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MBTI:FJ型の世話焼き行動

 FJ型に見られる特徴的な行動に「世話焼き行動」がある。もちろん、FP型・TJ型・TP型も世話焼き行動をしない訳ではないのだが、後述するようにFJ型の「世話焼き行動」とはかなり異なる。また、FJ型とって「世話焼き行動」は彼らの本質をよく示す行動であるように見受けられるが、他の類型にとっては「世話焼き行動」はその類型の本質が表れる行動でもないように思われる。したがってFJ型を中心に世話焼き行動を考察してみたい。

 さて、「世話焼き行動」を考えるにあたって第一にJP軸が重要であるように思われる。したがってまずJP軸について確認しよう。

 JP軸は行動原理を示す軸だが、J型とP型は以下のような違いがある。

J型:「やるべきだからやる。やるべきでないからやらない」という人間
P型:「やりたいからやる。やりたくないからやらない」という人間

 つまり、J型は義務感から行動し、また行動を抑制する。一方、P型は欲求から行動し、また行動を停止する。このことが分かれば、「義務型-欲求型」という名称の方が相応しい事が明らかだろう。ただし、「判断型-知覚型」も間違いではない。なぜかといえば、J型は規範から判断して行動するのに対して、P型は欲求を知覚して行動するからだ。そういう意味では「判断型-知覚型」の名称も間違いではないのだが、やはり分かり難い名称であるように思われる。

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 次に重要なのがF型の判断の仕方である。では、IF型・EF型(とSF型・NF型)に分けて、それぞれどういう風に判断しているかと言えば、以下のような形で行っている。

 人間が絡む物事の判断において、IF型人間は「その物事に出てくる人間が自分であればどう感じるか」を根拠にしてその感情的価値から判断を下す。一方、EF型人間は「その物事に出てくる人間がどう感じているか」を根拠にしてその感情的価値から判断を下す。

同上

 この違いに関して「地震被害のTVニュースが流れた場合」という具体例で解説する。
             (中略)
 では、IF型とEF型の違いを見てみよう。IF型は被害者の立場に自分が立ったとしたらどう感じるであろうかといった事から地震被害の重大さを判断する。一方、EF型は被害者がどのような感情を抱いているかで地震被害の重大さを判断する。因みに、SF型とNF型の違いは判断材料とする被害者に関して現実の被害者であるか想像上の被害者であるかの違いに過ぎない。

同上

 以上のことから窺うに、FJ型は博愛主義的な世話焼きといえるだろう。

 ただし、FJ型で世話を焼かれる側からみると最も望ましいタイプはESFJで、最も望ましくないタイプはINFJだろう。ESFJは現実の相手の感情状態に合わせて世話を焼く。一方、INFJは「あなたのためを思ってしているんだ」という種類の独善的な世話焼きになる。もちろん、それが世話を焼かれる側にとって適合しているのであれば問題ないのだが、ズレが生じているならお互いにとって悲劇である。

 因みに、INF型はJ型でもP型でも「私が想像するアナタの立場に私に居たならば私がして欲しいことをしてあげる。そしてそのような世話を焼いてもらえば私ならば感謝するだろう」と考えている。したがって、その世話が相手に適合していた場合には相手から感謝を受けて期待通りになるのだが、適合していなければ「要らぬお節介です。干渉してこないで」と相手から撥ねつけられるため、主観的には恩を仇で返された状態になるので大いに不満を持つだろう。

 このときのINFJとINFPの不遇さでいえばINFJが勝ることが多い。

 それというのも、FJ型は博愛主義的行動をとるがFP型は依怙贔屓をするからだ。つまり、FJ型はやりたくてやっているのではなく義務感から支援したのに拒絶されることになるので徒労感が酷いだろう。一方、FP型はやりたくて支援をしているのでイヤイヤ支援をしているわけではない。FP型は支援したくない相手には支援しないからだ。FP型は頭では支援した方がいいだろうなと認識しても嫌ならやらない。それゆえ、報われなさの観点からいえばFJ型が勝る。

 ただし、FP型の人間が支援しようとした場合は相手に対する好意から行っているため、それが拒絶されたとき可愛さ余って憎さ百倍に反転すると思われる。その点、FJ型は義務感から行うので、相手からたとえ拒絶されても「私だってしたくてしてるわけじゃないし」と心の整理がつけやすいようにも思われる。つまり、支援することを拒絶されたときの主観的な辛さでいえばFJ型よりもFP型の方が大きいと言えるだろう。

 さて、放置していたISFJとENFJについて見よう。

 「世話を焼く」という観点から見るとISFJとENFJの結果としての行動はとてもよく似ている。IS型は小市民的生活で満足できる人間で、EN型は皆を巻き込む理想主義者なのだが、身近な人物に対する具体的行動でみるとIS型とEN型は近似する。

 S型が現実世界の中に生きており、N型が自分が構築した「自分が生きているのはこんな世界である」という世界像の中に生きている違いがある。とはいえEN型の生きる世界は身近な範囲に限れば現実世界に近い。それというのも、その世界像に関してIN型は自己完結していればよいのに対してEN型はそれが他者とも共有できなければ満足できない。もちろん、IN型の世界像も現実世界から常に修正を受けるのだが、EN型は他者とも共有できるようにより積極的に世界像の修正を図る(と同時に現実世界に対しても自分の世界像に近づけるように修正しようとする)。そのため、EN型の世界像は彼らの身近な範囲に限って見ればIN型のそれと比較してかなり現実世界に近づく。

 また、EN型は他者との共有によって価値を感じる志向(=E型)をもっているが、他人と共有し得るように調整しているとはいえ、自分が構築した世界像の中に生きているので、IS型の自分の目線での行動と類似する。

 この二つの理由によって、身近な人物に対する具体的行動でみるとIS型とEN型は近似することになり、ISFJとENFJの「世話焼き行動」は似てくるのだ。

 因みに、世話焼き行動に関してTJ型やTP型はどうかと言えば、ルール・慣習・規則・義務として決まっていれば世話焼き行動を取るTJ型(ただし、NTJ型については合理的な、あるいは納得し得るものに限る)と、「世話焼き行動をとりたい」と思わせる相手・状況のときだけ世話焼き行動を取るTP型という違いがある。

 最後にFJ型の「世話焼き行動」についてまとめておこう。

ESFJ:相手そのものに合わせて世話を焼く
ISFJ・ENFJ:現実的ないしは相手との認識を合わせるが、世話を焼く当人の認識に基づく行動を取る。
INFJ:自分が考える独善的な世話焼き行動を取る


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