児分担:適当だと思う」と回答
配偶者あり未就学児あり  男性 47.5% 女性 37.3%  男女差10.2p
共働き世帯        男性 48.1% 女性 36.8%  男女差11.3p

「育児分担:適当かはわからないがこのままでよい」と回答
配偶者あり未就学児あり  男性 20.9% 女性 18.6%  男女差2.3p
共働き世帯        男性 21.7% 女性 18.2%  男女差3.5p

下段のデータB関連の家事および育児の分担に関する考えの公表値(ただし、男女差は筆者算出)

 前述のとおり、上段のデータAに関しては「配偶者あり未就学児あり」の数値を用いており、共働き世帯の数値を使っていない。上段のデータに関して「配偶者あり未就学児あり」を使うなら下段のデータもその数値を用いるべきである。データというものは、統一的に把握できるようにするために、項目を揃えられるなら揃えるべきものだ。

 先述の通り、私は記者のバッティー・アイシャ氏の誠実さに関して疑いをかけている。

 すなわち、この下段のデータBに関しても、「配偶者あり未就学児あり」の数値ではなく「共働き」の数値を使用したことに関して、「配偶者あり未就学児あり」の男女差はそれぞれ「14.1ポイント、15.7ポイント」であるので四捨五入しても男女差が20ポイントとは表現できなくなる一方、「共働き」の数値を使用すれば男女差は「17.4ポイント、17.8ポイント」と四捨五入すれば20ポイントとなり、以下の記事の表現にあるようにセンセーショナルな表現が可能になるために「共働き」の数値を使用したのではないのかと、バッティー・アイシャ氏が「共働き」の数値を採用した意図には邪悪なものがあるのではないかと疑っている。

女性が20ポイント近く上回りました。(中略)やはり女性が20ポイント近く上回っています。

「世界一夫が家事しない国」で募る妻の不満…夫婦で「共働き方改革」を実現するために読売新聞メディア局 バッティー・アイシャ 2023/7/19 大手小町 読売新聞社 (再掲;強調引用者)

 また、育児分担割合に関して、現状で「適当だと思う」という回答が「配偶者あり未就学児あり」の男性で47.5%、女性で37.3%、「共働き」の男性で48.1%、女性で36.8%居る。すなわち、現状の育児分担割合に納得がいっている女性は「配偶者あり未就学児あり」の37.3%、「共働き」の場合でも36.8%も居るのだ。つまり、4割近い女性は共働きの女性も含めて「育児分担割合」に関して不公平に感じていない。何故この数値を記事に取り上げないのだろうか。更に言えば、「適当かはわからないがこのままでいい」という回答を含めると、

育児分担割合に関して現状維持で十分という女性は、共働き女性でも6割弱いる

という結果を黙殺していることに関し、フェミニストはチェリーピッキングによって、事実にバイアスをかける形でミスリードしようとしていると強く感じる。






註1 以下に「完全週休二日制下の労働者は6割」の根拠となる厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査 結果の概況」の該当箇所を引用する。

 主な週休制の形態をみると、「何らかの週休2日制」を採用している企業割合は83.5%(令和2年調査 82.5%)となっており、このうち「完全週休2日制」を採用している企業割合は48.4%(同44.9%)となっている。
「完全週休2日制」を採用している企業を企業規模別にみると、「1,000人以上」が66.7%、「300~999人」が 60.0%、「100~299人」が53.7%、「30~99人」が45.0%となっている。
 週休制の形態別適用労働者割合をみると、「何らかの週休2日制」は84.8%(令和2年調査85.9%)となっており、このうち「完全週休2日制」は60.7%(同 58.0%)となっている。

厚生労働省「令和3年就労条件総合調査 結果の概況」(強調引用者)

更に詳しくは知りたい場合は以下を参照。


註2 東京都「男性の家事・育児参画状況実態調査」(2021年度)について詳しく見てみたい人は以下を参照。


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