続々・ダイビングインストラクターが水中考古学者の仕事を見学した話
サイパン在住19年、ダイビング本数9000本以上のダイビングインストラクターが、初めて水中考古学者さんと一緒に潜った感動を感情が溢れるままに書き続けています。
前回はこちらです。
さて、前回の最後にも書いた通り、当初1日だけ参加ということだったのに、リーダーのJ教授のまさに粋な計らいで、幸運にももう1日同行することが許されました。
キュートで聡明なJ教授、そしてその仲間の水中考古学者の皆さんも本当に気さくに丁寧にいろんな作業の説明をしてくれて、感謝しかないです。
昨日は、2日目ということで、作業にも関わらせていただきました。
まずは水中で砂を集める砂袋担当のアシスト。アシストなので、作業の流れから、必要ツールを良きタイミングで事前に用意したり、砂を持ち上げるロープ付きネットを取りに行ったりとさながら手術に参加する看護師・オペ看が如くいかに担当者が楽に仕事ができるかを第一に動きました。
これに関しては、まがりなりにも19年もダイビングインストラクターをやってますので、水中の視野はまあまああるから、お手のものではある。いや、逆にココでお役に立てないと、ワタシがここにいる意味がないでしょう。
作業員の方は、決してダイビングのプロではないので、砂袋を取り替えているうちに、もう一つ持っていた砂袋をうっかり手放してしまい、流してしまったり、砂を吸い込む係と砂袋担当のコミュニケーションがうまくいかなかったり。
これはトラブルを事前に予期して行動するインストラクター的な発想でお手伝い可能な作業でした。
毎回、激流で後方に流されていたボート連絡用水面ブイを流されないように砂袋担当者の近くで砂の水底に指示棒で固定したんだけど、あれは結構役に立ったんじゃないかな。毎回、流れたブイを取りに行くなんて、体力と空気の浪費だもんね。
ただ、ここで活躍しないと、申し訳ない。せっかく混ぜてもらったのにさ。
ダイビング経験本数が9000本だという話をすると、ワタシのワタシのアゴの下を覗き込んで
「もうエラがあるかと思ったよー笑」と
アメリカンジョークを飛ばしてくれる皆さんと楽しく水中作業ができました。
もう一つ参加したのは、ボート上でのスクリーニング。
こんな感じで、複数人で集めた砂の中から、戦闘機の部品、ガスマスク、ヘルメットの破片、そして骨や歯を目視で見つける。
朝、キャプテンSさんは、この作業台の上にある星条旗(アメリカ国旗)の意味を教えてくれました。
探しているパイロットが、一番最初にこの国旗を見ると安心するでしょう?
ここにこのプロジェクトの慈悲深さや尊さが溢れていると思いました。
だからこそ、身を引き締めて、全集中でスクリーニング作業に取り組みました。
さて、このプロジェクトでモチベーション高く作業に取り組んでいるこの皆さんは一体何者なのか?
見た目は確実にエクスペンダブルズに登場してもおかしくない面々。
『ザ・屈強』をアメリカ人の中から選んでくださいと言われたら、この人たちを選ぶだろうというメンバー。
そうなんです。このプロジェクトは数人の水中考古学者さん(生徒さんもいました)と、退役軍人の方々で構成されているのです。
それがこちら。
ざっくりと説明すると、アメリカ軍の特殊任務により心や身体に傷を負った人たちの回復プログラムでもあるんですって。コラボレーション企画。
任務、目的、集中力を与えられ、1つの目標に向かって作業をすることにより回復を目指すプログラム。
それが、もちろん同期というわけではないけれど、戦死した仲間を見つけるという目標だからこそ、皆さんのモチベーションの高さにワタシの心にグッと来たわけです。
だからこそ、このプロジェクトに2日だけだけど、参加できたことで、さらにワタシのモチベーションまで上がるという摩訶不思議な相乗効果が生まれてしまったというわけです。
当日の海は、決して穏やかというわけではなく、激流に近かった。
けれども、この義足のCさんは、ワタシなんかより力強く流れに逆らって泳いでました。まさに任務を遂行するという目的のために努力をした結果なんだということを感じました。
日本だとかアメリカだとか、戦争がとか、軍隊がとかそういう話ではなく、1つの目標に向かってみんなが力を合わせて取り組む姿、そしてその献身的に取り組む姿勢がただただ美しかった。そして、少しだけうらやましくもありました。
関わってくださった皆様に感謝。
今回のプロジェクトに関する話は、ここで終了です。
明日は、このプロジェクトに参加して得た経験を今後どう活かしていくかについて、もう少し書きたいと思います。今後のサイパンに進む方向に示唆を与えてもらったお話です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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