『そして、父になる』の感想文 ーとても考えた、それが無駄だったと気づいても、なお、考えていこうとー
今さらですが、「そして、父になる」の感想を。
見た理由は現在上映中の「怪物」を見たからである。
怪物の監督は是枝さん。
是枝さんの映画を見たことがなかった。
それは少々よろしくないと思い、見ました。
あらすじをここに書くつもりはないです。
ただただ、感想を。つらつらと。
1 結局、どっちでもいいとわかっているのに、選ぼうとしてしまう。
まずは、僕の中で、”どっちの家族が良いか問題”が発生した。
映画を見ながらずっと考えていたー
映画で描かれている、金銭面、家族構成、夫婦関係、、、そして、子どもとの血縁。いろんな要素が絡み合っていて、どれだけ考えてもどちらが良いかの答えに辿り着けなかった。
そして、見終わる頃には、この2つの家族に関わる複雑すぎる要素が丁寧に描かれているなと率直に感じた。矛盾しているけれど、シンプルに複雑。
加えて、考えても正解はなく、どっちが良いとか関係ないなと、この考えていた時間は何だったのかと思わされた。正直、無駄だったと思う。
ただ、無駄だと分かった上でまだ正解を求めて思考を深めようとしている。この感覚、変。心地はいいけど。
2 グッと入り込み、自分を重ね、登場させて。
映画で、ある1つのテーマを扱うときに、そればかりにフォーカスされてリアリティーがなんかないなとうまく入り込めない時がある。「いや、あり得ないでしょう笑」的な。
この映画には、それが、全くない。
ずーっと、「ありそう、ほんとにこうなるんだろうな」と思わされる。
いざ、実際にこどもと血が繋がってないと分かったら、、、
交換するのか、しないのか、、、
その手続きは、、、
この映画を見ながら、頭の中がぐるぐる回転していた。
僕が思う入り込める映画は、見ながらその次の展開を勝手に考えて、自分ごとのように見入っている映画だと思う。
恋愛映画が人気な理由はここにあると思っている。
みんな、登場人物を自分に置き換えて、恋愛している。その映画のシチュエーションで。
まだ、僕は結婚もしてない、まして、こどももいない。
ただ、SNSを通して、同級生が結婚した報告を聞くようになったり、社会人になって、チームメイトに既婚者やこどもを持っている人がとても身近になった。
その影響もあり、この映画にしっかり入り込めた。登場人物になれた。
この映画の当事者になれたことが1つ年齢を重ねたんだなと指標になった。
なんか、変な〆になったな。笑
3 よくある『ラストシーンに涙するー』が似合いすぎている。
ラストシーン、”カメラロールを振り返るシーン”には涙した。
(けっこう映画で泣けるタイプです)
ちゃんと号泣した。
そのシーンを通して、この映画で視聴者に伝えたいこと、考えてもらいことをクリアになった気がする。実際、僕はそうだった。
血縁は切っても切り離せないしな、とか、それでも6歳までずっと一緒に過ごしてきた日々はその血縁を切り離せるのかなとか、いろんな意見があると思う。
これには正解はないし、それぞれ個人の中で折り合いをつけて正解を出すしかない。
そうやって捻り出した結果、あのラストシーンに是枝監督はたどり着いたのかなと感じた。そこには監督をはじめとした、この映画を撮るにあたって関わった全ての人の試行錯誤をビビっと感じた。痺れた。
特に俳優陣の演技力。
演技には無縁、そして素人ながら、演技うまいなと感じた。正直、あっ、なんか棒読みだなとか演技が下手っぽいのは素人的に分かりやすいが、細部に気を配り、『演技』の質をありありを目にし、「あぁ、演技上手いな、、、」と感嘆したのはほぼほぼ無い。
そんな、素晴らしい作品に出会えて嬉しい。
終わりに。
個人的に、映画を何回も見ることはあまり得意ではないし、金曜ロードショーでやっていたら、2回目を見るくらいしか、繰り返し見ないタイプ。
ただ、いつか、私が父になったら、必ず、また見ようと思う。
その時は、その感想をここに追記するか、新しいnoteを書こうと思う。
どんな感想になるのか我ながら楽しみです。
櫻庭立樹
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