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【小学校受験】親の服装・子の服装

小学校受験の世界で服装といえば親子ともに「とにかく紺」。
考査の日に同じような格好の親子が同じ方向に向かって歩く様は、知らない人が見たらちょっと驚く光景でしょう。

・服は紺だということは分かったけどその他はどうしたら良いのか
・何に気をつけたら良いのか
・そもそもどうして服装に気を配る必要があるのか

今回は、小学校受験をするご家庭なら絶対に押さえておきたい、学校説明会や公開授業、面接、考査時の「親の服装」「子の服装」についてお伝えします。

■なぜ服装に注意したほうが良いのか

小学校受験においてなぜ服装が大切なのか。そこにはいくつかの理由があります。
人は闇雲に「こうしなさい」と言われても納得して腑に落ちないと前向きに行動することが難しいものです。
まずは服装に気を配るべき理由を確認し、それからご自身やお子さんの服装を振り返ってみましょう。

・家庭の価値観が滲み出る

普段から当たり前のように身につけているものは、それに対して自分では全く無意識な状態だと思いますが、小学校受験において初対面の先生はそこからご家庭の価値観を垣間見たりします。

ひと目見てすぐに分かるブランドの時計やバッグを身につけていたら先生から派手なことがお好きなご家庭と受け取られてしまうかもしれません。
またファッション性を重視した髪型(お父様ならツーブロックとかロングとか流行りのヘアスタイル、お母様なら明るい茶髪に長い巻き髪をそのまま下ろすとか)の親御さんは、やはり外見ばかりに気を遣うタイプと思われてしまう可能性が高いです。

華やかな装いを高く評価する小学校はほとんどないといって良いでしょう。
あくまで主役は子供たち。保護者が子供より目立っては本末転倒です。

そして何より初対面の人に対する印象は「見かけ」で大半が判断されてしまいます(実際に学者さんによる研究発表もされています)。

「堅実で誠実」
「我が家は主張が強すぎるタイプではありません」
学校からそう思っていただけるよう、見かけ=服装から注意を払っておくことが大切なのです。

・不安の芽を摘み取っておく

もちろん、服装で合否が決まるわけではありません。「紺じゃなくてグレーの服装だから減点」ということもないでしょう。
ただし、周りが紺づくめの雰囲気の中で「自分だけが違っている」という状況を見て「あれ?やばかったかな。違ったかな」と心理的なプレッシャーがかかり不安がよぎるようであれば、やはりその芽は摘み取っておいた方が良いです。

ただでさえ緊張する面接や考査の中で、ちょっとした不安から集中が削がれたり、普段ならしないようなミスを引き起こす可能性もあります。

また、残念なことにご縁をいただけなかった際「あの時のアレがいけなかったのではないか」という後悔の元をわざわざ増やすこともないでしょう。

メンタル的にも自信を持ってその場を臨めるよう準備することに越したことはありません。

※我が家はそんなことでいちいち動じないから大丈夫、とご家庭で判断されるのでしたら、もしろんその限りではありません。

・先生方への敬意を表す

学校を訪問する時、やはり「それなりの身なり」は意識した方が良いです。
正装することで先生方への敬意を表現するということです。
たとえ普段はジャージかもしれない体育の先生であっても、公式行事はジャケットにネクタイの正装です。
常識をわきまえた保護者と思っていただくためにも身なりを整えることはやはり大切です。

■親子共に大切なの「清潔感」

学校行事や考査、面接時の服装を考える時、保護者であれお子さんであれ、「何色の服を着るか」「どこのお店の服を選ぶか」の前にまずは「身だしなみ」を理解し「清潔感」を大事にすることから始めると服装の選び方への迷いが減ります。

分かっているようでいて改めて考えるとなんだか漠然としているこの「身だしなみ」「清潔感」という2つの要素についてまずは見ていきましょう。

・身だしなみとは

「身だしなみ」は、相手に不快に思われないよう装いを整えることです。
「おしゃれ」と「身だしなみ」は一見同じことのように感じてしまいますが、ちょっと違います。
「おしゃれ」は自分のためのもの、「身だしなみ」は周りの人への気づかいを表現するものと言えます。

保護者として参加する学校行事に求められるのは当然おしゃれではなくて「身だしなみ」です。自分の個性を発揮したり素敵なセンスを披露する場ではない、ということをまずは心得ておきましょう。

・「清潔」と「清潔感」は違う

学校行事に参加するご家庭の第一前提条件は「清潔感があること」です。
「清潔」と「清潔感」はちょっと違います。洗濯したばかりの服は確かに清潔かもしれませんが、シワシワだったり糸がほつれていては「清潔感」は感じられないかもしれません。
服装だけではありません。髪の毛を一つにまとめていてもおくれ毛が沢山出ていたり、反対に顔が隠れてしまうようなヘアスタイルでは印象が大きく異なってきます。

「だらしがない」といったマイナスイメージを持たれないためにも清潔感は常に意識しておくと良いでしょう。

■親の服装編

先にもお伝えした通り、服装だけで合否が決まることはありませんし、そこに絶対的なルールもありません。
ただし、人の第一印象は3秒で決まると言われています。しかも見た目(服装をはじめ表情や所作)は人の印象を決定づける上で、大きな割合を占めていることを考えると、服装が理由の失敗だけは避けたいものです。

小学校受験の考査や面接ではやり直しなどもちろんありません。万全の体制で一発勝負に臨むためにも、お子さんの足を引っ張らないためにも、まずは親御さんの服装で気をつけるポイントを確認していきましょう。

・父親の服装のポイントは「信用・信頼」

学校説明会や面接でのお父様の服装のポイントは「信用される、信頼感のある」装いです。
特に面接では、お父様は一家の代表者としての風格が求められます。普段はお母様に主導権があるご家庭であっても面接では別。
学校側もお父様の「人となり」を短い時間で探ろうとします。

・学校の方針に従い、協力的に連携をとってくれるのだろうか
・協調性を持ってお子さんの教育に関わってくれるのだろうか
・学費の面でも心配ないのか

このようなことは学校も面と向かって聞けないものです。
ですから見た目で「我が家は心配ありません」と分かっていただくためにも服装から表現することが大切です。

【父親の服装の例】
スーツ
基本は濃紺(無地)のシングル。
ダブルスーツや流行りの形(ズボンの丈が短いなど)はおすすめしません。金ボタンや裏地が派手なもの、ひと目でブランドと分かるベルトも控えた方が良いでしょう。

シャツ
基本は白無地。
ボタンダウンはカジュアルな印象となってしまうため、おすすめしません。

ネクタイ
無地または無地に近い織り柄、控えめなストライプあたりが無難です。
紺系が基本ですがその他でも地味目な色にしてネクタイばかりが目立たないようにします。

ソックス
無地のビジネスソックス。
黒または紺で、座った時にも素足が見えない長さが良いでしょう。
※面接で正面から見られてもすねが露わにならない丈を意識します

髪型
黒髪で、前髪で顔が隠れない長さが安心です。
茶髪やロン毛は相当目立つので、おすすめしません。

小物系
スリッパは黒か紺。つま先が空いているタイプ、柄物はおすすめしません。
メガネをかける場合は、主張の強いデザインや色は控えた方が良いでしょう。
視線がそこにばかり行ってしまいそうな派手な時計も避けます。

・母親の服装のポイントは「優しく・品良く・控えめ」

お母様の服装のポイントは「優しく・品良く・控え目な雰囲気を醸し出す」装いです。
お父様が一家の代表としての風格が大切な一方で、お母様は家庭をあたたかく包む柔らかいイメージが大切です。

普段はママの方がパパより強い、とか、バリキャリで社会で大活躍しているママだとしても、子供が主役の学校という場において子どもの成長を応援する保護者という立場では、お母様の役割としては「全面に出ない(パパや子どもより前に出ない)」という意識も必要です。

「主張の強そうなママ=学校にも何かと物を言ってくるのではないか」という印象を学校側に持たれてしまっては得なことなどありませんから。余計なマイナスイメージを持たれないことも大切です。

【母親の服装の例】
スーツ
基本は濃紺無地です。ボタンも金銀の光るものより黒や紺・胡桃ボタンが望ましいです。
リクルートっぽいスーツはキャリア志向のお母様(=仕事優先)に見えてしまうため控えた方が良いでしょう。
スカート丈は椅子に座ったときにも膝が見えない長さだと安心です。

ストッキング
ナチュラルストッキング一択です。
黒やタイツっぽいものは学校行事や考査の季節から考えても違和感が拭えません。

髪型
茶髪はNGと思っておいた方が良いです。周りが黒髪ばかりのお母様達の中で明るい茶髪は想像以上に目立ちます。
ロングヘアの方は一つに結んで。ニュアンスのある後れ毛や盛ったようなまとめ髪は普段ではおしゃれなヘアスタイルかもしれませんが学校に出向くシーンでは浮いてしまいます。とにかくシンプルにまとめること。大きなリボンやバレッタも不要です。特にキラキラが付いたヘアアクセサリーはやめておきましょう。

メイク
ナチュラルメイクを心がけます。目元は特に控えめに。派手なお母様と勘違いされて良いことなどありません。
お顔立ちのはっきりされたお母様は特に引き算のメイクで。

アクセサリー・ネイル
何もしないのが一番です。アクセサリーはパールすら不要と考えて良いでしょう。ネイルも不要です。爪は短く整えておきます。
指輪は結婚指輪のみにしておきましょう。
着飾る=自分が主役になりたいのかな、と思われて良いことなど何もありません。もちろん香水もNGです。

小物系
ハンドバッグはシンプルな黒系で。一目でブランドと分かるようなバッグやフリルやキラキラがたくさんついたようなサブバッグはおすすめしません。
学校によっては金具が光っているだけで目立つ場合もあります。
時計も分かりやすい高価なものや流行りのもの、宝飾品のような類ものはそこに注目が行ってしまい、ご家庭の価値観を推し量る材料とされてしまうこともあるので控えた方が良いでしょう。

もちろん学校によって雰囲気は異なります。在校生の保護者の中には少し華やかな感じの方が存在する学校もあるでしょう。しかし、受験をする段階=まだ初対面の関係で学校側と接する際、余計なイメージを服装から持たれてしまっては良いことなどありません。
特に、学校説明会で「華美は不要」とはっきりおっしゃっているような学校ではとにかく控え目を意識しておいた方が良いと思います。

■子どもの服装編

試験や面接で子供の服装について学校側から明確に指定されることはほとんどありません。ただし考査内容に体操や行動観察を含む学校では「動きやすい服装で来てください」と注釈がつくこともあります。
その際、特に女子は面接と交差で服装を使い分ける場合もあります。

幼稚舎では体操の考査があり、コロナ前は控えの教室で体操服に着替えるのが定番でしたが、コロナ禍においては最初から「動きやすい服装で来てください」となり、ここ数年は体操服で試験会場に出向くパターンに変わってきています。

・男女共通のポイントは「明るく元気」「きちんとしていること」

男の子でも女の子でも共通するポイントは「明るく元気」「きちんとしている」ことです。
伝統校であっても中受校であっても共学でも別学でも、どの学校においても
求められる子供像は、「明るく元気で素直な心を持った子ども」です。
ただし、いくら活発な印象になったとしても着古した格好ではきちんと感は出にくいです。高価な生地や値段の高いお受験ブランドの服にこだわるよりも、まずは清潔感・きちんと感が出せるよう配慮することが大切です。

・男の子の服装

男の子は女の子と違い、学校や試験の内容によって服装が変わることはほとんどありません。以下を確認して一通り揃えてしまえば特に悩むことはないでしょう。

服装
白の半袖シャツ(またはポロシャツ)
胸元にポイントやブランドロゴなどの付いてないものの方が無難です。
※筑波など年末に考査が行われる場合でも、長袖の子どもはほとんどいません。半袖の方が元気さをアピールできますし、そもそも室内はそれほど寒く感じない(講堂で待つ親は結構寒いけど)というのが主な理由です。

ベストは紺の無地、半ズボンは紺(またはグレー)が基本です。

髪型
目や耳、襟元ににかからない長さにします。寝癖などが残っていないことも確認しておきましょう。

靴・靴下
靴は黒の皮(または合皮)が無難です。試験当日に新品の状態で履くと靴擦れする可能性もあるので、事前に履き慣らしておきましょう。
靴下は白無地(ワンポイントもなし)にして、試験当日は新品(さらに替えを一足)だと安心です。

・女の子の服装

女の子の服装は、学校や考査の内容によって異なるケースもあります。ここでは基本的なスタイルをご紹介していますが、あくまで参考としてご確認ください。
例え服装が周りと異なったとしても、それが合否の決定打になるということは考えにくいので、そこばかりに気を取られない強いメンタルも大切です。

服装
〈面接時〉
面接時は半袖ワンピース+ボレロ
または
半袖ブラウス+ジャンパースカート+ボレロ
が基本です。
丈は膝が隠れる長さのものにします。

〈考査時〉
基本的に面接時の服装からボレロを脱いだ状態が多いです。
共学校や体操・行動観察のある学校では
白のポロシャツ+ベスト(紺)+キュロット
のお子さんもいます。
ただし横浜雙葉や東洋英和など考査で体操があってもジャンパースカートやワンピースのスタイルが基本という女子校もあります。

どちらの場合でも刺繍やワンポイントの飾り、リボンなど何もついていないものを準備しておくと、どの学校を受験するにしても気後れすることがなく安心です。

〈夏場の見学会や学校行事に参加する場合〉
紺または水色で涼しげな素材の半袖ワンピースが多いです。
暑い季節でも丈は膝が見えない上品な長さのものにしておきましょう。

髪型
前髪で目が隠れたり、横の髪で顔が隠れたりしないように注意します。
肩より長い場合は左右で2つ結び(三つ編み)にします。
肩につかない長さの場合でも、横の髪の毛が邪魔にならないよう両サイドで結んだり耳にかけます。
結ぶ時のゴムは黒系一択で、リボンやくるみボタンなどの装飾も不要です。
長さに関わらず考査中に髪の毛が乱れないようスプレーで止めておくと安心でしょう。

靴・靴下
靴は黒の皮(または合皮)のストラップシューズが王道です。男の子と同様、試験当日に新品の状態で履くと靴擦れする可能性もあるので、事前に履き慣らしておきましょう。
靴下は白無地(リボンやフリル、ワンポイントもなし)にして、試験当日は新品(さらに替えを一足)だと安心です。

9月に面接が行われる横浜雙葉などは残暑が厳しい日は、面接であってもお子さんはボレロなしの半袖で受験するケースが多々あります。
しかし、たとえお子さんは半袖だとしても両親はやはり長袖のジャケットを羽織った状態(=正装)で臨んだほうが良いでしょう。

■家を出る前に確認すべき服装チェックポイント

最後に服装のチェックポイントをご紹介します。
学校説明会をはじめ、見学会・面接・考査の前夜に、また家を出る前にも
確認して自信を持って本番に臨んでください。

・両親の服装チェックポイント

□ボタンは取れていないか
□糸が出ていたりほつれていないか
□スーツに皺はないか
□髪の毛の色、乱れはないか
□靴下の長さは適切か(お父様)
□ストッキングの電線はないか(お母様)
□眼鏡や時計、バッグは華美でないか
□マスク(白)は汚れていないか
□爪は伸びていないか、ネイルは残っていないか

・子どもの服装チェックポイント

□洋服は汚れていないか
□ボタンは外れていないか
□シャツ(ブラウス)のボタンは上まで留まっているか
□スカートやズボンの丈は短くなっていないか
□靴下は汚れていないか
□上履きは黒ずんでいないか
□髪の毛に寝グセはついていないか
□結んだ髪の毛は乱れていないか(女の子)
□爪は伸びてないか
□ハンカチとティッシュはポケットに入っているか
□マスクは汚れていないか

■おわりに

小学校受験の服装は独特ではありますが、一式揃えてしまえば逆にそこで悩むことなはくなります。「ダサい」「おしゃれ」のカテゴリーは取り払い、自身のファッションセンスとも切り離し、受験用のいわば制服のようなものと割り切って準備しておくと心の安定にもつながることでしょう。
この記事が小学校受験を控えた皆様への一助となりましたら私も嬉しいです。



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