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燃やしているのか、自らの情熱のかわりに……

燃やしているのか
自らの情熱のかわりに。
まだあどけなさの残る空を
焚き付けているのか。
知らなければ良かった世迷い言のために
惑わされているね
枯れかけたえのころぐさの
伸びやかなのぎの硬く脆くなる頃に似て
意志が柔軟さを失い
自らが呼び寄せた秋のために
ひどく憔悴して瞳孔は閉じ
見ることも聞くことも
感じ入ることもやめ
いつか君の言っていた
魂の燃える音さえ
どこかに忘れてきたのだね
置き去りにされた場所では
風も吹かないから
いつしか君の魂は
消えた蝋燭みたいになって
何の役にもたたない時を
ひたすらに繰り返し
やがて風化して崩れてゆく
そうして得られた君の教訓は
自らを燃やさないことだと
そういうことだろうか
かわりに燃やせるものなら燃やしてみようと
そういう腹積もりなのだろうか
ああ、意志を失った魂
君が持ち続けているのは
燃え殻になった魂
いくら君が周りのものを
手当たり次第に燃やして悦に浸ろうと
君の不動産はそれしかない。

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