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本日の一曲 ハイドン・シリーズ 交響曲第89番 W字 (Sinfonia No.89, 1787)

交響曲第89番は、自筆譜に1787年との記載があるので、作曲年代は1787年ということです。

第89番も2曲ある「トスト交響曲」と呼ばれる一曲であり、「W字」と呼ばれ、第88番と双子の2曲であるにもかかわらず、第88番ばかり演奏され、「W字」という愛称もあまり広まりません。

第89番の第2楽章と第4楽章は、前年の1786年にナポリ王のために作曲した「2台のリラ・オルガニザータのための協奏曲第5番ヘ長調(Concerto for 2 Lire organizzate F Dur, Hob.VIIh:5)の第2楽章と第3楽章が転用されたものになっています。どちらかがバーターだったんでしょう。

リラ・オルガニザータという楽器はなかなか珍しいものなので、ハイドンさん自身がフルートとやオーボエにアレンジしたものがあり、こちらで演奏されるのが一般的なようです。珍しい曲なので、全楽章を貼っておきます。マンフレート・フス(Manfred Huss)さん指揮ウィーン・ハイドン・シンフォニエッタ(Haydn Sinfonietta Wien)の演奏です

交響曲第89番ヘ長調(Sinfonia No.89 F Dur, Hob.I:89)
第1楽章 Vivace Wikipedia日本語版では、始まりが「しょ、しょ、しょーじょーじ」のたぬき囃子(野口雨情作詞、中山晋平作曲「証城寺の狸囃子」1925年作)と酷似しているとの指摘があります😂 溌剌とした音楽ですが、途中の短調部分もメリハリがあり、よい感じです。
第2楽章 Andante con Moto 先のリラ・オルガニザータ協奏曲第2楽章からの引用があります。シチリアーナ風の音楽です。
第3楽章 Menuet & trio. Allegretto こちらは田舎風のメヌエットとレントラー風のトリオです。
第4楽章 Vivace assai こちらにも先のリラ・オルガニザータ協奏曲第3楽章からの引用があります。対位法的な楽想が途中突然に現れる短調部分にも現れ、印象的な楽章です。

ジョルダーノ・ベリンカンピ(Giordano Bellincampi)さん指揮クリスチャンサン交響楽団(Kristiansand Symfoniorkester, Norway)の演奏です。

以下、プレイリストです。
カール・ベーム(Karl Böhm)さん指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker)の演奏
トーマス・フェイ(Thomas Fey)さん指揮ハイデルベルク交響楽団(Heidelberg Symphoniker)の演奏
フランス・ブリュッヘン(Frans Brüggen)さん指揮18世紀オーケストラ(Orchestra Of The 18th Century)の演奏です。

(by R)

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