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冴えない日常のメモ

「ねぇ、プラスチックのやつって、なんていうの?」
息子がとつぜん聞いてくる。何のことかわからない。
「プラスチックのやつ、じゃ何のことかわからないよ」
「プラスチックのやつだよ」
「だから、それだけじゃわからないって」
「なんでわかんないんだよ!」
「それだけじゃ、誰もわからん」
「絶対わかる!」
「もうすこし説明してよ。何のプラスチック?」
「あー、もういい!もういい!」
「なんだよその言い方は!」
「だからもういいって言ってんじゃん!」
「よくない!そんなのムカつくだろ。ちゃん説明しろ。」

台所で夕食の支度をしていた私は、小5の息子と口喧嘩を始めた。
ダイニングテーブルで夏休みの宿題をしていた息子は、
それ以上の会話を避けるために自分の部屋に逃げてゆく。
上機嫌だった気分は、すっかり嫌な気分に塗り替えられた。
私は悪くない。息子の言い方が悪いだけだ。
そう、頭の中で考える。
それでもむかつく気分はまったく収まらない。
さっきまで、息子に「宿題やりなさい!」と怒っていた妻は、
隣の部屋でパソコンとにらめっこをしている。
通販で何かを購入するか悩んでいるらしい。

ムカムカしながら、夕食づくりを再開する。
休日は私が食事を作る当番なのだ。
茹でたアスパラとチーズを並べて、
一緒に薄切り肉で巻く。
それを12個、黙々と巻く。
そして「ま、いいか」と思う。
相変わらずムカムカした気持ちは晴れない。
でもまぁこういう日常もありなのだろう。


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