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ファイナンシャルプランナーができる「社会貢献」を考えるきっかけは、電話塩対応方針の弊社にかかってきた夜の電話。

 弊社さくらファイナンシャルプランニングは、新規の方からの電話対応をしない方針で、最初の問い合わせはメールのみの受け付けです。このことは弊社HPのトップページに表示してあり、ひとつのサイトを除いて、新規の方が弊社の電話番号を知ることもできない状態です。これは2022年1月から始めた試みで、突然の電話で業務(休み)時間を奪われないために始めました。
 金融商品やコンサルティング契約をいただいているお客様だけは、電話対応をしてることを伝えています。ご契約者様に手厚いサポートをする代わりに、新規の方への対応を弱めているということです。

 この「電話塩対応」を始めたきっかけは、ファイナンシャルプランナーに家計見直しを依頼したいという方からの電話がそれなりの頻度でありその対応にうんざりしていたためなんです。新規の問い合わせから商売は始まりますので、成約する確率を問い合わせ媒体ごとでデータを取ってみると、電話問い合わせからの成約確率が、悲惨な結果であったということが分かってしまいました。ある程度のデータが集まったころ、新規の電話問い合わせにうんざりし始めていましたから、定量的な判断に、定性的な感覚が一致していた喜びがありました。

 問い合わせ電話の内容は、「家計の見直しをしてほしい」という依頼や相談料金、相談場所、相談時間など細かく電話で問い合わせてくるパターンです。中には、最初の電話で相談依頼を受けていないにもかかわらず、長々と家計の現状をお話しされる方もいました。強烈だったのが、電話をいただき、第一声で「電話代がかかるから折り返ししてください」という猛者もいました。もちろん折り返ししませんでしたが。
 そもそも、基本的なことは、ホームページに記載済みですので、電話するより記載内容を見ていただいたほうがわかりやすいと思っています。おそらく、電話をする方は、ホームページは連絡先を見つける手段としてとらえているのでしょう。見て調べるより、聞いたほうが早いと判断したり、電話対応で依頼の可否を検討する方だと思います。それを否定するわけではありませんが、弊社の方針にはあっていないということだけです。

 現在2022年10月。この電話塩対応を半年以上試行錯誤し、ネット各方面に掲載されていた電話番号をひとつのサイトを除いてこの世から消すことができてたと思っています。これまでにお会いしたことのある方であれば、名刺を持っていたり、そこから、ショートメッセージでのやり取りがあったりと、電話番号を知っているという具合です。もちろんお会いしただけの方には電話塩対応方針と、ご契約者様からの電話のみ受け付けている旨をお知らせしています。

 そんな中、10月の夜10時半ごろ、若者から突然電話で、「社会貢献についてのお考えを教えてください」という趣旨の電話がありました。声の主は、かなりの若者。ビジネスマナー的に夜10時半は、非常識極まりない時間帯で、話し方も少々たどたどしく緊張している印象でした。
 電話塩対応の手順で、まずは、ご契約者であるかどうかの確認をするわけですが、弊社は現在5期目、ご契約者様は約400名ですので、お名前と電話の声で大まかな記憶を呼び起こすことは可能ですが、お名前を伺ってもなかなか記憶が起きてきません。
 その状態でも一方的にたどたどしい質問は続き、「会社設立の意味と、社会貢献についてのお考えを教えてほしい」という内容でした。夜10時半であったこと、声の主が特定できないこと、たどたどしい内容であったことが重なり、私自身もたどたどしい電話対応となって電話の終わりが見つからいまま数十秒経過したときにやっと声の主が特定できました。
 声の主はご契約者様の高校生の息子様であり、これまでお会いした際に挨拶を交わす程度でじっくりお話をしたことがなかったため、数十秒のたどたどしい時間を共有してしまいました。
 考えてみると、その夜10時半は、ご契約者様とメールやり取りをしていたわけですから、完全なる灯台下暗しであったということです。【一部話を盛っています】

 結局、その質問については後日時間を合わせてじっくりお話ししましょうということで無事に電話終了の出口を見つけたわけですが、質問事項の「会社設立の意味と、社会貢献についての考え」については今まで考えたこともないことでしたので、弊社としての答えを準備しなければならないわけです。

 これまで漠然と、私自身の思考の中で「社会貢献は、無償で提供するボランティア的要素」という考えがありそれが正しい考えであるかどうかの確認もしなければなりません。したがって「社会貢献をどう理解するのか」から始めることとしwikiで「社会貢献」を調べることが一歩目となりました。調べた結果、私の理解は、「社会貢献は社会の利益に資する行い」としました。
 
 質問事項は、会社設立の意味と社会貢献となりますので、「会社設立の意味」と「会社が行う社会貢献」の二つを理解することとして考えてみることにしました。
 

 まず、私の「会社設立の意味」とすると、ファイナンシャルプランナー業は、対個人のお仕事が主であり、個人の技量が重要となる職人的な職種ですので、仕事ができるのであれば、自由の利く個人(会社を設立して、自分の裁量)で仕事をしたほうが性に合っているということで会社を設立しています。自分の能力を効率よく発揮するために雇用されているか、事業主であるかは性に合っているかどうかが重要で、どちらかが正しいということもないと考えています。私が選択している、事業主では、自分の裁量で仕事内容や量、お給料を決めることになりますから仕事に対する責任はすべて会社(代表である私)となり、私自身の働き方や働くことの意義に合っているから事業主であるといえます。
 私の立場として考える「会社設立の意味」の若者への答えは、「自分の責任で、仕事をするための選択肢(会社員か代表か)の判断結果。」とします。

 つぎに、「会社が行う社会貢献」のことを考えていきます。ファイナンシャルプランナーが社会の利益に資することを行っているのだろうかという疑問は、弊社が行っている業務に依存します。
 弊社業務の大半は、資産形成と資産運用のコンサルティングおよび代理店・外務行為ですので、依頼者(お客様)個人の金融資産を増やすことです。個人金融資産の増加が社会貢献になるのかというと、個人金融資産が増えることで個人の幸福度向上にはつながりますが、社会全体への貢献とはならないと考えてしまいましたので、もう少し深堀してみました。
 資産形成・資産運用の投資対象として、ほとんどのお客様が、金融商品(株式投資信託等)を使って資産形成・資産運用をしています。これは、回りまわって会社に投資していることですから、社会にお金を回している意味でいえば、社会に貢献しているとも考えられます。株式投資信託で投資対象となる会社は運用会社によって目利きされた価値を生み出す割合として有名なパレートの法則(20:80)でいう20%に属する将来性のある会社であるであろうということがポイントです。たとえば、アップルであったり、アマゾンであったり。このような会社に間接的に投資をしているのであれば、スマートフォンやネット通販などを発明した会社に投資を行い、そこでの研究開発費の一部に寄与したこととなり豊かな暮らしの実現を行ったという意味で社会に貢献したとも考えられます。
 
 社会全体を俯瞰すると、個人保有の金融資産分布から日本の80%程度が、マス層(個人資産3000万円以下)で、下がり続ける平均給料(年収400~450万円)の状態、老後年金不安で必要資金は2000万円以上とも、の「資産」「所得」「将来性」の3つの要素が最初に頭に浮かびました。この状態で、これから経済的幸福度を高めるためには自助努力ができる方が、より経済的幸福度が高まり、自助努力できない方は、より辛くなる時代となってくると考えています。
 資産形成と資産運用ができる方は、「資産」「所得」に自助努力できる余裕があり、充実した現実があるために「将来性」に不安を感じている方です。おそらく、「資産」がアッパーマス層以上であったり、「所得」が平均以上、それ以外に支出を抑えられる不動産所有(実家暮らし)などの条件がそろう、ある程度余裕がある方がお客様です。私の行うファイナンシャルプランナー業務は、個人金融資産の増加のために金融商品を通して投資された会社の拡大による貢献と、将来の金融資産増加による幸福度向上のための消費活動が活発に行われることで間接的な社会貢献につながっていると考えます。投資信託等で投資対象となる会社は、社会全体とのかかわりがありますので、仮にお客様の層がアッパーマス層以上や余裕のある層に限っていたとしても資産形成・資産運用を通して、社会全体に貢献していると考えることもできます。
 
 別の視点での社会貢献を考えると、納税と経費支出が答えになります。法人税・地方法人税・消費税を会社で払い、社会保険料・所得税・市民税を個人で払うことが国の公共の福祉充実に税金が活用されていると考えます。また、会社を経営するにあたり、会議費・交通費・接待交際費・通信費・宣伝広告費など様々なお金を使うことが、社会経済を回転させ賃金の大元である売り上げに微力ながら貢献し、直接的な社会貢献になると考えます。


 ファイナンシャルプランナーはお金に詳しいのだから、「お金の教室」的なことを行い、国民(マス層)の金融教育に力を入れることができるのではないか?国民の金融知識(マネーリテラシー)が高まれば、貧富の差が解消されたり、より豊かな暮らしができるようになる社会貢献ができるのではないか?という考えを持つこともできます。
 ここは、すでに学習指導要領で国が行っている分野で、納税で貢献していると考えますので、弊社の直接的な分野ではないと考えています。弊社の方針ですからほかの方に意見されるところではありません。
 これに似たよくあることで、「家計見直し」や、「マネーリテラシー」を無料に近い金額で、サービス要求する方がいました。マネーセミナーなどが無料で開催される業界ですので、この程度なら無料で行けるだろうという一般の先入観なんでしょうか。このようなことを言われると、仕事の価値を見出すことができず、非常に辛い気持ちになります。この手の多くは初めての方が電話で問い合わせてくるので、これは、「美容師の知り合いに、無料でちょっと前髪を切ってもらいたい。というあり得ない依頼」に近いものではないかと思います。このことから、電話塩対応方針が始まったと考えています。
 ファイナンシャルプランナーが得意と認識されていそうな「家計見直し」や「マネーリテラシー」のセミナーは弊社の業務外としています。もちろん、この分野が得な方も多くいらっしゃることは承知していますし、収益を上げていることは尊敬しています。この分野を事業化しようと、事業を検討した結果、弊社ではできない分野でした。


 電話塩対応方針中の夜の電話から社会貢献と向き合ってみると、これまでの私自身の思考の中で潜在的に「社会貢献は、自分の得意分野を無償で提供するボランティア的要素」という考えがあったことがわかりました。
 よくよく考えると、現時点でまじめにお仕事をすることが間接的、直接的な社会貢献となり、資産形成や資産運用での資産増加に伴う経済的幸福度の向上は将来的な社会貢献の重要な要素となることが理解できたといえます。

 

 この理解が「電話塩対応方針中の夜中のご契約者様の息子様からの電話」から始まったことは、電話塩対応方針の約10か月程度の業務結果と、夜10時半をきっかけに深堀して考え作文した約4時間との関連であったことに感動を覚えた今日この頃でした。

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