高見山に登ってみよう

<現場監督>
事務所の仕事が一段落したことから、かねてより登ってみようと監督補佐と話し合っていた大和の国と伊勢の国との境界にある標高1249mの高見山に登ることにした。

11月27日を予定している。

以前、伊勢の国側の登山口から車を走らせて大峠の駐車場まで行ったことがあるので、今回も車で大峠まで行き、つづら折れの急坂を登って頂上に立つ予定にしている。

頂上に立つと大和の国と伊勢の国が見えるそうであるから、今から楽しみだ。

何せ、登山などここ数年したことがない身であるから、足にはまるで自信がないのだが、短い距離なので何とかなるやろ。

<監督補佐>
監督は大峠の駐車場まで行ったことがある、などと書いているが、本当はかなり頂上近くまで登った。

山には登山道があるものと思っていたけれど、高見山の大峠から頂上までは、「道」らしい道はなく、どう歩けば頂上に行けるのか、どうすれば迷わず下山できるのか、戸惑うばかりの私と違い、監督には人の踏み固めた道だか、けもの道だかがわかるらしかった。

なんでこの道がわからんのや、と監督補佐を罵りつつノッシノッシと前を歩く監督に付いて登った先に、見晴らしの良い場所に辿り着いた。ベンチまで設定されている。「わぁ、頂上だ~、きれいね~。」と喜んでいたのだけれど、後ろを通りかかった二人組は「ここは頂上じゃないですよ。頂上はもっと上」とバッサリ。

頂上を極めた、と十分満足していたのに、違うのか。

その時は夕暮れも迫っていたし、更に上を目指す気力もなく下山したのだけれど、高見山登山をしたと大手を振って言えない気分、高見山に忘れ物をしてきたような気分が時折脳裏をかすめていたのである。

そこで今回、今度こそ頂上まで行こうじゃないの、ということになったのだ。
登山予定の日の予想気温が低いというだけで、話を膨らませるのが得意な現場監督は雪が積もってるかも知れんなぁ、とその日を楽しみにしている。


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