「まさか僕が大学を留年する事なく卒業出来るとは」っていうタイトルのラノベがありそう

 僕はこの三月に大学を卒業する。率直な感想として、良く中退も留年もしなかったなと思う僕は、自分に甘すぎるだろうか。
 そもそも、僕は大学へ入学する前から、大学が嫌だった。キャンパスライフといった華やかな感じを思い浮かべるだけで、憂鬱な気分になった。それでも大学に行かせてもらえる事のありがたさは分かっていたので、後ろ向きな気持ちを奮い立たせた。
 いざ入学してみて、僕の心配は的中した。サークルの新歓に、大教室で群れる学生達。大学とは僕が苦手とする環境そのまんまであった。
 キャンパス内ですれ違う人達の声の大きさといったら、、、何故人は集まると突然うるさくしてしまうのか。特に男女グループにその傾向が多かった。自分で言うのもなんだが、僕は繊細なタイプで、学生達の楽しそうな声が騒音にしか聞こえなかった。この部分に関して、少なからず僕の方にも問題がある事は熟知しているつもりだ。
 兎に角、僕は毎日心をすり減らしながら大学に通っていた。最寄り駅からキャンパスに向かうまでの大学生が形成する長い行列の中に居るのが苦痛でしょうがなかった。本当に辛過ぎて、他の学生が使わない回り道を好んで使っていた。
 昼は、人気の無い庭園に設置されているベンチで昼ご飯を食べていた。澄んでいる空気を吸いながら、「爆笑問題の日曜サンデー」や「深夜の馬鹿力」を聴いて、しんどい心にエネルギーを注いだ。
 そんなこんなで、何とか四年が経った。飲み会や、サークルなど、一般的な大学生が楽しむような活動は全く出来なかったが、後悔は無い。今現在生きている事だけでも丸儲けである。これから先も辛いことはたくさんあるだろうけど、取り敢えず生きてみる。どうにかして生きる。ただそれだけ。

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