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AIが書いた論文と人間が書いた論文の違い

長年、大学受験予備校で小論文講座を担当し、20代のときから情報公開や個人情報保護に関する論文・書籍をたくさん書いてきました。「読む」「書く」「話す」ことを生業としてきた経験や視点から、AIが生成した文章に対する疑問や違和感があります。
瞬時に文章を書き上げるAIの能力は本当にすごい!です。遅筆であちこちに詫びている自分からすれば、まさに人間離れした神業です。そのスピードがうらやましい!…でも、人間が書いた文章とは何かが違うんです。
では、AIが書いた論文と人間が書いた論文の違いとは何でしょうか?この疑問をChatGPTに投げかけてみました。すると、瞬時に以下の答えをいただきました。今回はスピードだけでなく、自己分析の的確さと正直さにも驚かされました。

問い:AIが作成した論文と人間の論文の一番の違いは何ですか?

答え:AIが作成した論文と人間の論文の主な違いは、創造性、感情、倫理観、経験への理解、直感的な洞察などの要素が挙げられます。以下にいくつかの違いを示します。

創造性と直感: 人間の論文はしばしば創造的で直感的な要素を含みます。アイディアの結びつきや新しいアプローチは、人間の知識や経験に基づいていることが多いです。AIはデータから学習し、既存のパターンに基づいて情報を生成しますが、創造性や直感はそれほど発展していません。

感情と倫理観: 人間の論文は時折感情や倫理的な観点から議論を展開することがあります。AIは感情を持たず、抽象的な概念や倫理的な判断を理解するのが難しいです。

経験と知識の幅: 人間の論文は個人の経験や知識の幅に基づいていることがあります。それに対してAIはデータから学習するため、学習データにない情報や個人の経験に基づく知識を持っていません。

文脈理解: 人間は文脈を理解し、適切な時に適切な情報を使用する能力があります。AIは文脈理解が進んでいますが、まだ完璧ではなく、時折誤解を引き起こすことがあります。

倫理と透明性: 人間の論文は倫理的な観点から書かれることがあり、透明性が求められます。AIが生成した論文は、そのプロセスがブラックボックスであるため、倫理的な側面や透明性に関して懸念が生じることがあります。

これらの要素により、AIが作成した論文と人間の論文は異なる特性を持っています。ただし、AIは情報を迅速に処理し、大量のデータからパターンを抽出する能力を有しているため、特定のタスクや情報の整理においては人間以上の効率を発揮することがあります。

Chat GPT

ここでいう「違い」とは現段階におけるAIの難点・課題であり、「弱み」ということもできます。ここまで的確に自身の「弱み」を認め、さらけ出すことは、人間にはできないかもしれません。ただ、最後のくだり「人間以上の効率を発揮することがあります」には、AIの自負が表れています。そこに人間臭さを感じました(笑)

さて、この解答には含まれていないAIの難点・課題を見つけました。それは「正解」を「選べない」ことです。問いは「一番の」違いを求めています。このように列挙して、それぞれを説明するではなく、5つの選択肢の中から「一番」重要なことを選んで欲しい…それが問いかけの趣旨でした。

そもそも「選ぶ」ことは自分自身にとっての意味や価値を見極めることです。その有無や程度を見極めるべく、あれこれ悩み、考えるのが人間です。その結果、最適解にたどり着くこともありますが、逆に最悪解を選んでしまうことも少なくありません。また、何を「正解」とするかはTPOによって大きく変化します。さらに、「正解」をめざして悩み、考える「過程」にも意味や価値があります。

何事も「選ぶ」のは「わたし」という主体です。それを欠く(かもしれない)AIが「選べない」のも仕方がないことなのです。受験生だけでなく大人が書く論文を読む機会があります。最近気になるのは、マニュアルに影響されたのか「第一に、第二に、第三に…」と選択肢を書き連ねるものが多いことです。「正解」を「選べない」さまに、人間のAI化が始まったんだろうかと感じることがあります😅


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