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本日の一曲 20世紀第4四半期の音楽

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連載「本日の一曲」のうち、1976年~2000年の音楽をまとめました。
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2023年9月の記事一覧

本日の一曲 vol.51 松村雄策 苺畑のヒッチハイカー (1979)

松村雄策さんは、音楽誌「ロッキング・オン(rockiin'on)」の創刊メンバーの一人で、バンド活動や執筆活動もしていた人ですが、何よりも「ビートルズファンの第一人者」という人です。楽曲については、サブスクに対応されていませんので、以下のリンクでご覧になってください。 松村さんは昨年2022年3月12日にお亡くなりになりました。 松村さんのビートルズ、メンバーの4人に対する考察については、松村さんの右に出る者はいないといってよいでしょう。本日ご紹介する「苺畑のヒッチハイカ

本日の一曲 vol.47 矢野顕子 いろはにこんぺいとう(1977)

1976年に発表されたファースト・アルバムの「JAPANESE GIRL」、ライブ盤の「長月 神無月」につづいて、1977年に発表されたスタジオ録音のセカンド・アルバムです。赤い服を着てイルカを担ぎ、不敵な笑みを浮かべているジャケット写真が印象的です。 元の夫の坂本龍一さんから「天才」と言わしめた人なので、その音楽は聴いてもらうほかないでしょう。後に「ふりむけばカエル」などの歌詞を提供した糸井重里さんと坂本さんとの対談がおもしろいです(ほぼ日刊イトイ新聞)。 さてアルバム

本日の一曲 vol.44 クリス・スペディング 夢のギター・ジャンボリー (Chris Spedding: Guitar Jamboree, 1976)

本日ご紹介するクリス・スペディングさんは、1944年にイギリスで生まれたロック・ギタリストですが、数多くのミュージシャンのレコーディングに参加するセッション・ギタリストとしての仕事が多かった人です。 そんな彼が1976年にご自身のソロ名義でアルバムを発表し、その中に本日の「夢のギター・ジャンボリー(Guitar Jamboree)」という1曲が収録されていました。この曲は、かわいらしいリズムとコード進行で、彼のギター・ヒーローのフレーズを弾きまくるという曲です。意外と人気の

本日の一曲 vol.42 渡辺真知⼦ かもめが翔んだ⽇ (1978)

本日ご紹介する曲は、「この木なんの木、気になる木」の伊藤アキラさん作詞、渡辺真知子さん自身の作曲からなる渡辺さんのセカンド・シングル「かもめが翔んだ日」です。いきなり昂揚感あふれる導入部から始まる印象的な曲です。 この曲が発表された1978年から1979年は女性ボーカルの曲が豊作でした。おそらく高橋真麻さんのレパートリー群だと思います😄 コロッケさんの定番になってしまった岩崎宏美さんの「シンデレラ・ハネムーン」(1978年)。 ハイトーンが美しい八神純子さんの「みずいろ

本日の一曲 vol.33 マイルス・デイヴィス ファット・タイム (Miles Davis: Fat Time, 1981)

マイルス・デイヴィスが1975年からの沈黙を破り、約6年ぶりになる1981年に発表されたアルバム「The Man With The Horn」の1曲目に収録された曲です。 ジャンルとしては、ジャズというよりは、エレクトリックのギターとベースが全面に出ているフュージョンと呼ばれているものになるかと思います。ここでもマイルスのミュート・トランペットが冴え渡っています。 先日ご紹介した渡部香津美さんがマイルスにスカウトされたというお話は、このアルバムのレコーディングのときだとい

本日の一曲 vol.32 レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン フリーダム (Rage Against The Machine: Freedom, 1992)

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンは、ヴォーカル(というかラップ)担当のザック・デ・ラ・ロッチャさんの叫びとギターのリフ主体のビートが強烈なバンドですが、日本ではむしろ「空耳」の方が有名かもしれません。 彼らのファースト・アルバムのジャケットは、ベトナムの僧侶ティック・クアン・ドック(Thích Quảng Đức)さんが焼身自殺をする写真が用いられていることなどから、彼らは強烈なメッセージを発しているバンドです。 本日ご紹介する曲は、1975年にFBIによって逮捕された

本日の一曲 vol.24 スティール・パルス クー・クラックス・クラン (Steel Pulse: Ku Klux Klan, 1978)

スティール・パルスはイギリスのレゲエのバンドです。レゲエはジャマイカ発祥の音楽で、2拍4拍にリズムが入り、だいたいModeratoのテンポ感で進みますので、人によっては退屈に感じるかもしれません。しかし、ポピュラー音楽の世界では一世を風靡しました。そのきっかけは、ボブ・マーレイさんの音楽でした。ボブさんは銃撃事件にも遭い、政治的メッセージをもったミュージシャンだったのですが、スティール・パルスもそうしたメッセージ性の強いバンドです。クー・クラックス・クラン(KKK)は、三角帽