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いぢわるばあさんを叱る

祖母の土地を、母が手放しました。土地を売ると税金を納める必要があるため、確定申告をします。
私がしました。

せっかくなので、医療費控除も申請しました。
領収書を日付順にならべたり、計算したり…は、台風で空いた穴をふさごうとしている  実家で、
母のとなりにすわってしました。

母はその間ずっと、愚痴を言っている。
ほんとならお祝いしてもいいくらいの話題にも 愚痴を言っている。こちらは小さな字をみて、よく似た紙切れをならべて計算しているわけです。
愚痴にも 種類がありまして。

私にも、耳を覆いたくなり、聞いちゃ~いられなくなる種類の愚痴があるのですね。そのことが、何度説明しても 母にはわからない。母の中に入っていかないのです。


この日はとうとう、母をみて
「こっちを見なさい!」と、大きな声をあげ
逆説教をしました。

母のアカンところを めちゃくちゃ叱りました。

母が、〈親に口答えする 感情的な娘〉〈あきれたものだ〉という態度をとったので、それを吹き飛ばすいきおいで さらに叱りました。

「私は怒っている!」と、はっきりと言い
なにを怒っているか、内容も伝えました。

母の気持ちの曇り 吹き飛べよ、
という思いです。


いつものように、私の至らないところや欠点を  反撃のように指摘してきた母ですが、話をずらさず
〈これと、これは やめなさい!〉
〈本人に仕様のないことを 口にしなさんな〉
〈悪口をいうより応援するのが筋〉と。

言い切ってきました。

母が、会うたびほどに言ってくる愚痴のなかで、私が  仁王さまの心をお借りしても吹き飛ばしたかったのは  ただ2点。

弟のお嫁さんが 施設で育ったこと
本人がそれをかくさず ひけめに思ってないこと。
(あたりまえ! むしろ 頼もしいではないか)

可愛いめいっこたちふたりが
それぞれ療育を受けていること。
(ずっと応援していこうよ そのほかに何が?)


それ以外は すべて、くだらない親子げんか。
母も私も、どちらも  たいしたものではありません。

私は、今の仕事に就いて良かったです。
母に  あなたのここがおかしいと、伝える言葉をもてました。弟のお嫁さんとの会話もふえたし、いろいろ教えてもらっています。


老い母を、そんなことで叱るもんじゃない
愚痴ぐらい親身になって聞いておやんなさいという向きもあるでしょう。

でも、母の心や生きる力はつよい。

幼いころは、ひとりぼっちで寂しい思いを何度もしたそうです。孤独の性で、だれにも私の気持ちはわからないと信じて生きている。
娘がわかって話をきき、なぐさめなくてどうするか、ひどい娘と怒っています。

はいはい、ひどい娘です。
もう 百貨店でならんで、仙太郎さんのもなかも買ってやんない。


わがまま気ままの娘、老い母を叱るの段は
これにて 一巻のおわりです。

母がますます髪しろく 肌つややかに
ひゃくねんも生きますように。