見出し画像

東大小論文とアンパンマンかまぼこ

 我ながら、まったく意味不明なタイトルだなあ…と思いながら記しています。このボケたタイトルを解きほぐすべく、軽めにツッコミつつ記していきましょう。
 東京大学推薦入試では文学部、教養学部、工学部で小論文が課せられます。過去問はHPに公表されていますが、超難関大学でかつ募集人員も少ないため、あまり注目されていない印象があります。しかし、いずれも良問で、学びの素材として十分に活用できます。
 以下は工学部2019年度推薦入試の小論文の出題です。

以下の設問を読み、小論文解答用紙(別紙)に解答なさい。(600~800字、図中の文字は含まない)

 私たちの食について考えよう。食は、美味しく、楽しく、健康的に、安く、早く、安全に、無駄なくなど、様々な価値基準から論じることができる。あなたが入学後に取り組みたい工学分野の研究や開発によって、どのように食の価値を向上させることができるか、独自の考えを具体的に記しなさい。必要に応じて自筆の図を用いてもよい。

 テーマは「食の価値の向上」です。ただ、価値といってもいろいろあるので、設問でいくつかの価値基準が例示されています。これと「入学後に取り組みたい工学分野の研究や開発」とを関連させる点で、大学での学びに対する関心・意欲をみる意図も含まれているように思えます。
 ここで、アンパンマンのかまぼこの登場です。この写真に上記の「食の価値」を見出すことができます。そう「楽しく」です。そして、このように細部にわたるデザインを表現するためには、何らかの技術が必要になるはずです。アンパンマンかまぼこはすでに製造・販売されているので、「独自の考え」ではありませんが、それを引き出すためのヒントになります。
 「身近な素材」を通じた課題発見能力。それも、この問題では問われているのかもしれません。ちなみに、このアンパンマンかまぼこも、知人のこどもの弁当の中に「いました」。工学分野に限らず、研究や開発のネタ、いやタネは身の回りに転がっているのかもしれませんね。

 この出題には、小論文の学習で参考になることが他にもいくつかあります。たった153字の設問の中に、さまざまなタネが埋もれています。それらは、いずれかの機会に記します。
 だから、東大の推薦の問題だからといって敬遠しては、もったいない…「工学分野の研究や開発」に関連させるのは難しいけど、「食の価値の向上」のために何をすべきか?であれば、小中学生でも書くことができると思うんですが…

 余談になりますが、コロナ対策として国/専門家会議が示した実践例の中に、以下のような記述があります。これって「楽しく」の真逆ですよね。それとも、「工学分野の研究や開発」によって「楽しく」に変えることができるんだろか…

料理に集中、おしゃべりは控えめに



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?