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MBTI:性格類型の把握のために過去に出会った人を思い出すこと

 MBTIあるいは16パターン性格診断で性格類型を具体的に把握しようとするとき、著名人の性格類型で把握しようとする人、あるいは今現在で仲の良い人物から性格類型を把握しようとする人が、noteやその他のネット上で主流である。

 著名人で性格類型を語ることは、著名人という共通のプラットフォームから、他者と「性格類型に特徴的な言動や振舞とは何か」を可能にする。また、今現在で仲の良いや付き合いのある人物で性格類型を語ることは、当該人物の性格を理解してこれから付き合う上での役に立たせるためでもあるのであろう。

 しかし、そのような形で考察するとき集めるサンプルはせいぜい十数人だろう。また各人物のエピソードも何の気なしに思い起こすときせいぜい5つ6つ程度といった所だ。勿論、濃厚な人間関係を築いた人物のエピソードを詳細に思い起こせば百や二百ではきかないだろう。しかし、それでは少々歪な認識になってしまう。

 このようなとき、16タイプ毎に3人づつ無理矢理に思い出すと50人弱は記憶の中から集めることができる。また各人物の喜怒哀楽を3パターンづつ思い起こせば各人物で12エピソードを掘り起こすことが出来る。

 また、ある程度の人口を持つ地域で育った人間であれば、これまで人生で数百人の人間と出会ってきたはずである。薄い繋がりも含めれば千人や二千人にも及ぶだろう。人によってはそれよりも遥か多い人数になるかもしれない。過去に同じ組織に属した人物、すなわち、小中高で同じクラスになった人・部活が同じだった人・委員会活動で同じだった人・地区が同じで遊んだ人・塾や習い事が同じだった人・大学でゼミが同じだった人・アルバイト先で出会った人・職場での同僚・取引先の人等々の人々が存在するはずだ。

 それらの人物の具体的エピソードを体系的に思い出すのだ。卒業アルバムや文集を実家の押し入れから引っ張り出して、そこに残る写真や文章を手掛かりに具体的にそのシーンでのその人物の言動や振舞を思い出す。当時の時間割を復元し、各教科での授業・テスト・宿題に関するその人物のエピソードを思い出す。当時の一日の行動、登校・HR・授業・休み時間・給食の時間・昼休み・掃除の時間・放課後・下校時といった局面毎での各人物のエピソードを片っ端から思い出す。それぞれ2つや3つのエピソードは記憶を絞り出せば思い出せる。運動会・学園祭・遠足・修学旅行といったイベントでの各人物の振舞や言動を思い出す。同様のやり方で、塾や習い事で出会った人物・同じ部活動をした人物・ゼミが同じだった人物・アルバイト先で出会った人物・職場での同僚・取引先の人々のエピソードを思い出すのだ。

 具体的エピソードを思い出す体系に関して名簿と各項目で思い出せた件数とをエクセルで管理し、各人物のエピソードはメモ帳に綴ってグループごとのフォルダに入れ、最終的にワードのアウトラインプロセッサ機能を使って纏めればいい。それらは軽く一冊の本が書けてしまう分量になるが、やってやれない事は無い。

 記憶というものは取っ掛かりが無くなっているから思い出せなくなってしまう。しかし、取っ掛かりを掴めば普段忘れてしまっていることでも、記憶の奥底から引っ張り上げることが出来る。実際に自分が出会い、自分の目が見て自分の耳が聞いた体験から照らし合わせる。

 ネット上での匿名の真偽の程が定かではない情報は、思い出そうとしても思い出せない自分が出会った人物のエピソードを掘り起こすために、私は使う。"薄い記述"しかない実際に私が出会った人物のエピソードは、エクセルで整理したデータから確認できる。匿名の人物がネット上で公開してくれたエピソードは、「似たシーンの実際に私が出会った彼らに関する記憶は無いか。そのときの彼らの感情や行動はどうであったか」と実際に私が出会った人物の薄い記述を厚くするために用いる。学術論文でもない、ネット上の真偽が明らかでない情報で自分の中での観念をつくり出すなど、私には海辺で砂山をつくる行為と何ら変わらないように感じられる。

 ただし、「証言の信頼性」は心理学でも重要視されているトピックだ。我々の記憶は残念ながら、無意識に自分に都合よく改変されてしまう。記憶からの観念形成は、そんな無意識の改変に十分に注意する必要がある。つまり、他人に関する記憶であっても、自分を美化し自分を悪者にしないように改変されている可能性がある。そのことを常に頭に入れながら、扱う必要があるのだ。


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