マガジンのカバー画像

本日の一曲 19世紀までのクラシック音楽

62
連載「本日の一曲」のうち、19世紀以前のクラシック音楽をまとめました。
運営しているクリエイター

2024年1月の記事一覧

本日の一曲 vol.173 ショパン バラード第4番ヘ短調 (Frederic Chopin: Ballade nº 4, 1842)

バラードについては、前にリストの第2番をご紹介しました。 以前ご紹介したように、バラードとは物語をモチーフにしたものであり、現在のポピュラー音楽でのバラードとは少し意味合いが異なります。ショパンのバラードは4曲ありますが、どの曲もポーランドの詩人アダム・ミツキェヴィチ(Adam Mickiewicz)の詩にに基づいていると言われています。 バラード第4番は、ミツキェヴィチさんの「三人のブードゥリ」に基づいていると言われていますが、これはフランスのピアニスト、アルフレッド・

本日の一曲 vol.172 ラフマニノフ 楽興の時 Op.16 (Rachmaninov: Six moments musicaux Op.16, 1896)

「本日の一曲」でラフマニノフさんの作品を取り上げるのは4回目になります。ラフマニノフさんの作品は、だいたい3つの時期に分けられると思います。まず、(Ⅰ)モスクワ音楽院時代から卒業、作曲家としてデビューした時期、(Ⅱ)交響曲第1番の大失敗からうつ病になり、病気を克服するまでの時期、(Ⅲ)アメリカに渡ってからの時期の3つです。 本日ご紹介する「楽興の時」は、うつ病になるきっかけとなる交響曲第1番の作曲中に作曲されたものです。ラフマニノフさんが列車に乗ったとき、お金を盗まれてしま

本日の一曲 vol.167 アーノンクール モーツァルト 交響曲第40番ト短調 K.550 (Wolfgang Amadeus Mozart: Symphony No.40, 1788 played by Nicolous Harnoncourt & Royal Concertgebouw Orchestra) cf. シルヴィ・ヴァルタン 朱里エイコ

1787年5月28日、モーツァルトの才能を開花させ、ヨーロッパ中にモーツァルトをプロモートした父レオポルド・モーツァルトが亡くなり、その年の10月にオペラ「ドン・ジョヴァンニ」を完成させた後、交響曲第40番は、翌年の1788年に交響曲第39番、第41番と同時期に作曲され、3大交響曲の1曲とされています。 父レオポルドの死をきっかけにモーツァルトの作風は曲に暗い影を落とすようになった気がします。モーツァルトの交響曲のうち、短調の曲はこの40番と25番の2曲だけで、いずれもト短

本日の一曲 vol.162 グリモー モーツァルト ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488 (Mozart: Piano Concerto No.23 K.488, 1786. Played by Hélène Grimaud) cf. 薬師丸ひろ子

モーツァルトのピアノ協奏曲第23番は、1786年の作品であり、オペラ「フィガロの結婚」と同時期のものになります。古典派のピアノ協奏曲の最高傑作と言われることもあります。 演奏は、エレーヌ・グリモー(Hélène Grimaud)さんのものをご紹介します。エレーヌさんは、1969年にフランスのエクサンプロヴァンスで生まれ、パリ音楽院で学んだフランスのピアニストですが、フランス音楽よりもドイツ音楽に親しみを感じると話したりしています。また、ご自身で、共感覚があると話しており、音

本日の一曲 vol.154 ヴェルディ 「運命の力」序曲 (Giuseppe Verdi: Overture "La forza del destino", 1869, played by Arturo Toscanini & NBC Symphony Orchestra)

アルトゥーロ・トスカニーニ(Arturo Toscanini)さんは、1867年3月25日にイタリアのパルマで生まれ、1957年1月16日にアメリカのニューヨークで亡くなった指揮者です。キャリアの前半は、主にイタリアなどのヨーロッパで活動し、後半は主にアメリカで活動しました。 1936年、トスカニーニさんが69歳のとき、トスカニーニさんは、それまで務めていたニューヨーク・フィルハーモニックを辞任し、引退を考えていましたが、RCA(Radio Corporation of A

本日の一曲 vol.145 クナッパーツブッシュ ワルツ集 (Hans Knappertsbush: Waltzes, 1957)

令和6年、2024年、新年あけましておめでとうございます。皆さまがすこやかにすごされますよう、お祈りしております。 新年といいますと、各地でニュー・イヤー・コンサートが開かれますが、本日は、往年の名指揮者ハンス・クナッパーツブッシュさんがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したワルツ集をご紹介します。ご堪能下さい。CMRRさんの音源です。曲目は以下のとおりです。 ヨハン・シュトラウス2世:ウィーンの森の物語 同:加速度ワルツ カレル・コムツァーク2世:バーデン娘