【2003オークス】リバティアイランドたったひとつの死角

2023年5月21日、今年もまた優駿牝馬いわゆるオークスが開催されます。枠順も確定され以下の通りとなりました。

【出走表】

出典 netkeiba

まずはオークスの基本的なデータから。特に注意がない場合は過去10年のデータとなります。

【枠別成績】

勝ち馬が最も多いのが2枠と5枠がタイで3勝ですが、勝率では違いがあり若干2枠が優勢となっています。また2枠と5枠は単に勝ち馬が多かったというだけでなく単勝回収率が高いため、人気薄が勝っている枠だということが分かります。逆に6枠からは1頭も馬券になっておらず全滅。枠順だけで全てが決まるわけではありませんが、オークスで本質的に有利な枠順、不利な枠順があることは頭に入れておきます。

2枠👼
3番キタウイング、4番キミノナハマリア

5枠👼
9番コナコースト、10番ソーダズリング

6枠👿
11番ミッキーゴージャス、12番ハーパー


【脚質別成績】

最も勝率が高いのは中団つまり差しとなっています。続いて後方つまり追込です。逃げて馬券になった馬はいませんでした。なお、2着が最も多かったのが先行です。差追の馬が勝利に近いのですが、2着3着は先行が残る可能性も充分ありますので気をつけましょう。また、上がり3Fのタイムが最も速かった馬が勝ち馬になっていることも分かります。次は上がり3Fランキングを調べてみましょう。

【上がり3Fランキング(最新値)】

注意点として、上がり3Fというのはゴールから約600m手前からのタイムで、その計測地点はほとんどの競馬場で直線に入る前であり、新潟だけは直線距離が600m以上あるため、計測区間は全てが直線部分となります。したがって新潟は他の競馬場よりも上り3Fタイムがかなり速くなる傾向があります。

しかしながら、リバティアイランドが新馬戦で叩き出した上がり31.4秒という破格の時計は、新潟1日目の良馬場で好タイムが出やすい馬場だったと言えますが、それにしたって速すぎます。ノーステッキでしたし。。。

【前走レース別成績】

7頭もの勝ち馬が出ている桜花賞組が中心。勝率がやや低いのはのべ78頭もの桜花賞出走馬がオークスに出走していて馬券にならない桜花賞組が多いからです。つまり、桜花賞組の中から馬券になる馬を見極める必要があります。

【オークス1番人気の成績と前走レース着順の関係】

これは過去10年のオークス勝ち馬と、前走レースの着順を表にしたものです。前走が桜花賞で3着以内または2番人気以内の馬が強くオークスを制しています。前走が桜花賞以外だとフローラ、忘れな草からそれぞれ1頭ずつ勝ち馬が出ていますが、どちらも1番人気1着だった馬でした。なお今年は忘れな草組からの出走は1頭もいません。

2023桜花賞 1着 リバティアイランド
2023桜花賞 2着 コナコースト
2023桜花賞 3着 ペリファーニア

2023桜花賞 1番人気 リバティアイランド
2023桜花賞 2番人気 ライトクオンタム

2023フローラS 1着 ゴールデンハインド
2023フローラS 1番人気 ソーダズリング

【馬券になった前走桜花賞組の前走成績】

馬券になった桜花賞組の前走。3着以内か3番人気以内だった馬が好走しています。2022年のナミュール、2017年のアドマイヤミヤビ、2013年のメイショウマンボなど、桜花賞で上位人気に推されていた馬は2桁着順で負けたとしてもオークスでは巻き返す可能性があります。

2023桜花賞 1着 リバティアイランド
2023桜花賞 2着 コナコースト
2023桜花賞 3着 ペリファーニア

2023桜花賞 1番人気 リバティアイランド
2023桜花賞 2番人気 ライトクオンタム
2023桜花賞 3番人気 ハーパー

【種牡馬系統別成績】(過去5年)

キングマンボ系が優勢です。特に近年は父ドゥラメンテの活躍が目覚ましく、特に母系にゴーンウェストを内包している馬が活躍しています。ゴーンウェストを母系に持っているドゥラメンテ産駒の代表はタイトルホルダーですね。今年のオークス出走メンバーの中では、リバティアイランドとドゥーラがドゥラメンテ産駒ですが、リバティアイランドの方は母系にゴーンウェストを持っています。

母系にゴーンウェストを持つドゥラメンテ産駒
リバティアイランド

血統表(リバティアイランド)


キングマンボ系に続くのがディープ系、ロベルト系、Tサンデー系となり、これらはすべてヘイルトゥリーズン系のスタミナが豊富なグループです。ヘイルトゥリーズン系としてひとつのまとまりでとらえるなら3勝しているとも言え、見方によってはキングマンボ系よりも優勢と言えます。

ディープ系
ライトクオンタムダノンバラードレミージュシンリョクカ

ロベルト系
ペリファーニア

Tサンデー系
ゴールデンハインドソーダズリングハーパー

上位ニックス

【上位ニックス】(過去5年)
父と母父の組み合わせによる成績です。ディープ系xストームバード系の相性がよく、チェックが必要です。

ディープ系xストームバード系
該当なし

ですが、ディープ系は広義ではTサンデー系となりますので、近いところで言えばTサンデー系xストームバード系のゴールデンハインドも脈があります。


前走桜花賞で1番人気1着、1級品の末脚を持っていて、ゴーンウェストを母系に内包するドゥラメンテ産駒・・・リバティアイランドが1強ムードになっているのも分かる気がします。

データ上、特に死角らしい死角は見当たりませんし。

説明は省きますが、他にもデータを貼っておきます。

【過去10年のオークスデータ】(参考)

馬体重別成績
騎手所属別成績
生産者別成績
取引価格別成績
前走距離別成績
キャリア別成績

リバティアイランドは本当に1強なのか・・・死角はないのか・・・

死角はありました。

本題はここからとなります。

【リバティアイランドの死角】

リバティアイランドの死角は「騎手」です。普段は騎手を予想に取り入れることは少ないのですが今回は看過できないほどの負けデータが騎手にあります。

今回リバティアイランドに騎乗する川田将雅騎手はキャリア20年目、2023年はすでに60勝していてリーディングジョッキーとなっています。その川田将雅騎手がデビュー戦からの継続騎乗で今回のオークスに挑みます。

このことから、騎手についても盤石のように思われそうですが・・・

「G1」、「中距離~長距離」、「人気」
この3点からデータを考察すると、今回はすべてのマイナスデータが揃うことになります。

川田将雅 G1成績(芝2200m以上)
2004年のデビュー以降、2200m以上のG1レース騎乗機会は累計104回。うち勝利回数は5回でその勝率は4.8%でした。
6番人気、7番人気の人気薄を1着に持ってきている一方で、絶対に勝たなくてはいけない1番人気、2番人気の時の成績が不振です。
1番人気の勝率は0%、2番人気の勝率も0%しかなく、2番人気の時は連対率も0%という悲惨な結果となってしまっています。

オークスのコースと同じコースで行われるG1は他に東京優駿(日本ダービー)とJC(ジャパンカップ)がありますが、その成績も不振でオークスに限れば【1-2-0-7】と勝率は10%、連対率は30%です。。

オークスでの川田将雅成績

馬券になったのは、2012年のジェンティルドンナ、2014年のハープスター、2018年のリリーノーブル。

ここでちょっと気になるのが1番人気で負けたハープスター(父ディープインパクト)です。このレースでは出負けして後方でガマンし、3角~4角の下り坂で仕掛けて上がっていき、直線は大外を回して1着馬ヌーヴォレコルトに迫っての2位。着順だけ見れば健闘しているとも取れますが、あと数メートル早く仕掛けていれば間に合ったのではとも思わせる内容でした。

ここまでのデータは、川田将雅騎手のデビュー戦以降を全部含めた数字ですのでフェアではないかもしれません。そこで騎手として調子が上がってきたのはいつなのかを調べた上で、その年以降の成績から最終ジャッジしたいと思います。

川田将雅年度別成績

ここでは勝利数よりも勝率を重視します。2018年までは勝率10%台の半ばあたりだったのが、2019年から飛躍的に上がっています。

乗鞍をしぼって勝率が上がるだけでなく、勝利数も150勝前後を推移していて明らかに覚醒した感がうかがえますね。

そこで、先程のG1成績についても2019年以降にしぼることで、より確かなデータが見えるのではないかと思います。

2019年以降のクラス別成績(川田将雅)

G1の騎乗機会は87回、うち10勝していて勝率は11.5%、連対率は41%、複勝率は53.8%で、さすがトップジョッキーと言える成績です。

ところが、ある条件を加えると成績にはかなりの偏りがあることが分かりました。それは「距離」です。

2019年以降のG1距離別成績(川田将雅)

10勝すべてが2000m以下のレースであり、2200m以上の距離においては

2200m【0-1-1-4】
2400m【0-0-3-9】
2500m【0-0-0-3】
3000m【0-0-1-3】
3200m【0-0-0-4】

となっており、長距離では危険な騎手と言えます。オークスを含む2400mも例外ではなく、騎手として覚醒したと思われる2019年以降のデータにおいても12回騎乗して連対率0%というのは無視できません。

とはいえ・・・もし人気薄の馬ばかりに乗っていたのなら話が違ってきます。念のため、2019年以降の芝2400mの内訳も調べてみました。

2019年以降の芝2400mの騎乗馬(川田将雅)

1番人気での出走は1回、2番人気での出走は5回、3番人気以降での出走が6回となっていました。多くのレースで人気より後ろの着順となっていて、過大評価されていたことになります。

2019年 東京優駿 ヴェロックス  2人気 3着
2019年 ジャパンC ワグネリアン  2人気 3着
2021年 ジャパンC シャフリヤール  2人気 3着
2022年 東京優駿 ダノンベルーガ  1人気 4着
2022年 ジャパンC ダノンベルーガ  2人気 5着

もちろん全てが騎手のせいだとは言えませんが、昔から長距離になるほど騎手のエスコートが大切になるとも言われていますので、ここまでハッキリと2200m以上の中距離レースで勝ちに見放されていると、騎手側に問題がある可能性も考えなくてはなりません。

おそらく今回はリバティアイランドが単勝1倍台の「1番人気」になるでしょうし、得意ではない「芝2400m」の「G1」。川田将雅騎手が今年のオークスでデータを超えてくるか注目です。


おまけ

タイトルに「リバティアイランドたったひとつの死角」と書き、それは川田将雅騎手の芝2200m以上のG1レースの弱さだと説明をしたところですが、実はもうひとつ懸念材料があります。

これまでに阪神JF(阪神芝1600m)と桜花賞(阪神芝1600m)を両方とも勝った馬は6頭いるのですが、そのうちオークスまでも勝ったのは2頭(ブエナビスタ、アパパネ)しかいません。

近年ではソダシが阪神JFと桜花賞と連勝しオークスに挑戦しましたが結果は8着でした。そもそも阪神芝1600mと東京芝2400mでは求められる能力が全く違うので、逆に言えば阪神JFと桜花賞を連勝できるということはパワー型のマイラーである可能性が高いと思われます。

阪神芝1600m(右回り、ゴール前急坂あり)
東京芝2400m(左回り、直線にダラダラ坂)

リバティアイランドの血統のお話をちょっとだけしますと、キングマンボ系xロベルト系ってちょっと重たいと思うんです。クロスはミスプロの4x5、ヘイルトゥリーズンの5x5です。この馬のスピードってどこから来てるのかなって考えると、母ヤンキーローズの血なのかな?という仮説が立ちました。ヤンキーローズはオーストラリアの芝1400mのG1で勝利しているスプリンターでした。芝2000mのG1でも勝利していますが、芝2500mのG1では1番人気に推されながらも結果は14着。もしヤンキーローズの影響を色濃く受け継いでいる場合にはオークスの距離2400mは少し危険かもしれません。

芝2400mで勝つような馬が阪神JFと桜花賞も勝つというのは規格外の強さがあり、本質的に向いてないにも関わらず勝っていると考えられます。なので、阪神JFと桜花賞を勝ったリバティアイランドはマイラーである可能性が高いのが懸念されます。ですが、オークスも勝つようでしたら、ブエナビスタやアパパネに並ぶ名馬となります。ここがポイントです。



2023年5月19日。天気予報の通り金曜日昼から雨が降り始めました。予報の通りであれば当日には晴れていますが、土曜日のレースで柔らかい馬場がボコボコになり、日曜日にはそのボコボコの形で固まると思われるため、良馬場でも馬にとっては走りにくくなるのではないかと思います。

2023年オークスの予想は土曜日の夜に公開予定です。記事が気に入った方はフォローをお願いします♪


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