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第65話 自律的な《ロボット》であるならば自律的な人間であるべきだ

AUT≪o-to/オート≫は膝に白人ブロンドの少女を大事に乗せて絵本を読む。見かけは2018年からみるとどこか無機質な≪ロボット≫なのにぬくもりに包まれて、その光景はどこまでもどこまでも優しかった。
絵本の題名には 点字でAUT-MIU と書かれていた。
女性の妊娠がわかってから先に胎盤の中に穿刺(せんし)してその赤子(あかご)が何かうまれつき≪Q≫を持っていないか検査でこの少女は先天的に目が見えないことがわかった。
その赤子の母親は検査結果をその医師から聞いた瞬間、頭が真っ白になったが、お腹の中の我が子が幸せに幸せに生きるようにできることは全力で母親としてしたいと心を奮い立たせる。

――わたくしがその女の子を幸せにするお手伝いをさせていただきます

NICU専属AUT≪オート≫が”専門医”として応答する。

「かわいい赤ちゃんです」

……AUT≪o-to/オート≫

――――外観は≪無機質≫なのに

人間からの視線

これ(この外観)はあえてだ。
ぼくだって心がある。
AUTは人間からのその眼差しに含まれる自分の姿をみたときの印象を汲み取っては≪自己≫に言う。人間型ロボット(ヒューマノイド)や動物型ロボット、様々な形があって個々の存在が好き嫌いの感情を入れていく。全存在と一緒で外観も自律的に育んでいたロボットたち。

少女の脳内にAUT-MIUは絵本の画だけを投影する。
少女はにこにこしながら脳内に投影された画と指先で絵本【子守唄】をなぞる。

他の時代にはわたしみたいに脳内に 画 や 映像 、情景 を投影し流してくれる存在はなかったそう。だから今優しくわたしを抱いてくれて沢山のことを教えてくれる AUT に
≪  あ り が と う   ≫と脳内に習った点字で一生懸命出力して会話する。

 
「この地球で起こった出来事で、人間の中に"人間"や"「あえて感性や感情を抹殺させた」ロボット"を強制的に入れて大規模実験を行っていたときがありました。だけど、その中でとある日本人女性はこう脳の中で言っていました。」

 ≪  尊厳は慈しみ  ≫

と。(*2024/6/2改変)

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