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葬送のフリーレン27話/運が良かった、と嬉しそうに言うフリーレンを見て思うこと

葬送のフリーレン27話を視聴。フリーレンがゼーリエに向かって「そうだよ、運が良かった」と嬉しそうに言うシーンが特に印象的だった。嬉しそうにそう言えることの中には、私たちにとっても何か大事なことが含まれているような気がする。感じたことをメモしておく。

#ネタバレあり

●偶然集まった最強パーティーという喜び
フリーレンが少年ヒンメルに気まぐれで見せた「花畑を出す魔法」は少年の心に強く残り、最強パーティー結成の大きな要因になった。そのことは偶然のこと、つまり誰も意図しなかったことだ。
強い意志によって最強パーティーが集められた場合より、偶然最強パーティーが集まった場合の方が、大きな出来事を成し遂げられる予感がする。強い意志はとても大事なものなのだけれど、それだけでは私たちの心には「何か」が足りない。その足りないものとは、何か大きな流れを感じる感覚だ。偶然が味方してくれたとき、私たちはその流れを感じることができる。

●偶然が味方をする感覚を手に入れるには
そこで重要なのは「都合の良い偶然が起きるか」ではない。偶然はすべての人に公平に訪れる。でも偶然が起きたときに「味方をしてくれた」と感じる人と感じない人がいて、その差が重要なのだろう。そして、もう一つ重要な要素がある。それは、「これは運だ」と確信できる出来事を生み出すタネを蒔くこと。つまり、くだらないことをすることだ。くだらないこととは深い意図のない行為なのだから、それが引き起こした結果は偶然だと感じられる。くだらないことばかりすれば偶然が溢れるのだ。

●美しさとくだらなさ
少年ヒンメルはフリーレンの花畑を出す魔法を見て、初めて魔法が美しいと感じた。そう感じたのは、その魔法がフリーレンの気まぐれで行われたからだろう。目的を持った魔法に対して、人は凄さを感じる。でも美しさは目的性の外側にあるもの。だから、気まぐれに花を出すフリーレンの姿を見て、目的に気を取られることなく、ヒンメルは美しさを感じることができた。その後の人生を変えるほどの美しさ。くだらない魔法だからこそ、美しさを感じ取れたのだ。

●運が良かった、と嬉しそうなフリーレン
くだらない魔法が好きなフリーレンは偶然の種を撒き続け、そこにヒンメルは美しさを感じ、最強パーティーが偶然集まることになる。そして、パーティーメンバーはその「偶然性」に大きな流れを感じていて、とても良い雰囲気の中にいたはずだ。だから、フリーレンがその時を思い出して「運が良かった」と言ったとき、彼女はとても嬉しそうだったのだろう。ゼーリエの嫌味も全く効果がないくらいに嬉しそうな彼女の表情を見て、私は「運が良かった」と言いながらこの表情ができることが、とても大事なことだという気がした。そういう「幸せな偶然」を重ねられるようになりたいなぁ、と。


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