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ハマスタの空に向けて

1年ちょっと前、出勤途中で一緒になった上司と「来週初めてハマスタで観戦するんです!」「おっいいねー」と言う会話をしたことが信じられない。まるで信じられないほど、我が家は2019年をベイスターズとともに過ごすことになった。

ソトのサヨナラホームラン

なんでこんなにハマったのかはよく言語化できない。確か2018年は結局3回見に行った気がする。結果は2勝1敗で、特に記憶にあるのは日差しが熱い熱い夏の終わりの日、みかん氷を食べてしのいで、最後にソトがサヨナラホームランを打ったこと。サヨナラの快感はたまらない。既に仕事の帰り道には一球速報を握りしめるようになっていたけど、ここからベイスターズの力に逃れられなくなったような気がする。CSを逃す瞬間をベイスターズ居酒屋で向かえ、物足りない気持ちのまま2019年を待つことになった。ドラフトもチェックして「カミチャタニタイガ」を言えるようになって「なかなかいいドラフトが出来たな!」と言う野球ど素人の私に夫が笑った。

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ハマスタのいいところ

ところでいきなりですが、ハマスタのいいところを述べたい。我が家の事情だけれど、ハマスタはとにかく圧倒的に行きやすいのが良い。JRでも地下鉄でも横浜市民は簡単に行けちゃうアクセスの良さ。関内駅の雰囲気も最高。JRで選手の声のアナウンスが聞こえるのも良いし、地下鉄の階段に向かうまでのビッグ看板も気分を盛り上げてくれてたまらない。「ハマスタ行くぞー!ベイスターズを応援するぞ!」という気分にしかならない。可愛いマンホールを踏みながら、ハマスタに向かう。横浜公園には立派な遊具もあって、試合前後に子供を遊ばせることもできてしまう。夫はそのうち試合がなくても定期的に関内に行くようになった。関内 is マイホームタウン。お気に入りの居酒屋も増えていく。

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そしてハマスタはやっぱり空がいい。野球はドームではなくスタジアムに限る、とはかつて野球少年だった夫の弁。そんなに違うものかい?と思ったけれど、この間CSの東京ドーム観戦(チケットを取ってしまっていたから…)をしたとき、「花火ないの…巨人はCS優勝したのに…胴上げだけで花火ないの?!」と錯乱して夫に窘められた。ベイスターズだったら、ベイスターズがハマスタでCS優勝したら、いままでで一番豪華な花火をあげるのに…(涙)と、花火ができることだけでもハマスタには利がある。

暑いし、雨にも見回れるし、風も吹くし、選手も大変に違いない。がっつり日焼けするし。でも、スタンドから巻き起こったハマスタの歓声は、大きなうねりになって、ひとつの固まりになって、空に向かって上っていく感じがする。あの感覚はなんとも言いがたい。空を揺るがす歓声。その空に舞うブルーのジェット風船。日が暮れて広がる夕空も良い。ウィング席からは圧倒的に広がる空の中で横浜の街が一層広く見えた。

そしてそんなスタンドで、日を浴びながら、風に吹かれながら飲むベイスターズエールの美味しさと言ったら…!ベイスターズエールとか、ベイスターズラガーとか、ベイスターズのビールをベイスターズを応援しながら飲むのは、もう言葉にならない。暑いから売り子さんたちが汗だくなのも美味しさに拍車をかける。し・か・も、ベイカラやベイメンチやベイ餃子が、これがまた、ビールに合うんだー!グルメの多様性もハマスタの良さである。ベイカラはチーズか梅かを悩んで、結局いつもチーズを買ってしまう。なお、東戸塚のスーパーでベイスターズラガーを売ってるのを見つけたときは、感動して思わず写真を撮ってしまった。家で飲むラガーは、やっぱりハマスタで飲むラガーにはかなわなかった。

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二軍選手も覚え始める娘

親の影響で娘もどっぷりベイスターズにハマった。夫がやっているベイスターズアプリのお陰で、二軍の選手もほとんど背番号まで言えるようになった。ガルフェスの後のグラウンド開放で、隣に座った方かミニサイズの筒香のユニフォームを誉めながら「筒香好きなのー?誰が一番好き?」と聞いてくださり、当時の彼女の推し「おおぬきとバリオス!」と答えて「えっ…!」と言われるくらいにはなっていた。お風呂で壁にはって遊べる数字のおもちゃは、背番号当てゲームと化した。そのうちお風呂からは、「ロペス+倉本は?」「たけひろ!」と言う夫と娘のベイスターズ足し算の声が聞こえるようになり、さすがにもっと教えるべきことがあるのではないかとは思った。

球場ではまだ通しでじっと待つことはできないけれど、持ち込んだお菓子、ベイストア探検、サーティワンアイスでご機嫌を取りつつ観戦する。応援歌はほとんど歌えるようにもなった。ハッピースターダンスを一生懸命躍り、いつも優勝はおじさんばっかり!と落ち込んでいるので、いつかカメラに映ろうと励ましあっている。

重なっていく試合の思い出

2019年は記憶に残る試合もいっぱい見ることが出来た。雨の中の令和元年初勝利。待望の宮崎のヒットに球場がひとつになった。上茶谷のプロ初完封からの光とのハグ。初めてのウィング席からも、2人のハグはしっかりと見えた。満塁からの宮崎のサヨナラヒット。応援の声はまた大きな固まりになって、スタジアムを揺らして空にのぼっていった。

初めて三塁側で中日の試合を観戦した後は、負けた事もあり「もう二度と三塁側では見たくない…」と思った。中日戦はよほどの覚悟がないと三塁側に座ってはいけない。その後2週間くらいは仕事中だろうがお風呂だろうが寝る前だろうが脳内で中日のチャンテが流れ続けた。スタンドかーらの声が、君の力になる、恐れずに進めよ、おお、おお、おおー。

時にはビジターでの応援もしたくなって、神宮球場にも遠征した。グラウンドとの距離が近い感じがして、初めての外野での応援はとにかく立ったり叫んだりと忙しかった。ヒットで繋いで勝ち越し勝利が見えた9回、まさかのヤスアキが捕まってバレンティンにホームランを、村上くんにツーランのサヨナラホームランを打たれた。ボールがスタンドに入った瞬間、周りのベイファンはさっっっと立ち上がり出口に向かっていた。我が家もヒーローインタビューを聞く気持ちの余裕はなかった。最後を打ったのが応援歌がかっこいい村上くんで、まだ良かったと思った。後々、長年のベイスターズファンの方と飲む機会があったがその時点では「あの試合が今期ワースト」とのことだった。

その数日後はまたハマスタで、広島の九里との対決で、エース今永のものすごいピッチングを見た。硬直した試合にロペスがさっと出てきてホームランを打ってくれた。その後の今永に対するスタンドからの歓声もまたすごかった。ファンのエゴじゃなく、歓声が後押しするってこういうことなんだと思った。

一位とのゲーム差が詰まった時は、いてもたってもいられずベイビアガーデンにも向かった。芝生の観戦も快適だった、だってすぐ横にはハマスタがあるし、なんとdianaも沢山来てくれた。ソトがスリーランを打って、中井もソロを打って、パットンは冷蔵庫を殴った。まだみんなパットンの手のことは知らず、会場は大盛り上がりで、花火も半分見えて煌めいていた。パットンは前の試合でも冷蔵庫を閉めるときに激しく当たっていたので、そこで誰かがそんな態度はいけないよと注意していたら…などと今でも思わないでもない。パットンのいう通り、全てを来年への教訓にしてもらいたいな。

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雄洋の1000本安打のケーキも、筒香の200本ホームランのケーキやサヨナラホームランバット投げガッツポーズも、柴田への手作り6本ホームランボードも、山本の劇的なサヨナラも、伊藤裕の連続ホームランも、ソトの1試合3本のホームランも、順番は忘れたけれど、家で固唾を飲んで見ていたし、勝てば家族で喜んだ。9月は一軍に雄洋がいなかったからか、厳しい試合も多かった。毎日、順位と残り試合を見ながらじりじりとした日を過ごす。中日が巨人を止めてくれて本当にありがとう、と思ったらベイスターズもやられた。

9月最後の観戦は元々の最終戦だった。そのためチケットが取れず初めての立ち見だったが、あとちょっとの勝利を逃し、それは結果として優勝も逃し、まさか目の前で巨人の胴上げを見ることになった。回を重ねてじわじわ重くなる雰囲気のスタンドで、隣で観戦していた青年の、真っ直ぐでどんなときも諦めない声援には本当に救われた。帰り際、青年は「CSでは勝ちましょうね!」と笑って言った。ベイスターズにはこんな素敵な真っ直ぐなファンがいるんだよー!ということを選手に伝えたいと思った。

CSはなんと2戦目が当選した。神様からのご褒美だと思うような試合だった。みんな必死だったし、ファンの声援は生き物のようにスタジアムをうねって巡って空に還った。ヤスアキが福留にホームランを打たれたとき、あの青年の事が心に浮かび、私も諦めないぞと思った。そこからのことは言うまでもない。試合後にスタンドから涌き出たニコの応援歌には胸が熱くなった。あの時のことは、きっとこれからベイスターズを応援し続けても、忘れない私にとっての「一生残る一瞬」だったのだろうと思う。

最後に

これが私たちの2019年のシリーズだった。何度か「こんな熱量で来年以降はもう応援できない…生活が破綻する…」と思ったし、今もちょっと不安がある。でも、来年もまたベイスターズの力から離れられずに、ハマスタの空に声を届けているような気がする。まだ携帯の待受はCSの柴田、乙坂、神里、佐野の4ショットプロモ写真から変えられないし、ドラフトや春期キャンプの情報をチェックしている。願わくば、2020年シーズンも勝利を沢山見せてくれるハマスタであってほしい。

ベイスターズの選手達、1年間家族を楽しませてくれてありがとう。本当にお疲れ様でした。いつか今年のことを思い出して、夫と娘と読めるように、noteに記録します。

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