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【スタートアップ!占い師】#34 病状をみてって言われたけど、占っちゃいけないの?  占い師が仕事上占ってはいけないこと

 法律の難しい勉強をしてさらにレベルアップした、さくらさん。
 鑑定中に困ったことが起きたみたいです。
 どうやら、お客さんに「認知症のおばあちゃんの将来の病状をみてほしい」と聞かれたようですね。

 さくらさんの言っている通り、占いでは将来の病状を判断するのは難しいでしょう……というより、占ってはいけません。

  みなさんは「どんなことが占ってはいけないことなのか」が、わかっていますか?
 今回は「占ってはいけないこと」についてお話していきます。

 法律や占い師の倫理に触れる内容ですので、この記事も無料です。


占い師が「占ってはいけない内容」としてよく挙げているもの

 占い師や占い会社のサイトで「これは占えません」「禁止としている鑑定(相談)」と書いてあるページを見たことがあるでしょうか? 仕事にしたくて占いの勉強を始めたばかりの人は、見かけたことがないかもしれません。
 占い師として活動している人は、すでにガイドラインや規約に記載していると思います。

 「これは占えません」「禁止としている鑑定(相談)」としている内容は、どのようなものがあるのでしょうか。

 多くの占い師は、下記のような内容を「占えない」としています。

・生死にかかわること
・病気にかかわること
・試験・資格・選挙の当落
・裁判に関わること
・ギャンブルや賭け事、投資
・専門家に聞いたほうがいいこと
・犯罪にかかわること・反社会的な事柄
・不倫や浮気にかかわること
・同じ悩みを何度も占う
・失せ物・失せ人探し
・芸能人との恋愛について
・他、占い師が得意としていないもの
・頼まれてもいない占い

 では、これらは「どうして占ってはいけない」とされているのでしょうか。さまざまな観点から説明していきましょう。

法律の観点から「占ってはいけない」とされているもの

医師法・薬機法によって「占ってはいけない」とされているもの

 医師法・薬機法の観点では
・生死にかかわること(当事者が医療的行為を行っている場合)
・病気にかかわること

 に、あたります。

 占いの象意に体の部位があること、中国五術の「命・卜・相・医・山」の中に「医」があることからもわかるように、遠い昔は占いと医学は繋がっており、病気や寿命にまつわることも占いでみていた時期がありました。
 占いと医学は分離され、医学が発達し、病気をみつける技術も向上しました。公衆衛生や健康的な生活を確保するために、法律も設けました。

 現在の医師法では、このようにあります。

第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。

医師法 第五章より

 この「医業」は「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼす虞のある行為(医行為)」を指しています。
 医師の医学的判断や技術がない人が人体に悪いことを行う可能性のあることを行ったらダメなのです。

 健康運でとりあげられがちな「将来の病気の可能性」「病状の進行具合」「障害を持つ(持っている)可能性」を告げることも医業になります。医師免許を持つ占い師ではない限り、「誰かの病気の診断」「健康になるための医学的指導」を行ってはいけません。医学的知見や検査等が必要なことで生死に関わるもの、例えば「不妊治療について」「ブライダルチェック」「余命のめやす」も占ってはだめなのです。

 「こんなことをすれば病気は治る」といった治療法のアドバイスも行ってはいけません。
 「治る」といえば、薬機法にはこのような記載があります。

第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。

薬機法より

 セラピスト界やヒーリング界でもよく聞きますが、「治る」「改善する」「効果がある」といった治癒的な表現は、確実にそうなる保証が全くないため、これらの言葉を使った仕事のアピールは薬機法違反になります。

 医学的・薬学的な意見が必要な内容は、占わず、病院に行くように促しましょう。

 ちなみに、近年サイトでよくみる「うつ症状チェック」や「発達障害診断テスト」といったものは、ただの情報提供サービスであり、医療的な診断ではありません。占いサイト(占いライティング)でもそういった診断系の記事はよく見かけます。
 もし、占いで健康系の記事を書く場合は、法律の範囲や情報提供の範囲からはみ出ないように気をつけましょう。

占いによるトラブル防止の観点から「占ってはいけない」とされているもの

 それ以外のものは直接法律には触れませんが、占った内容を受けたお客さんが誤った行動をおこし、法的なトラブルに発展してしまうものがあります。
 トラブル防止の観点から、「占ってはいけない」とされるものは以下になります。
・選挙の当落
・裁判に関わること
・ギャンブルや賭け事、投資
・専門家に聞いたほうがいいこと
・犯罪にかかわること・反社会的な事柄
・頼まれてもいない占い

選挙の当落

 選挙の当落は、占い師もお客さんも選挙に全く関わりがない状態で「当選するか落選するか」程度であれば問題はありません。 勝機をみるだけの占いも大丈夫ですが、占いの結果によって選挙活動の内容が大きく変わるかもしれません。
 占い師が候補者に深い関わりがあり、かつ、お客さんがその候補者に関わる選挙の有権者だった場合は、鑑定中の話し方次第では公職選挙法違反になる可能性があります。また、お客さん側が候補者と深い関わりがあり、占い師が有権者だった場合も戸別訪問(公職選挙法第138条)とされ、公職選挙法違反になる可能性があります。
 選挙法に疎い占い師が「選挙の灯標呼びかけでDMを送るといいでしょう」と、違反行為をアドバイスとして伝えてしまうパターンもあるでしょう。
 公職選挙法に詳しくないと、選挙の当落の鑑定を扱うのは難しいでしょう。

裁判に関わること

 民事裁判も刑事裁判もどちらも、法律を扱います。
 弁護士や検事でもない占い師が、法的な確証のない占い結果を裁判の当事者に伝えてしまうと、その裁判に混乱を招いてしまう可能性があります。
 占いを本当のことだと錯覚した当事者が「相手に処分が下ってほしいから」と、占いの結果を告訴として使った場合や裁判の証言として使った場合は、その当事者が「虚偽告訴罪(相手を貶めるために嘘の告訴を行う罪、刑法172条)や偽証罪(裁判で偽りの証言をする罪、刑法169条)になります。占いの内容が事実であれば「虚偽」にならないですが、外れている場合は「虚偽」になってしまいます。
 占い師は事件の当事者ではないですし、その事件に出くわしたわけではないので、占いで見たものが事実かどうかはわかりません。
 当事者の話し相手になり、裁判に向けての気持ちの持ち方へのアドバイスはできますが、裁判に直接関わるようなことは占ってはいけないと思っておいたほうがいいでしょう。
 占い師が偽計業務妨害罪(嘘の情報を流して他者の業務を妨害する罪、刑法233条)を問われることになってしまいかねませんので……。

ギャンブルや賭け事、投資

 ギャンブルや賭け事、投資においては、本来は占っても大丈夫です。
 金運が上がり具合をみて宝くじや馬券など買ったりパチンコ・パチスロに行く人、運気の落ち具合をみて手元の株を売る人もいます。

(スピリチュアル系に多いのですが「お金など、エゴが強くなりすぎるものは占えない」「当て物だから占えない」と仰っている占い師もいます。確かにお金関係は、お客さんの執着心を感じさせるような占い内容が多いと思います。が、その占い師がそう思っているだけなので、気にしなくて大丈夫です。当てたら普通にすごいですし。)

 では、賭け事や投資を占うことでどんなトラブルに発展するのでしょうか。
 それは、占い師に「自分の損への責任をとれ!」と訴えかけてくるトラブルです。最悪、「占いを信じていたのに、(お金や不動産など)の紛失があった!お前のせいだ!訴えてやる!」と、占い館にクレームをぶつけたり、レビューを低く書く等で嫌がらせをしてくるお客さんもいるかもしれません。
 将来の蓄えを心配する人、収入を増やしたい人、大きな買い物を控えていて金銭的に不安な人……と、お金のことを占ってほしいお客さんはさまざまな事情を抱えています。
 その中でも占いをうまく使えるお客さんなら、どんな占い結果が出たとしても冷静に受け止めてくれますし、自己決定力と責任能力が強いので、占いで出た結果から考えだした行動にちゃんと責任を持ってくれます。
 しかし、一刻も早く大金を手にしたいと思っているお客さん、占いにしかすがるところがないお客さんは、欲や不安にとらわれているが故に状況判断力が落ちていて、かつ、判断を占いに任せている場合が多いのです。冷静に占いを受け止める準備ができていません。そんなときに占ってしまい、金銭的にもっと余裕がない結果になってしまった場合、お客さんの受け止め方次第で上記のようなトラブルになる可能性があるのです。

専門家に聞いたほうがいいこと

 DV、生活支援に関わること、法律に関わること、介護のケアプランについて、保険や家計の整理、税・遺産に関すること、栄養学的なこと、保育関係の相談などは、専門家に聞いたほうが適切なアドバイスがもらえます。
 早急に対処しなければいけないとき、専門家やNPO法人などの手が必要なときに占い師が間に入ってしまうと、受け取るべき支援や必要なケアが当人に届かないことも。専門家に相談に行くタイミングも失ってしまう場合があります。
 占い師が話し相手になり、窓口になって、専門家を紹介したり専門家に連絡を促すのはいいでしょう。支援に対する知識がないのに、自分が専門家になったつもりで占いですべてを解決しようとするのはよくありません。 

犯罪にかかわること・反社会的な事柄

 犯罪にかかわることや、暴力団や闇バイトなどの反社会的な相談内容は、占い師が扱える事柄ではありません。占い師が犯罪に巻き込まれる可能性があります。自分の身を守るために、占ってはいけません。

道徳・倫理の観点から「占ってはいけない」とされているもの

 道徳・倫理の観点から占ってはいけないとしているのは
・生死にかかわること(寿命など自然に任せるもの)
・試験・資格の当落
・頼まれてもいない占い
 です。

生死に関わること(寿命など自然に任せるもの)

 占いの言葉は強い思い込みや暗示になりやすく、命を占うことで、お客さんの人生や時間の使い方に制限や縛りをかけてしまうかもしれません。心のままに人生を歩んでもらうためにも、生死は占ってはいけないでしょう。寿命や自然妊娠においては、自然や見えない存在(神様や仏様)に任せるべきです。

試験・資格の当落

 なにかを手に入れるためには、努力や継続は必要です。「勉強でどこを伸ばすべきか」「面接と筆記のどちらを頑張るべきか」といった内容なら占ってもいいですが、受かるか落ちるかの占いは、上記同様強い暗示になってしまう可能性があるので、占うべきではありません。
 占いの言葉は簡単に人の心を折ります。占い結果を聞いて、絶望を感じて目標を諦めてしまう人もいるのです。

頼まれてもいない占い

 お客さんに聞かれたこと以外は占ってはいけません。
 「こんなことがあった。ついていないなぁ。運気でも悪いのかなぁ」と誰かがSNSやブログで吐き出しただけなのに、急に生年月日などを聞き出してその人のことを勝手に占い「そうですね、あなたを占ったらこんな結果がでてたんですよね、だから運気から悪いのでは?もっとこうしたら?」と、アドバイスをしてくる占い師も中にはいます。
 頼まれてもいないのに占う行為は、マナー違反です。 

占い師独自で「これは占えないな」と判断しているもの

 法律的にも道徳・倫理的にも「占ってはいけない」わけではないし、占ったからといって大きなトラブルに繋がるわけじゃないけれど、「占ってはいけない」としているものです。
 これはつまり、占い師によって「できるから受け入れている人」と「できないからお断りしている人」が分かれているものです。以下になります。

・不倫や浮気にかかわること
・同じ悩みを何度も占う
・失せ物・失せ人探し
・芸能人との恋愛について
・他、占い師が得意としていないもの

不倫や浮気にかかわること

 不倫や浮気のような不貞行為は推奨できるものではなく、相手との将来を応援できないため「占うことができない」としている占い師は多いです。相手の浮気を占うのも、お客さんを思い悩ませる原因やパートナーとの関係をこじらせる原因になりえます。取り扱い注意の内容には手が出せない人もいらっしゃいます。
 しかし、不倫・浮気関係のご相談は人気があります。占い鑑定の中でも多い相談内容と言っても過言ではありません。受け入れOKだと依頼が多く入るため、積極的に鑑定を受け入れる占い師もいます。

同じ悩みを何度も占う

 リピーターに多いのが、同じ悩みを何度も占いに来る人。「早くこの暗いトンネルから抜け出したい!」という思いで、占い鑑定を依頼してくるのでしょう。
 同じ悩みを何度も占うと正しい結果がわからなくなります。納得のいく結果を聞くまで、何度も通うかもしれません。占い依存を作ってしまう可能性があります。
 「絶対に受け付けません」とまでは言わなくても、「短期間の鑑定は受け入れません」「同じ悩みなら1ヶ月ほど間をあけてからお願いします」とお断りを入れている占い師は多いでしょう。
 しかし、リピーターがあると頼られた側は嬉しくなるものです。同じ悩み大歓迎、短いスパンでの同じ内容の鑑定大歓迎としている占い師もいます。

失せ物・失せ人探し

 失せ物・失せ人探しを受け付けない占い師の主張としては、「占いに頼る前に『探す』『警察に届ける』『SNSで拡散する』といった現実的なやり方で見つけ出したほうがいい」という意見(ちなみにこれは私です)や「占いを当て物にするな」という意見があるようです。
 一方で、ホラリー占星術やダウジングなどで探し物(人)を行う占い師もいます。

芸能人との恋愛について

 芸能人との恋愛は非現実的であり、コネがなければ成就しにくいものです。「おおかた叶わないだろう」という理由で受け入れない占い師は多いでしょう。
 しかし、「推し活」と趣向を変えて芸能人との相性を占う人もいます。
 やり方次第で占うことはできます。

他、占い師が得意としていないもの

 例えば「恋愛は得意だけど、お金のことになるとどうしても占うのに抵抗があって難しい」「事業関係は上手く読めるのに、家庭のことは上手く読めない」といった個人的な理由で「占ってはいけない」ことにしている占い師がいます。
 精度が低く仕事にならないために、自ら線引きしているパターンです。

おまけ・「占いの三禁」について

占ってはいけない事柄として「死・盗・姦」というものがあります。

死(し)……人の死期や寿命を占ってはいけない
盗(とう)……誰が盗みをしているかを占ってはいけない
姦(かん)……浮気のこと。誰と浮気をしているのかを占ってはいけない

 この3つは、占うと災いが起きる、といった話を聞いたことがあります。
 が、文献や引用先を探そうとネット検索をかけても見つからなかったので、本当に災いが起きるかどうかはわかりません。
 (占いの三禁について書いてある文献を知っている方がいましたら、教えてください)

どんまい!

 占ってはいけない内容を理解し、お客さんに占いのガイドラインを告知しておけば、法に触れることもないですしトラブルも未然に防げます。
 本来できないものを「できる」と伝えて占う行為はとても危険。自分の占い師ライフを削るようなことはしないようにしましょうね!

参考・引用サイト

https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/iryoukoui-wg/document/02-shiryou/iryou2_siryou1.pdf


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