さなコン2 感想 1 - 23

さなコン2の作品を読んで感想を残します。某落選展でやったのと似た趣。
アイディア面や書き方については結構勉強になるね。

1ページで24個表示されており、そのうちひとつは企画記事だったので、23個読んだことになるかな。開催発表から時間がない中で書かれた小説群なので、やや出来が厳しい作品が多かった印象。その一方でアイディア的には普通にいけそうなのがあったので、ちょっと残念ですね。

オケラ | 鮭さん

ワロシュ。滅亡した人類がオケラに同情されて泣く話。

いずれすべては森の中に | 九頭見 灯

私と先生のラブストーリー。眠り病にかかった先生にもう一度会うために、先生の病気を治すのではなく、自分たちの方の意識を先生の方に同期させようとする。眠っている状態の人間の意識を森(バイオコンピュータ)の中に移し、そこで自分も寝ることで先生に会えるという寸法。夢でもし会えたらって歌詞を思い出すね。
結構描写が難しくて頭の中に情報を取り込むのに負荷がある、というのと、現代の視点を持っていないと読み取りづらい部分がある感じだった。森は使いやすいモチーフだが、やや設定(研究)先行型のきらいがあった。ハードSF好き向けの印象が強い。

最高の布陣 | 草村のなか

枕たちが自分たちを売りつけるためにアイディアを絞る話。だが肝心のアイディアそのものが描かれていない。なんでや。
総括としては枕営業ってやつで、恐ろしい話だ。ちなみに寝具でお金をかけた方がいいと思うのは、マットレス→枕→掛け布団の順番かな。近々マットレスが高級品に置き換わるので、そいつの力を見せてもらいたい。(20220519)

星空のメッセンジャー | oxygendes

地球人類滅亡後に受信されたノイズ。そのノイズの中身は主人公の父親のメッセージだった。みたいな感じの話だった。多分。
如何にもSFって感じのSFだった。ノイズの扱い方がもったいないね。

無一命 | 偏光(岡埜由木古)

正直言ってよくわからない。
あまり現代的には小説って感じがしない。論って感じだね。

白雪姫に魔法の口づけを | 石川なつき

眠る病にかかった妻にキスをする話。
短いけど切れ味がいい。題名の時点で先は見えているんだけど、思った通りのことを思った通りにすっぱりと切るというのはなかなか難しいから、こういうのを読むと気が引き締まる。

Dear one 〜親愛なる人類へ〜 | 石川なつき

宇宙人が人間を育てるが、失敗して死なせてしまう。主人公もそれを追って自殺。それにより人類と呼べるものはこの世から消えた。そんな話。
詩的なあらすじを読んでいるような感覚。なめらかにストーリーが収束していく。読了してあらためて読み返すと、あらすじの要約力がかなり高い。見習わないといけないと思う。

金色の鳥は月に住まう | 天佑不朽

人類滅亡後の世界で繁栄したのは鳥だった。その鳥が謎の正十六面体に触れることで金色に輝きながら「自分が触れたものは希望だったのかもしれない」と語る物語。
やや思弁的でありながら、描かれる現象がファンタジックなのがよかった。もうすこしストーリーとして読みたかったな。イメージの美しさに対して物語が追走できていなかったのかもしれない。

集団現実逃避 | 彩葉

ちょっとよくわからない話。歴史は繰り返す系の話として読めばいいのかな?
なんらかのファンタジーだと読めるんだけど、情報が少ないので読み解くのがきついかな。

おはようさん、良い夢みれた? | 石川なつき

眠りについてしまった人類に関西弁で話かける誰かのお話。
やさしいお話。

明日にはいない君たちへ | koz

仮想現実世界と思しきシステム内で生きる人類が滅びるまでの過程を描いたもの。
絶望感漂う作品。ひたすら頭が重くなる感じなので、そういうのが好きな方へ。ただ、話の流れは予定調和的な崩壊に向かっている感があるので、いきなり崖から突き落とされたりはしない。

海底下の遺跡において発見された資料 | ユートキ

遥か未来の世界に残された記録がこの小説というていになっている。あらすじを読まないとこの作品の正体がわからないようになっている。意図的な仕掛けだろう。
題名からはSCP Talesの空気を感じる。あらすじを「利用」してる感じがするので、レギュレーション違反。本文から漂う諦念は本物っぽい。

その後の世界で | スパヴェンタパセリ

コールドスリープ状態の人間が発見された。それが事故で目覚めてしまう。
それでこのあとどうなったんだよ!!!!
そう叫びたくなる終わり方。短いので、気になる人はたしかみてみろ。

さようなら、青い星 地球 | 今江リホ

人類全体が、地球が滅びるという夢を見る。そしてそれが現実になる。
メッセージ性という意味では、シンプルだけど強いよねと思う。投稿後でも本文はまだ修正できると思うので、直したい部分は直しても……と思いました。(20220519)

猿のいない星 | 元村 民子

人間たちが滅亡へと向かっている中、どうにか救いを得ようとする中で、猿たちに知性を与えることに成功する。もはや猿ではなくなった彼らをどうか救ってくれ、と宇宙に向けて発信すると、異星人が助けに来てくれた、というお話。
話の筋はストレートなんだけど、シンプルな設定の中に人間の善性を信じるような力を感じ取れた。これが語りの力ってやつだな、と思う。世界を滅ぼしたものの名が希望というのは、率直にしてアイロニカルだね。

眠り | ETΞЯИAL ZUИDΛ

漫才みたいな話。
ちょいワロ。編集は無限にしてもいいが、期限があるよ。

弔辞 | まじで

人類滅亡後に反映したのは、とある鳥類でしたというお話。
なるほどね、と思った。普通に読み飛ばしちゃったのでコメント見るまで正体がわからなかったよ。

ナニカ | 秋月みのる

滅亡を5として、そこから0までカウントダウンして事の発端までを描く作品。オチに出てくる単語が……。
ヌァルホォドね。構成の工夫がよかった。オチが普通だったのとでプラマイ……かな。

堆積夢 | 偏光(岡埜由木古)

よくわかんないです。
あんまり小説っぽくないんだわ。残念。

進化_ドロップアウト | あたりめ

教授と助手がミニチュアの遺跡を発見する。その発見ののち、彼らは自分たちと似たような大きさの蝶を目撃する。これはそうやって「巨大化」していくことによって酸素が尽きて滅亡という話の流れになっている。
そういうオチか! と読み終えた時は思った。
命名からショートショート感が伝わってくる。

春の白い陽気 | リンリン

異星人との恋愛小説。
二重のレギュレーション違反をしているので、レギュレーション違反を直したらどうかなと思う。内容は恋愛小説で、結構描写に特徴があるので、レギュレーション違反さえどうにかすればもっと読まれるのでは、という気がする。(20220519)

オルゴール 子守り歌の音‥そうして人類は永遠の眠りについた | 高里まゆ(ののちゃろう)のの

謎の感染症で世界が滅びる。
ほろびのうた、という感じだ。描写が全体的に強化されれてくると、味が濃くなっていくと思う。

人類は交代しました | 甘盛かふぇいん

人類が滅亡して、代わりに人類2(つー)に置き換わる。つーは性を相手に会わせて変更できる種族。彼らだけでいる間は、特に問題は起きなかった。だが実は滅亡してなかった人類が地球に戻ってきて、結局は全滅する。
おお、なるほどね。アイディアが光る。ただ全体的にあらすじ調なのでもったいないオバケが出るぞ。


今回は以上です。
お読みいただきましてありがとうございました。

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