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本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第64番 時の移ろい (Sinfonia No.64 "Tempora mutantur", 1773)

交響曲第64番は自筆譜は残っていませんが、残されているパート譜の紙の研究から1773年ころの作曲だと考えられているそうです。1773年というと、ハイドンさんの「疾風怒濤(シュトゥルム・ウント・ドラング)」時代ですね。

また、愛称の「時の移ろい」は、ハイドンさん自身がつけたもので、1960年代に発見された楽譜に「Tempora mutantur, et.」と記載されたラベルが貼ってあったそうです。

この「時の移ろい」(Tempora mutantur)とは、16世紀後半から17世紀前半にかけて活躍したイギリス・ウェールズのエピグラム(警句)作家ジョン・オーウェン(John Owen)さんによるラテン語による警句の一節です。

時は変わり、我々も時の中で変わる。どのようにか。人は時とともに悪くなる。
Tempora mutantur, nos et mutamur in illis. Quomodo? Fit semper tempore peior homo.

ジョン・オーウェン(John Owen)

ただ、この「時の移ろい」(Tempora mutantur)と曲との関係はよくわからず、第2楽章と関係があるという説もあれば、第4楽章と関係があるとの説もあるそうです。

交響曲第64番イ長調「時の移ろい」(Sinfonia No.64 A Dur, Hob.I:64)
第1楽章 Allegro con spirit 颯爽としたフレーズからなる楽章です。
第2楽章 Largo ラルゴでゆっくりと穏やかに進みますが、突然警告音のようなファンファーレが鳴り響きます。
第3楽章 Menuet & Trio. Allegretto ロンバード・リズムが基調になっています。
第4楽章 Finale. Presto 長調の「疾風怒濤」の楽章です。

ロンバード・リズム(Lombard rhythm)

ハイドンさん生誕300年記念企画のジョヴァンニ・アントニーニ(Giovanni Antonini)さん指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコ(Il Giardino Armonico)の演奏です。

このシリーズのアルバム・ジャケットはいいですね。ちなみにこのアルバムの題名になっている「Solo e pensoso」は、独唱曲「ひとりで物思いにふけり」(Hob.XXIVb:20)です。透明感のあるソプラノはフランチェスカ・アスプロモンテ(Francesca Aspromonte)さんです。

エルネスト・ブール(Ernest Bour)さん指揮バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団(SWR-Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg)の演奏です。

(by R)

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