ウルヴズの22-23シーズンの目指すべき場所と必要な準備

前回の記事では、21-22シーズンを振り返りました。読んでない方は、下に貼っておくので良ければご覧ください。

さて、今記事では次の2点について掘り下げていきたいと思います。

  1. 想定されうる退団

  2. 現スカッドから考える改善点

来季はラージ2年目であり、かつ後述するスカッド事情からもわかるように、スカッドに大幅な変更が加えられる可能性が高いです。

そこで、大胆にECLを目標に見据えることを前提に話を展開していこうと思います。

1. 想定されうる退団

GK.DF.MF
FW

「https://www.transfermarkt.com/wolverhampton-wanderers/kader/verein/543
」より引用

上に選手の簡単なデータをまとめました。

まずは、現在(5/27時点)で退団の噂が上がっている選手を上げていきましょう。

ラディ、サイス、マルサウ、フーバー、ネベス、デンドンケル、モウチーニョ、ギブスホワイト、トラオレ、ヒメネス

以上の10選手です。その他ローン組も契約満了が迫っている選手が多くおり、スカッドに手が加えられることは間違い無いでしょう。

また、チキーニョを初めとして若手はローンに出される可能性が高く、ラージもスカッドに若手を成長させるの余裕がない限りはローンさせると言及しています。

どの若手をスカッドに残し、他をローンさせるのかはわかりませんが、そこはチームの判断に委ねるとして、次は私が理想と考える来季のスカッドを考えていきましょう。

来季のスカッド(今季からの継続戦力)

ご覧のようにかなりの選手がいなくなりました。ここでは選手へのリスペクトを忘れずに、感謝の意味を込めつつ退団するであろう選手各々について書いていきたいと思います。今季ウルヴズで見ていない選手(ローン組)は言及することがないので、まとめて軽く書きます。

ラディ

ラディは、ジョゼサーに次ぐ2ndGKとして、サブとカップ戦要員という役割を遂行してくれました。

欧州大会を並行して戦うクラブではあればもう少し出場機会も増えるのでしょうが、今季のウルヴズは国内のみでしたので、途中出場含め6試合の出場だったものの、出場した試合では堅実なパフォーマンスを披露してくれました。

2ndGKとしては優秀で、今季のパフォーマンスが続く限りはスカッドにいて欲しかったのですが、退団の意思を表明していたので、退団濃厚でしょう。ラディの次の旅の幸運を願いましょう。

サイス

試合によっては素晴らしい日もあり、ストライカーばりの得点を取ったり、チームに貢献してくれました。とはいえ、チェルシー戦でのルカクへのお粗末なファールは記憶に新しく、契約延長を勝ち取り来季のスカッド入りするほどのパフォーマンスではなかったのも確かでしょう。

ボリー

怪我の影響もあり出場時間は短く、良いパフォーマンスを見せてくれていましたが、来季で契約満了となることからも売却した方が良いでしょう。対人能力はありますが、コーディとともに鈍足なのが厳しいですね。新天地での活躍を願いましょう。

マルサウ

長身ではありませんが、そこそこのフィジカルをもち、謎な人気を持っていた漢ですが、今季の活躍はいつかの試合で誘発したオウンゴールのみであるといっても過言ではないほど低調なパフォーマンスでした。

リヨンがCLベスト4入りした際の左SBのスタメンだったとの話もありますが、にわかには信じ難い話です。守備面での貢献も乏しい上に、攻撃面でもこれといった武器がなく、年齢的にも退団が濃厚でしょう。

チームにプラスをもたらしたとは言えませんが、一定数のファンをつくったように、存在自体が魅力的でした。お疲れ様でした。

フーバー

ジョニーが前半戦を怪我で欠場しており、セメドの控え要員としてスカッド入りし、485分の出場時間を得ましたが、目立った活躍はできないどころか、実力不足という印象が拭えませんでした。

スタメンに抜擢された試合ですぐに怪我をしてしまい、その後ラージにほぼ名指しで公の場で批判されるなどの少し可哀想な体験もしていました。

来季はジョニーとセメドが右SBを担当するため、出場機会がないためローンに出されることでしょう。現時点ではアヤックスにローン移籍するとの報道も出ており、才能は認められているということでしょうからローン先で結果を残し、来々季のスカッド入りを目指して頑張ってきてほしいです。

ネベス

実力は申し分なく、ジョゼサーと共に今季のウルヴズの軸となりチームを上の順位に引き上げてくれた功労者です。契約自体は2024年までと後2年ありますが、オファーが多く到着してるであろう今去ることは確実だと思います。

年齢も25歳と全盛期を迎えるであろう歳であり、チームとしても大きく変化が加えられるであろう年に大きな移籍金を残してもらうことがベストだと思います。

市場価値は€40mほどですが、争奪戦が繰り広げられるであろうことから€50m前後の移籍金を残して行ってくれることを願っていますが。

アンカー向きの選手ではなくダブルボランチの低い位置からロングパスを武器にゲームをつくる選手です。使い方を間違えないクラブで活躍してほしいです。

ネベスの素晴らしい旅路のどこかで、選手として、もしくはクラブ関係者としてクラブに戻ってきてくれることを願ってます。

デンドンケル

ボランチの位置、3CMの左右に置かれることが多い選手ですが、ビルドアップに貢献することは少なく、また守備能力も並です。彼の魅力はそこそこの走力であり、カウンター時にチャンスであれば長い距離を走って中盤の位置から飛び出して前線のパスを受けられることです。

前半戦のウルヴズはカウンター主体のサッカーをするわけでもなく、かといって明確なプランを持ってビルドアップするわけでもないうんちサッカーで、デンドンケルも得意な役割がなく目立つことはありませんでしたが、後半戦の強豪相手には割り切ってカウンターサッカーを展開しいたので、先述した持ち味が活かされる場面が多く、そこそこの活躍をしてくれました。

来季に契約が終わるため、契約満了をまってフリーで出ていくよりは、市場価値も高い評価を得ているので今年売却してほしいですね。

能力的には然るべきクラブで然るべき役割を与えられれば活躍すると思うので、€30m弱の移籍金を残して行ってほしいです。

モウチーニョ

今年のポルトガル代表にも選出されており、35歳という年齢にも拘らず今季は3,206m(約36試合)の出場を果たす鉄人です。技術自体は高いものを持っていますが、守備範囲が狭く、また運動量も多くないためにモウチーニョ周りを相手の起点にされることも少なくありませんでした。

とはいえまだまだパフォーマンスレベルは低くないので、リスクの少ない単年延長をして、来季はプレー時間を減らしてスカッド入りしてほしいですね。

下部組織上がりのカンドルがそこそこ印象的なプレーをしていたので、来季はカンドルとモウチーニョでプレー時間を分け合って中盤の1枚として役割を担ってほしいです。

ギブスホワイト

ローン先のシェフィールドユナイテッドでは素晴らしい活躍を披露し、満を持してウルヴズに戻ってきました。とはいえ本職であろうトップ下は採用しておらず、右WGのポジションも枠は余っていないウルヴズに居場所があるかは疑問です。

移籍の噂でバレンシアのゲデスが上がっているくらいですし、使うとするならどのように使うのかはわかりませんが、個人的には売却しても良いのではないかと思います。

値がつくとしたら、€15-20mほどでしょう。

トラオレ

この選手が日本でのウルヴズというチームの知名度上昇に大きく貢献したのは言うまでもないでしょう。ローン先のバルセロナでは、加入後はそこそこの活躍をしていたものの、シーズンが終わるにつれて出番を減らしていた模様です。

良くも悪くもワイドに張ったドリブル突破しか取り柄がなく、また逆足の精度が高くないので、右WGの縦突破専門のプレイヤーです。とはいえその武器の威力は凄まじく、わかっていても止められないほどです。

スパーズのコンテが欲しがっているとの報道が度々出てきており、本人としてもステップアップとしてちょうど良いと思います。来季に契約満了ですし、今季の待遇的にもラージのもとでの出場時間は非常に少なかったので、移籍はほぼ確実でしょう。

€30mほど残してくれれば万々歳です。

ヒメネス

昨季の第10節アーセナル戦でダビドルイスと衝突し大怪我を負ったエースですが、今季は見事ピッチに復帰してくれました。

エースの復帰は非常に嬉しかったのですが、今季はシーズン通して低調なパフォーマンス。来季には契約満了であり、来季に復活する可能性と、スカッドの大切な1枠を消費しつつ復活なしでフリーでの退団をされるぐらいなら、中間択として今季に売却するのが個人的には最善かと思います。

移籍金として€20mほど残していてってくれるでしょう。

ローン組

大きく活躍したローン組はギブスホワイトのみであり、非常に単純ではありますが、若手以外は延長されることなく安い移籍金で売却されるでしょう。若手は契約延長をして来季またどこかにローンで出されるでしょう。

2. 今季から考える改善点

1. 想定されうる退団 で書いたように、来季にかけて多くの戦力の入れ替えが予想されます。そこでシーズンで必要な出場時間を考えていきましょう。ここから先は、退団予想をした選手はいない前提で考えていきます。

ここでは、今季に採用していた3-4-3と、ラージがベンフィカ時代に採用していたとされる4-4-2を考えていきます。

来季ウルヴズが戦う大会は、今季と同じで、プレミアリーグ、FAカップ、カラバオカップの3つです。

今季と同じくベスト32まで両カップ戦を勝ち上がるとすると、必要な出場時間は、プレミアリーグ38試合、カップ戦合計で4試合の総計42試合となり、以下のようになります。

(i)3-4-3
GK=90×42×1=3,780m
CB=90×42×3=11,340m
WB=90×42×2=7,560m
CM=90×42×2=7,560m
WG=90×42×2=7,560m
CF=90×42×1=3,780m

(ii)4-4-2
GK=90×42×1=3,780m
CB=90×42×2=7,560m
SB=90×42×2=7,560m
CM=90×42×2=7,560m
WG=90×42×2=7,560m
SS=90×42×1=3,780m
CF=90×42×1=3,780m

来季から交代枠が5となることもあり、選手の質とともに量に関しても今まで以上に求められます。再喝になりますが、先述した退団が成立した場合に残る今季からの継続戦力は以下のようになります。

来季の継続戦力

さて、各ポジションについて見ていきましょう。

まずはGKです。

今季クラブMVPであり、実力的にはアリソン、メンディ、エデルソンは素晴らしいに次ぐレベルだと思います。デヘア、ロリスと同等以上の能力を有しており、サーの場合は、セービング等能力の高さはすでに今期で証明済みですが、適切な配置をもとにビルドアップが整備されているチームであれば、ビルドアップ能力も証明する可能性があります。

2ndGKがどうなるかは不明ですが、来季も国内のみに集中できるチームにおいてそこまで2ndGKの優劣は大きく影響しないため、特に書くこともないでしょう。

噂ではシカゴファイアーの逸材GKを獲得するのではないかとの噂ですが、おそらく獲得してもローンで放出されるので、来季のスカッドに影響はないでしょう。

次にCBです。

モスケラの去就が不透明ですが、少なくともコーディ、キルマン、トティの3枚のCBを抱えています。鈍足CB3銃士のうちコーディのみが残りました。モスケラが来季どれほどやれるか、ラージの判断次第で獲得枚数が変わりそうです。

3CBであれば5枚、2CBであれば4枚必要です。サイスとボリーで合計3,789mの出場時間は稼いでくれていました。3CBであれば11,340m、2CBであれば7,560mの出場時間が必要です。

今季は、コーディ、キルマン、トティはそれぞれ、3,714m、3,049m、424mで合計7,187mでした。おそらく来季はトティが出場時間を増やすので、3人合計で9,000mは確保できるでしょう。

CBにおいては、コーディの出場時間を大きく奪うほどのCBを1枚補強したいところです。コーディはフィード能力は素晴らしいですが、非常に足が遅く、カバー範囲が狭いです。2CBであればコーディの起用に頭を抱えるほどです。

当たり前ですが補強資金は無限にあるわけではないので、CBを2枚獲得するくらいなら、他のポジションを補強した方がチーム力の底上げになるので、CBで無理に2枚獲得する必要はないでしょう。

モスケラに関しては、今季ローンで出されておらず、ベンチ入りしている試合も多いことから、トップチームで戦う最低限の戦力には数えられていることででしょう。

3CBを採用しかつ即戦力級のCBを2枚取った場合、または2CBを採用して即戦力級を1枚取った場合、モスケラはローンに出されることでしょう。その他の場合は来季もウルヴズのスカッド入りの可能性が高そうです。

次にWB/SBです。

右WBは、ジョニーとセメドが高いレベルでスタメン争いをしてくれるでしょう。左はアイヌーリしかいませんが、ローン先で評価を上げている下部組織上がりの選手がいるみたいなので、その選手を持ってくるかもしれません。

セメドは右、アイヌーリは左専門ですが、ジョニーは両利きでありどちらもこなせる水準です。WB/SBの質はあるので、このポジションに補強資金を費やす可能性は低いでしょう。現時点では補強の噂も上がっていません。

次に、CMです。

来季にかけて大きく補強すべきポジションでしょう。軸となっていたネベスが抜けたため、大まかに言えばドンクと合わせて5,215m程度の出場時間を埋める必要があります。

モウチーニョもシーズンを通して出るのは厳しく、パフォーマンスの調子を含めても出場時間を少なくとも2/3ほどに制限すべきでしょう。モウチーニョの出場時間のうち失われた1/3をカンドルに任せたいところです。

カンドルは、守備範囲は広くありませんがボールの扱いに長けたプレイヤーです。長いレンジを蹴るシーンは多くなく、短いパスでリズムをつくる選手であり、今季のモウチーニョの役割を、運動量の面では上回りながらこなせる可能性は十分にあります。カンドルには来季期待したいです。

今季3-5-2が使われる試合はそこまで多くなかったので、3-4-3であれ4-4-2であれ変わらない2CMについて考えていきましょう。

2CMは7,560mの出場時間が必要であり、モウチーニョ+カンドルでおよそ3000mほどは稼いでくれるでしょう。ちなみに必要な枚数は4枚です。

2枚の獲得に加えて、ここにも質を求めたいですね。モウチーニョもカンドルも、2CMとしての適性はあまりないですから、新加入2枚が場合によってはスタメンを張ることもあるでしょう。

理想の補強像は次の記事で考えるとして、現時点でスポルティングのパリーニャ、バルセロナのニコゴンザレスと運動量のある大型CMの噂が上がっているのは当然でしょう。とにかく質の高いCM2枚の獲得を願いましょう。

次にWGです。

WGは合計で7,560mの出場時間が必要です。トリンカオの買取OPは行使されないのが濃厚なため、非常に非常に残念ですが、今回はトリンカオがいない前提で考えましょう。トリンカオ大好き人間なので、トリンカオの買い取りが決まったら、また追記します。

トラオレの1,182mは、ネトが埋めるので問題ないでしょう。今期と違い、ネトがおそらくWGで最も出場時間を稼いでくれるでしょう。怪我さえなければ基本的にはスタメンです。

ヒチャンとポデンセの序列がわかりませんが、ネト、ポデンセ、ヒチャンの3人で6,000mほどは稼ぎそうです。チキーニョも終盤はいい活躍を見せていたので、WGに関しては特に補強を急ぐ必要はなさそうです。

とはいえ、ゲデスやアブデなどの噂も上がっているため、補強の可能性もあります。その場合、チキーニョがローンで出される可能性が高そうです。

あまりWGは心配していませんが、強いて言うなら左WGの適性にヒチャンとポデンセ、チキーニョ全員が薄いことです。

WGは優先順位として高くありませんが、下手な補強をしてチーム全体へのプラスの影響が低くなる、という事態が起こらないことを願いましょう。

最後にSS/CFです。

SSに関しては、ネト、ポデンセ、ヒチャンとそこそこ適性のある(ヒチャンとポデンセはおそらく最も適性がありそう)メンツを抱えているので、補強の必要はなく、言及することもないでしょう。

問題はCFです。18-19シーズンから4シーズンに渡って、146試合54ゴールを決めてくれたエースの退団の穴を埋めることなしにはウルヴズの躍進はあり得ません。

一時期はスタッドランスの若手ウーゴエキティケの噂が上がっていましたが、ここで若手にかけるのはかなりリスキーであり、今のチームがやるべきこととは思えません。

今のチームに必要なCFが実績のある選手です。ここはしっかりお金をかけてほしいですね。全く補強の噂が出ていないので想像がつきませんが、ヒメネスの退団が濃厚になり次第、かなりの噂が飛び交うことになりそうです。

3-4-3にしろ4-4-2にしろ、試合のほとんどに出てもらうことになるでしょう。その中で上手くターンオーバーをしてファビオシウバの成長に期待したいところです。

まとめとして

移籍金は、売却益だけでも

サイス(フリー)
ボリー(€5m)
マルサウ(フリー)
ネベス(€50m)
デンドンケル(€25m)
ギブスホワイト(€15m)
トラオレ(€30m)
ヒメネス(€20m)
ローン組(€3m)

合計:€148m

を得ることができます(希望的観測大いに含む)。

補強は、CB1枚、CM2枚、CF1枚の4枚が必須であり、SB、WGに余裕があれば程度です。

素晴らしい夏になることを願いましょう。






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