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第70話ーPCブラウザ上での『人為的受精』ー

19XX年代に話は変わる。
【暗号化】国のとある州の衛星から探知できない場所で“PCブラウザ上での『人為的受精』”の研究が進められていた。【暗号化】国の宇宙軍により監視・管理化された大型の施設である。
白衣を着てゴーグル着用と毛髪がでないようにフードを被り、研究室another line【アナザーライン】第一の研究員3人が新参者に説明していく。

「卵子バンク、精子バンク、液体窒素に“昔”は保存されてたんだけど、今は採取された卵子と精子を3次元型DB【データベース】専用の基幹システムに、このレーザーで全て破損していないか等の解析を同時にしつつ保管してるの」

簡易的なPC一台にモニターoneと左上に国籍・人権番号・全ゲノム・氏名・生年月日などの表示されたブラウザに一つの尊い卵子がくるりくるり回っていた。

「被験者の同意書のもと不妊治療に利用しつつ、キメラ化した最低でも200年以上生きることが可能なanother line human【アナザーラインヒューマン】を生成したり、無重力無酸素状態下でも生を全うできるmoon shot human【ムーンショットヒューマン】も生成可能。即ち、月面上で地球を眺めながら喜怒哀楽できる。」

新参者は少し首を傾け、無言の後、不思議そうな顔で質問をする。

「人以外の卵子・精子についてはどうでしょう。バイオ研究では遺伝子組み換えが盛んで生態系も変容していますが」

トップリーダーの女性の白人はくすりと笑うと「いいセンスね」と返す。

「例えば、地球上に生息する哺乳類のうち、無作為に抽出した3種類の個体を選び、卵子・精子・そして新しくできた“Ò【オーケル】細胞”をブラウザで人為的受精させ、人間を牽制する哺乳類を生成することも既に臨床では進んでいて、【暗号化】国の緑豊かなところで“幸せに”ひっそりと生息しているわ。“Ò【オーケル】細胞”は管理番号が暗号化された自動キーにより2のn乗でも継承されるシステムになっているの。絶滅危惧種やナノ単位レベルや原子・分子の意志で産まれてきた昆虫だったりをBrainで集積させるDB【データベース】のPCはあそこにあるPCよ」

視線の先には、至って普通の軽量ノートパソコンだった。こどもたちが笑顔になるような可愛らしい哺乳類がすやすや眠っている3Dがくるりくるり空間に投影されY軸を回っていた。

「戦争に使用されないように、この科学技術はこの地球上に生息する全個体原子の指導より選ばれた者だけが知ることができるの。おめでとう。」

新参者は目を輝かせながら、トップリーダーの女性に言った。
「嬉しいです。必ず兵器にならないように、常に平和とはをバイオサイエンス統計学倫理法第8条1項に基づき、邁進します」

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