舐めていたのは歴史的牝馬だった【マイルCS回顧】

回顧と言うより感想と言うか。2020年の中でのかなり衝撃的なレースでした。できればもう見たくないまである。軽いトラウマになる程の脚だった。

【グランアレグリア】

安田記念、スプリンターズステークスの勝ち方を見て強いと思った。めっちゃ強いと思いました。
加えて、阪神マイルのディープ産駒。血統を見ても過去の好走を見ても高速決着に通用するスピードは持っている。でも、決して付け入る隙が無いわけでは無い。

・休み明けで常に強いパフォーマンスをしていた馬の2戦目
・内枠
・レシステンシアの作るであろうハイペース

他の上位人気馬も不安要素を持っていたため(中間の頓挫、骨折空け、古馬になっての成長など)、グランアレグリアにとっての不安要素は先に挙げた3つだろう。私の評価としては△でした。

ただ、終わってみれば1強でした。

先行していた馬が垂れてくる、外の馬が内に切り込んで壁になる。内枠ってそういうロスが懸念されるもの。何らかの要素で仕掛けが遅れたら届かず2~3着はあると思っていました。……しかも割と付くし。
第一、インディチャンプ、アドマイヤマーズ、サリオスからグランアレグリアの2~3着の3連単を買っていました。

直線入った所でマーズが前の進路を断つように、すかさずインディがグランの左横にピッタリと付くように、それぞれの鞍上がエスコートした。右横にはラウダシオンもいたおかげで完全に包んだ。これで完璧という他なかった。
200m、150mでは「貰った!」と思いましたよ。もう大勢は決したか、と私が実況ならそう言っている。グランが辛うじてマーズを交わすくらいだろうと思っていた。

甘かった。

グランアレグリアは、アドマイヤマーズはおろかインディチャンプをも差し切りました。しかも、悠々と。
思わず「残して!」なんて言葉も出たけど、発する頃にはグランアレグリアの脚色が違う姿が目に映っていた。ゴール後にはひたすら「なんで」「どうして」「何故あの位置から差せる?」と繰り返していました。いや、今でも本当に訳が分からん。おかしいし、信じられない。
これ以上無いってくらいに噛み合った騎乗でグランアレグリアの進路を断っていたはずなのに、残り100mで一気にひっくり返された。瞬間のトップスピードで撫で切られた。なんだか少年漫画で圧倒的な敵に絶望する気持ちが分かった気がしました。

めっちゃ強いとか数年に1度出てくるとかそういうレベルの馬じゃない。私が舐めていたのは歴史に名を残す快速牝馬だったのだと実感しました参りました。

【インディチャンプ】

叩き良化型と言われていた馬が何故ここまで走ることができたか?なんですけど、負けた中山記念と毎日王冠は1800mだった。これだけで良いと思います。
「これまでの休み明け1800mだったでしょ? マイルですからね。そこは大丈夫だと思います」みたいな事を音無調教師も言っていましたね。当日馬体重も昨年マイルCSを制した時と同じ。中間の頓挫はありましたが、問題無いかなと思いました。

レースは道中に直線と完璧じゃないですか。グランアレグリアが並のG1馬なら封じ込めていましたよ。並じゃないからああなっただけで。もう少し仕掛け遅らせていたら…と思わなくも無いですが、それはそれでマーズに微差届かなかったかもしれないしなぁっていう。結局は結果論。
国内のマイルG1で先着を許したのは、アーモンドアイグランアレグリアのみ。この馬も相当強い部類のマイラーに当たると思います。だって春秋連覇だもん。

福永騎手も自分の馬の力を発揮させて尚且つ相手を打ち負かす競馬をしていて凄いなと思わされます。ネタで前が壁になるだの詰まるだの言われますけど、頼れる日本のトップジョッキーです。
今回なんかは特にワグネリアンのダービー直線のような閉じ込め方だったのではないでしょうか。グランにあのままスムーズに出されるのはまずいという判断での好騎乗かなと。

人馬共に100点の競馬で間違いないと思います。
安田記念でもスプリンターズステークスでも感じた事ですが、ただただ相手が悪かった。

【アドマイヤマーズ】

古馬になっての成長が疑われていたのはこの馬かなと。現4歳世代の牡馬が、古馬G1未勝利であることも尚更の不安要素だったかもしれません。
ただ、安田記念で展開が向かない中での6着は数少なくとも評価できた点だと思います。
叩きとなったスワンSも58㎏背負って3着。元々、友道調教師はスワンSを使いたかったようなので、1400mでこの着順は想定内だったのかなと予想しました。
阪神マイルでレシステンシアがタイトな流れを作れば必ず最後まで粘ってくれるだろうっていう期待で買いました。それと牡馬に頑張って欲しかった。

こちらもレースの立ち回りは良かったと思います。先行して押し切るタイプの馬ですから、川田騎手とは手が合ってそうですね。
個人的に川田騎手には「無難に乗って馬の力を出してレースを終える」っていう印象がありまして、でも今回はグランアレグリアの前に早めに出して行ってくれたので良かったですね。秋天でもダノンプレミアムで逃げてG1での勝負師な面が見る事ができたので、ジャパンカップのグローリーヴェイズも楽しみです。正直なところ頭まであると見てます。

【スカーレットカラー】

ラストランだったみたいですね。お疲れ様でした。
溜めればちゃんと脚を使う馬だっただけに取捨になかなか悩まされた思い出があります。私は今回3連複フォーメーションの3列目に入れちゃいました。
直線は岩田騎手のイン突きで「いつの間にそこに来てたの!?」って思いましたね。
ちなみにインディ、マーズ、スカーレットで3連複900倍でした。私にとってあまりにも救いが無さすぎる。確認しない方が良かったです。

【サリオス】

まだ早いよ、こいつを見限るのは。

いや、何と言うかまずダービーみたいな直線一気は通用しないって。このメンツは弱くないんだから。
デムーロ騎手の読みは分かるんだよ。恐らくレシステンシアがハイペースで飛ばした後の前崩れを狙っていたんだと思う。ただ、レシステンシアの逃げはハイペースでは無い後継ラップでした。それならそれで大外の少ない利を活かす戦法として捲って行かないと届かないよ…。

そもそもなんですけど、この馬の適正って何処なんですかね。やっぱり中距離?
個人的にはグラスワンダーみたいにグランプリに強い姿を見たいんですけど、どうでしょうか。栗毛だし。5歳暮れの有馬でサリオスがコントレイルを負かしたらそれはそれで盛り上がるかもしれない。
血統的にはハーツの晩成が期待はできないらしいですけど、ジャスタウェイやリスグラシュー並の変貌を遂げたら凄まじい馬になりますよね。なんかそういうロマンも込みで今後見ていきたいです。頑張れサリオスくん。

【その他のお馬さんたち】

さっくりさっぱりと行きます。

レシステンシア
溜め逃げして上がり34.3!?!?
馬のやる気がなかったのかな、まあ休み明けだしなぁ……みたいな。

サウンドキアラ
マイルCSで牝馬が来ない理由と言うか何と言うか。
やっぱり力量差はありましたね。それとも牝馬特有の走らなくなってしまったやつか。

ラウダシオン
よく分かんないです。とりあえず人気しなさそうな馬ですし東京新聞杯辺りで騙されてみようと思います。

あと何気に5~7着の馬が綺麗に8枠から来てて、しかも上がり1~3位で「ひえ~」って感じ。これグランアレグリアなら差し切ってそう。

【今回の購入馬券】

戒めとして置いておきます。
印打つなら◎インディチャンプ、〇アドマイヤマーズ、▲サリオス、△グランアレグリアその他でした。正直、◎〇▲は横並びです。着順上から印打っていた方が見栄え良いからそうするね。
3連複フォーメーションは紐荒れ期待も込みでした。

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悔しいなぁ……。

ジャパンカップはちゃんと予想して記事にしたいです。なんてったって世紀の一戦だもの。

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