コンビニおにぎりの裏側、見たことありますか?
みなさんは「コンビニおにぎりの裏側」、つまり、包装フィルムの裏側に記載されている、「原材料名」を見たことはありますか?
【原材料名 ご飯(国産米使用)、〇〇/調味料(アミノ酸など)、〇〇(一部に〇〇を含む)】
上記のように、バーコードや消費期限と一緒に記載されているものです。
「ちらっと見たことはあるけれど、添加物のような細かい内容までは覚えていないなあ」
「添加物ってなんとなく危険なイメージがあるけれど、実際どうなのだろう」
「一体何のために使用されていて、一体何でできているのか、気になったことはあるけれど、調べたことはないなあ」
という方が多いのではないでしょうか。
今回は、コンビニのツナマヨおにぎりを例に、食品添加物とは何か、その安全性、用途、正体について説明していきます!
コンビニの「ツナマヨおにぎり」の原材料名、いくつ言えますか?
ツナマヨおにぎりの材料と言えば、米、ツナ、マヨネーズ、塩、海苔。
思い浮かぶのはこの5つではないでしょうか。
しかし、コンビニのおにぎりの原材料名はこの5つだけではありません。
・調味料(アミノ酸など)
・pH調整剤
・増粘多糖類
・加工でんぷん
・グリシン
・酢酸Na
・リゾチーム
製造者は、上記に記載したような食品添加物を4、5種類組み合わせて、おにぎりに添加しています。
意外とたくさん使用されているな、と思った方もいるのではないでしょうか?
たくさん並んだこれらの食品添加物ですが、一体何のために使用されていて、一体何でできているのか、気になりますね。
まずは、食品添加物とは何なのか、その安全性とともに確認していきます。
食品添加物とは
コンビニおにぎりの裏側を見たことのない方でも、「甘味料」「着色料」「保存料」などの言葉は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これらのように、甘みを加えて味をよくする、色を調整しておいしそうな見た目にする、日持ちをよくする、など加工・保存の目的で使用されるものを、まとめて「食品添加物」といいます。
食品添加物については、厚生労働省のホームページに以下のように記載されています。
「食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるものです。」
原則として、日本では厚生労働大臣の指定を受けた添加物(「指定添加物」)だけを使用することができます。
安全性について
食品添加物は、「食品安全委員会」という機関が安全性を評価しています。
厚生労働省はその評価を受けて、人の健康を損なうおそれがないと判断した添加物の使用を認めています。また、使用する際の基準は次の通りです。
・成分の規格
添加物の純度(不純物がどのくらい含まれているのか)や、添加物を生産したときにできてしまう副産物の上限値など
・許容一日摂取量(ADI)
人がある物質を、生まれてから死ぬまで毎日摂取し続けたとしても、健康へ悪影響がないと推定される1日当たりの量のこと
日本で使用されている食品添加物は、厚生労働省が指定したものを、規格や量などの基準を設けた上で使用が許可されています。
また、一度使用が認められた食品添加物についても、継続的な安全の確保のため、国民一人当たりの摂取量を確認する調査などが行われています。
続いて、ツナマヨおにぎりを例に、実際に私たちが食べている食品添加物の用途、正体について確認していきましょう。
コンビニおにぎりの食品添加物3選
今回は、名前から用途や正体の想像がつきにくいと考えられる「pH調整剤」「グリシン」「リゾチーム」の3つを抜粋して説明していきます。
pH調整剤
pH調整剤は、主に食品の日持ちをよくする目的で使用されます。
その正体は、柑橘類や梅干しの酸味成分であるクエン酸、人間のエネルギー生成に関わるリン酸、重曹とも呼ばれる炭酸水素ナトリウムなどになります。
(pH調整剤にはたくさんの種類がありますが、数種類使用しても「pH調整剤」とまとめて表示することが可能です。そのため、食品によってどのpH調整剤をいくつ使っているのかは、原材料名だけでは分かりません)
pHとは、酸性、中性、アルカリ性を示す数値のことです。
値が7の場合は中性、7より小さい場合は酸性、7より大きい場合はアルカリ性となります。
食品の腐敗に関わる「微生物」の増殖は、このpHによって影響を受けます。
例えば、カビであれば5.0~6.5、大腸菌であれば7.0~7.5という数値が、増殖するのに最適なpHです。
そのため、pHを酸性に傾けるクエン酸などを使用して食品のpH を調整し、微生物の増殖を抑え、日持ちをよくすることが可能になります。
使用食品:ジャム(例:酸味も調整できる「クエン酸」を使用する)、ジュースなどの清涼飲料水(例:クエン酸の酸味を和らげる効果もある「クエン酸三ナトリウム」を使用する)など
グリシン
グリシンは、食品の日持ちをよくする目的で使用されます。
その正体は、タンパク質を構成するアミノ酸の一つです。
グリシンは菌の活動や増加をおさえる作用(静菌作用)を持つ、数少ないアミノ酸です。
pHの影響を受けず、加熱に強い菌に対しても静菌効果があるため、数多くの食品で使用されています。
また、グリシンは甘味があるので、お菓子などにもよく用いられます。
使用食品:お惣菜、かまぼこ、カスタードクリーム、生クリーム、餡子など
リゾチーム
リゾチームは、食品の日持ちをよくする目的で使用されます。
その正体は、動物の涙や唾液、血液から植物まで、広い範囲に存在する酵素(タンパク質)です。
食品添加物として使用されるリゾチームは、鶏の卵白から抽出し、純度を高めたものとなっています。
リゾチームには、細菌の一番外側を覆っている細胞壁を分解し、細胞を死滅させる、という作用(溶菌作用)があります。
リゾチームはこの作用によって菌の活動や増加をおさえ、食品の日持ちをよくすることが可能となっています。
使用食品:お惣菜、水産練り製品、チルド食品、お菓子など
まとめ
今回はコンビニのツナマヨおにぎりを例に、食品添加物とは何か、その安全性や実際に使用されている添加物の用途、正体について説明しました。
「食品添加物」で検索すると「食品添加物とは」「食品添加物 危険」というキーワードが出てきます。
食品添加物について、どのようなものか分からない、何か危険があるのでは、という不安を抱えている方が多いのではないかと思います。
しかし、なかなか調べる機会がなく、なんとなく不安があるものを、なんとなく毎日口にしてしまっているのではないでしょうか。
今回の記事では、食品添加物とは「味や色を調整したり、日持ちを良くしたりすることで、食品をおいしくすること、長く保つことができるもの」、「厚生労働省が安全性を判断し、規格や量などの基準を設けて使用が許可されているもの」と説明しました。
また、今回ご紹介した添加物はすべて日持ちを向上させることを用途としたもので、正体は、酸味成分やアミノ酸、タンパク質でした。
しかし、今回ご紹介した食品添加物以外には、予想できないものが正体である場合もあります。
食品添加物に対する不安には、このような「思いもよらないものが正体かもしれない」ということも含まれるのではないでしょうか。
「この食品添加物は自分の知っているものでできているな、用途も納得できるから購入しよう」
「私は見た目がよいものより、食品添加物の入っていないものの方が嬉しいから、着色料の使用していない食品を選ぼう」
「この食品添加物は保存期間を長くするために使ってあるのか。今回は日持ちする方がほしいから、こちらを買って帰ろう」
上記のように、用途や正体を知り、その上で食品の選択ができると、食品添加物に対するなんとなくの不安が減っていくのではないかな、と思います。
まずは原材料名を確認してみようかな、気になった添加物について調べてから食品を選んでみようかな、と思っていただけましたら、幸いです。
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