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小説の束

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小説まとめ
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#掌編

寂しさの理由、海の底

波  忘れてしまったことがいくつもある。  それらが大切なのかそうでなかったのかというこ…

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Kとサイゼのミラノ風ドリア、

本文  その時代、サイゼのミラノ風ドリアは三〇〇円だった。それぞれに注文した食事を囲んで…

ザクになる勇気

 ブンゲイファイトクラブのオープンマイクに投稿しました。 はじめに  そしてオープンマイ…

未来を燃やす夜(B/F/C/3落選展・碑文)

 ――三次で落選した。  そのメールを見た時、ほんのわずかに喜んでいる自分を見つけた。そ…

ブンゲイファイトクラブマン(B/F/C/3落選展・碑文の裏)

「良い子のみんなお待たせ! ブンゲイファイトクラブマンだよ!」 「わー!」「わー!」「わ…

渡り鳥

“192  渡り鳥  Todfeind (note名:サクラクロニクル)” 以下、テクスト本文  月を眺め…

トワノナノカ

本文  枕カバーの染みにため息。そんな日々の始まりは自業自得だ。  ニカイドウ・ナノカという女の子がいる。彼女の彼女という立場は、いまやあたしの手のうちにある。何人たりともその地位を揺るがせることはできない。ただひとり、トワノという女子を除いて。 「ハルナちゃん。トワノさん、また寝不足そうだったね」  そんな風に心配をするようなことを、ナノカはあたしにしたことがない。肉体的接触についてもせいぜい手を握るくらい。それも、いつもあたしからだ。キスをせまってもすっと避けられる。