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農家の一年

先日農家さんに面接に行った際、一年のスケジュールを説明された。それを聞きながら僕は「一年のスケジュールが決まってるってすごいな~」とぼんやり考えていた。今まで行っていたホテルでの調理の仕事はもちろん季節により変動がある。そして曜日によっても天気によっても。そのため一年単位での仕事のスケジュールは予約次第なので立てられない。基本、他力本願なのだ、、

でも農業は作る作物により最適の植え付け時期が、自然のリズムで決まっている以上、すべてがある程度の計画を持って実行されていく。勿論、自然相手である以上は大きな軌道修正もあるであろうが、とにかく大きなリズムに合わせて物事は決められる。

先日伺った際に、ハウスの中にはネギの小さな芽が出た苗床があった。本当にまだよーく見ないと分からいくらいの小さな芽。でも農家さんが教えてくれたことによれば、ネギは一番初めに苗を作るが、植えて収穫出来るのは一番最後と言っていた。ネギは冬だもんね。冬の終わりに準備したものが約一年後収穫されるんだ、、

今の時代は物事の移り変わりが激しく、新製品を出したその日には次の商品の設計図が出来上がっている。新製品に込めた思いはどんどん希釈され、、いやそもそも思いなど込めないか。自分の考え、頭の中自体がベルトコンベアに乗り、出荷されては消化されるようなものだ。これってやっぱり人間にはキツイんじゃないかな?

冬に蒔いた種が次の冬に収穫される、その位のペースが心地よい。僕が子供の頃にくらべ、西洋野菜や京野菜、珍しい野菜は増えた。でも基本家庭で使ってる野菜ってそう変わらないよね?新製品ではなく、今あるものをたんたんと作る。それってすごく重要なことだと思います。とても安心出来ます。

先日まで細かい年収の計算をして生活出来るか考えなきゃ!って思ってました。でも止めます。逆に何も深く考えず農業が生活に入った時、どんな生活になるか?またどんな化学反応があるか?それをとりあえず一年経験する方がきっと良い。自然が与えてくれるものはきっと作物だけではない。時間の感覚やお金の感覚、そして将来の見え方だって変わるであろうから。どんなに計算したって自然が相手である以上、計算など意味はないのだ。ダメそうならダメそうでその時軌道修正する。農家の一年はきっとその方がよいだろう。。



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