「あなたの為を思って」という偽善者

早退したことにより、症状は回復したか？
翌日からまた普通に仕事ができたか？

結論から言うとますます症状は酷くなりました。

職場が近づくと自然に涙が出るようになりました。
それでもなんとか職場まで行くと、今度は園の玄関に向かうのが怖くなりました。
その怖さを意識しないようにしてなんとか自分の席まで行っても、園長が出勤してくる時間になると心臓の鼓動が早くなり、胃が喉元までせりあがってくるような感覚と猛烈な吐き気に襲われました。

そして園長が入ってきて、なんとか頑張って声を出した挨拶を無視されると
挨拶を無視した園長よりも、こんな奴に無視されただけで気分が悪くなる自分自身を責めるようになりました。

そんな毎日をやっとこなしているなかで、主任はあたかも「私はあなたの味方よ」という感じでいちいち園長が私について言っていることを逐一報告してくるようになりました。

勿論、良いことであるはずもない報告を私は毎日毎日聞かされました。

※よくいますよね、主任みたいな人。
AさんがBさんの悪口を言っている時はAさんに同調しているくせに、BさんにはAさんがこんなこと言ってたよといちいち悪口を告げ口し、BさんがAさんの悪口を言えば今度はAさんにBさんがこんなこと言ってたよと告げ口する、気持ち悪い人※

聞かされた内容について、私はいちいちコメントをしませんでしたが、心は自分の悪口がいっぱい詰まったゴミ箱のようになっていきました。

「主任、園長が私を嫌いなのはもう充分に分かってます。主任が私に逐一教えにくる悪口を聞くこちらの気持ちをお分かりですか？毎日毎日、自分の悪口を聞かされる私の気持ちがいいわけはありませんよね？」

心のエネルギーを絞りだして、ある日そう伝えました。
すると主任は
「私はあなたの為を思って言ってるのに！私この前あなたがかわいそうだから、園長にこのままだとパワハラで訴えられますよって言ってやったんだから！そしたら、『訴えるなら訴えてみろ！こっちには金も人脈もあるんだ！あんなシングルマザーの小娘にはぜってぇ負けねぇ、徹底的にぶっつぶしてやる』だってさ、最低でしょ！？」
とまくしたてるように言いました。

あなたの為を思って
私は今までの人生で、この言葉を使って本心で相手の為になにかをする人間をみたことがありません。この言葉を使う人は、自分は善意の人間であると自分を信じて疑わず、結局はあなたの為を思ってといいつつ、その「あなた」を通して自分の利益を見出そうとする厄介な偽善者だと思っています。

なるほど、通りで最近園長は私にさらに酷くあたるわけだと思いました。
主任が勝手に発言した「訴えられますよ」を聞いて、園長は私自身がそのような発言をしたと思い込み、あの頭髪の薄い頭に湯気を立てるが如く頭にきたのでしょう。

『評判を落とそうにも、仕事ができない俺には仕事では太刀打ちできないからパワハラして潰してやろうと思ってるのに、訴えるだと！？いい根性してんな、そっちがそのつもりなら徹底的にぶっつぶしてやる』

多分そのように園長は思ったのだと思います。

すれ違いざまに蹴る真似をしたり、決裁印をお願いした書類を床に投げつけられたり、そうかと思えば私が公休日のうちに勝手に席替えをして私の背後に張り付くような位置に園長の席がくるようになっていたりしました。
園の行事についての会議にも参加させてもらえず、重要な連絡事項は私の耳には届かず、みんながお揃いのユニフォームの中私だけが違う服を着るはめになったり、職員紹介の時は他の先生は大げさに褒め称えながら紹介し、私だけ「え～あっ、名前がでてきませんが、うちの職員です」と言われたりしました。

最初は味方してくれていた先生達も、園長の私への仕打ちが激化しているのを見て、私に味方すると明日は我が身と思うのでしょう。
いつしか私と前のように接してくれる人はほとんどいなくなっていました。