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第73話≪ハルの章⑬≫―矯正医官『第二のカラコン』―

「新型コンタクトレンズの試供品です。どうぞ~」

Brain学も進み、装着デバイスなしで宇宙に探知機たる衛星を介し、脳-脳コミュニケーション・脳内の情報から人を操作したり、情動・言動までも操作可能な科学技術が【暗号化】国の隠された軍医達が開発し、世の中に浸透した時代が普遍化した現代(19〷年代)。
まだ日本では原始的な網膜電位で360°画像認識・個人情報を生体認証プログラムの応用で簡単に解析するコンタクトレンズのブームが到来していた。いわゆる『第二のカラコン』という俗称で大麻のような覚醒剤と同系列で法整備の抜け穴を通って若者たちがダークウェブで売買していた。

法務省直下の地下に世間には公にされていないクローズな刑務所が存在していた、という嘘か真かわからない噂(フェイク・ニュース)も広がっていた。この古典的な解析コンタクトレンズを隠語で“A 戦犯(エーせんぱん)”と呼ばれる10代から80代までの男性女性LGBTQを位置数18にあるmic-RNAシーケンサから得られた塩基codeを中心に研究が進んでいた。
今では矯正医官が一般的だが、ハルは孤児院から連れていかれた後、その突出した才覚から第17目として「セブンティーン」と呼ばれていた。

解析コンタクトレンズは装着すると、情報漏洩を少しでもした場合、延髄に「0010(10)」の信号を伝え即死化させる自動システムが搭載されている。A戦犯はシフト制に犯罪を繰り返さない・ハルのように特殊化した人“財”たちを世の中に「混ぜていた」。

「あーあ。明日第3週の火曜日かー。回収日か」

「あははは!この映像みてよ。」右手の親指と人差し指をとんとんと空中でダブルクリックすると電子画像が空中に現れ、2024年の政治的ニュースの「パー券」・「裏金」・「政治と金」預言アルゴリズムニュースが流れる。

「一見華やかで幸せな“人間”だらけに見えて、孤独に餓えた世の中。うちらのおかげだけど、なんだかなぁ」
「ほんと人間って何がしたいんだろ」
「そりゃ知りたいからだよ。この世界を知りたいからさ、産まれついた」
「知りすぎるから赤子の数が減る。計算式通り」
「もし、4人集まったら会話も自動化。なんの為に生きたい?」
溜息をつく。

物陰で哀愁の瞳でブルーカラコンを左眼に装着したハルは当時5歳だった。悲しいなぁ・・・
でも、傷つかなくて済む。私たちは犯罪をゼロにしていくための実験モデル。

双生児は全く正反対の状況下に置かれた国に「飛ばされていた」。

空中の映像にとんとんとんと3クリックする。
「努力も才能も、親の遺伝子ではなく俺らの今の集積されたデータモデリングで産まれてくるんだぜ?俺の生まれ変わりはどんな人生だろ」
流暢な日本語で話す男性はフィリピン国籍である。
「ベトナムはもっとゆったりしてると嬉しい」
ベトナム国籍の女性は微笑みながら、空中映像の視覚化ナンバリング操作(リモコン)で赤外線が白目に当たることによりできる視線入力成功のニュースを眺める。

ああ、神様。わたしは誰になるのかな。

ハルの右眼の赤い『カラコン』は涙で濡れていた。

わたしは医学領域に進み、平和な世界を創造したい。

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