『独りぼっちのアンソロ』感想メモ①

 ケノヒさんの初の短編集、『独りぼっちのアンソロ』をようやっと読み終えたので、感想メモを書きます⛲

 『独りぼっちのアンソロ』に収録されている作品は、以前Twitterにアップされたときに読んだものも多かったけど、見逃してたのもあったし、読んだけど内容忘れてたり、じっくり読めてなかったりしたのも多いから、なんだか全部新鮮な気持ちで読んだ。全部めっちゃ面白かった。とりあえず最初からいっこずつ振り返って、思ったこととか書いてってみる。


1.「真夏のバナナフィッシュ」

 「僕の友達が壊れてしまった。」という衝撃的な一文から始まる。これは深刻。やばい。でも、そこから続く物語が少年っぽい柔らかい文体で語られているからか、どこか深刻すぎない感じもある。この話自体が、回想として語られているせいもあるかもしれない。回想って、淡々とならざるをえない(気がする)し、なんか、フラットになる。冷静になる。その出来事が起こっている瞬間との、テンションのギャップがある。

 真夏の炎天下、太陽は何ものにも遮られず、僕の後頭部を照射した。映画だったらきっと、僕の顔は逆光で真っ黒くなっていただろう。

 ここなんかほんと、スクリーンで見ているように、真っ黒くなった男の子の姿が想像できる。つまり、男の子の主観じゃなくて、完全に、カメラの視点で。私は漫画チックな絵柄で、アオリの構図で想像した。ちょっと面白い。ケノヒさんの小説、大変なことが起こっていても、読んでいると「ちょっと面白い」がぽこぽこ出てくる。壊れてしまった友達が、田んぼから顔だけ出してるところとか、何かシュールだし、冷静な目線で見ると、笑ってしまう。でも、深刻(現実もいっしょ?)。

 この小説が回想で始まっているとすると、どこかで現在と合流しているのだろうか? していないのだろうか。わかんない。どっちにしろ、最後、銃でこめかみを撃ち抜いた少年が、その後どうなったのかわからないし、そもそも、「駅で使う予定だった」銃って、どういうことなんだ。駅で何しようとしてたんだ。この世界、どうなったんだ。いろんな部分が宙づりで、読み終わった後は、炎天下の黒い影と銃声と、宙を見つめる友達の顔が頭の中に残った。


2.「あんたって大変態だよね」

 これは、Twitterで読んだときから、めっちゃ記憶に残ってる。シャー芯のスープパスタがなんかめっちゃ美味しそうで――美味しそうじゃない? すごい、パリパリ、いや、ポキポキ? パキポキで、美味しそう。グルメたる彼は、一緒にいる女子には、めっちゃ引かれている。「腹壊すよ」っていってくれるあたり優しいけど。それに対し彼は、「壊さねえ腹なんか腹じゃねえんだわ」と答える。名言である。この頼もしさ。私はこの前腹痛(盲腸)で入院しました。この本も病院で読んでた。笑う。できれば壊したくないわ、腹。

 ていうか、この小説、アホとバカとドジと変態しか出てこない。最初、グルメな彼に引いていた女子も、最後には、彼がゲロった胃液まみれのイカリング(ヘアゴム)を持って、なんもいわず去っていく。この世はアホ(その他)と変態で出来ていたのだ。みんなお互いをアホと思ったり変態と思ったりしていて、自分がアホとか変態だとは、疑わず――どうなってんだ、この世。

 でもやっぱシャー芯美味しそうだと思う。っていうか、これ読んで以来シャー芯美味しそうと思うようになっちった。シャー芯じゃなくても、食べられないけど食べてみたいものってあるよね(小石の形したチョコとか、その夢をちょっと叶えてる)。シャー芯パスタ、私だったら鉛筆の削りカスで出汁とる。あ、でも、あれ、かつお節っぽいから、発想としては安直かもしんない。やっぱ、3点の答案から出汁とるなんて発想には敵わん。

 これ全部書いていったらどれくらいになるんだろう? とりあえず、一旦ここまでにして休憩します。続きもぼちぼち書くぞ!!。おやすみなさい。🐘🐘🐘🏡←ゾウの引っ越し

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