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本日の一曲 20世紀前半のクラシック音楽

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連載「本日の一曲」のうち、1901年~1950年のクラシック音楽をまとめました。
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2023年9月の記事一覧

本日の一曲 vol.43 プロコフィエフ ヘブライの主題による序曲 (Prokofiev: Overture on Hebrew Themes, 1920)

先日(vol.38)は和の土俗的要素のある楽曲のご紹介でしたが、本日は西洋、ユダヤを感じる「ヘブライの主題による序曲」をご紹介したいと思います。 作曲者はS.プロコフィエフで、ユダヤ民族に伝わる旋律を取り入れ見事にユダヤを表現した1曲です。クラリネットによる、この曲のテーマフレーズとも言えるヘブライ(ユダヤ)を瞬時に彷彿させる特徴的なメロディから始まり、中間部にピアノとの弦楽器との美しいハーモニーが奏でられます。元々の編成はクラリネット、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、ピ

本日の一曲 vol.39 エルガー:チェロ協奏曲 (Elgar: Cello Concerto, 1918)

エルガーのチェロ協奏曲は、「威風堂々」と並んで、エルガーの代表曲だと思います。しかし、1918年の作曲当時は、第1次世界大戦後であり、精神的に芳しくなく、健康も害していた上、1919年10月の初演の演奏会も成功とはいえなかったようです。エルガーは、1934年2月23日に亡くなりますが、この曲はしばらく埋もれてしまっていたようです。 ところが、1961年、まだ16歳だったジャクリーヌ・デュ・プレさんがデビューし、このチェロ協奏曲をすばらしく演奏したことから、この曲自体も有名に

本日の一曲 vol.23 ラヴェル ラ・ヴァルス (Ravel: La Valse, played by piano, 1920)

本日ご紹介するのは、管弦楽の魔術師と呼ばれるラヴェルが作曲したオーケストラのための曲「ラ・ヴァルス」をピアノで演奏したものです。ラヴェルの曲で最も有名なのは「ボレロ」かと思いますが、「ラ・ヴァルス」とは「ワルツ」のことで、ラヴェルが「美しき青きドナウ」などで有名なヨハン・シュトラウスのワルツをリスペクトして作曲したものです。 もともとオーケストラのために作曲したものですので、これをピアノの演奏で聴いてみると、なるほど、そういう音が鳴っていたのか!と感心させられます。 まず