見出し画像

本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第63番 ラ・ロクスラーヌ (Sinfonia No.63 "La Roxelane", 1777)

交響曲第63番の第1楽章は歌劇「月の世界」(Hob.XXVIII : 7)の序曲から転用されています。クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)さん指揮ヨーロッパ室内管弦楽団(Chamber Orchestra of Europe)の演奏です。

また、第2楽章はこの交響曲の愛称「ラ・ロクスラーヌ」の由来となった楽章だと言われています。「ラ・ロクスラーヌ」とは、16世紀のオスマン帝国スレイマン1世の皇后ロクセラーナことヒュッレム・ハセキ・スルタンのことです。

そして、第2楽章の変奏曲の主題がフランス歌謡「ロクスラーヌ」であるとか(しかし、その曲が見つからない)、ロクセラーナを題材にしたフランスの劇作家シャルル・シモン・ファヴァールによる喜劇「ソリマン2世、あるいは3人のスルタンの妻」(Soliman II ou Les Trois Sultanes)の劇音楽をハイドンが担当し、その劇付随音楽「ソリマン2世」(Soliman II, Hob. XXX:D)からの転用であるとか(しかし、その曲が現存しない)、あるいは、新規に作曲された可能性もある(やぶれかぶれの説)とか言われています。

さらに、1779年11月18日のエステルハーザ劇場の火事でハイドンさんの楽譜も燃えてしまい、ハイドンさんがウィーンから筆写譜をかき集めて、パスティッチョ(模写)としてこの交響曲を作ったとも言われています。そんなことから、ハイドンの研究家ランドンさんは、第1稿の存在を主張しています。現在、一般的には第2稿の方が演奏されています。

交響曲第63番ハ長調「ラ・ロクスラーヌ」(Sinfonia No.63 C Dur, Hob.I:63)
第1楽章 Allegro オペラ「月の世界」は、天文学者の主人公が恋人との結婚を認めさせようと恋人の頑固者である父親に「月の世界に連れて行ってあげる」などと嘘を言うという喜劇です。
第2楽章 La Roxelane. Allegretto 問題の楽章ですが、スレイマン1世皇后のテーマ曲だとすると、途中エキゾチックなメロディーが紛れ込んだりしていたり、風格のあるメロディーやリズムだったりと、それらしい楽章だと思います。
第3楽章 Menuet & Trio 3拍子のリズムがはっきりしたメヌエットと、オーボエとファゴットが活躍するトリオです。
第4楽章 Finale. Presto タータラタッタッターのリズムが支配する楽章です。

バーゼルの生誕300年企画で、ジョヴァンニ・アントニーニ(Giovanni Antonini)さんの指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコ(Il Giardino Armonico)の演奏です。

第1稿による演奏で、アンタル・ドラティ(Antal Dorati)さん指揮フィルハーモニア・フンガリカ(Philharmonia Hungarica)の演奏です。

(by R)

読んでくださってありがとうございます!サポートしていただけるととても嬉しいです!