11.男性不信とストーカー

夏休み少し前から入院し、2学期が始まっても文化祭が終わっても学校へ来ない私についてクラスメート達には「体調不良の為、県外の病院へ入院している。面会やお見舞いは遠慮するように。学校に来ても病気については聞いたりしないように」と担任から説明があったそうです。

入院中も両親がカウンセリングの度に置いていってくれるお金で隠れて過食嘔吐していた私は身長約160㎝で体重は約45キロ前後を保っていました。
退院時にそれを知った担当医は「なぜ、お金を渡していたのですか?それでは過食してしまうのに」と両親に言っていましたが、この発言からしてまだ当時はこの病気の治療は手さぐりだったのだなと思います。例えお金がなくても、当時の私はなんとかして過食の為の食べ物を手に入れていたと思うからです。食べなければいけないという強迫観念のような状態は、お金の有無でコントロールできるようなものではなかったと思います。

退院して久しぶりに登校すると、入学した時からだいぶ痩せてしまった私を女子は「大丈夫?」と気遣ってくれたり、入院前と変わらない感じで接してくれました。

驚いたのは男子の態度の変化でした。
小さな頃からぽっちゃりで、小学生からは眼鏡もするようになり、取柄と言えば成績がいいことだけだった私は、男子から「デブ」「ブス」「ガリ勉」と言われたりしていましたし、自分でもそう思っていました。

入院中に私は極度の近眼が進み、薄型加工をしても眼鏡のレンズが分厚くて勉強するのに目が疲れるからコンタクトに変えており、登校した時もコンタクトレンズでした。

最初男子の反応が違うのは、体型が変わったうえにコンタクトの私を見慣れないからだと思っていましたが、それだけではないのだというのがだんだんと分かってきました。

それまで見向きもされなかったので男子の態度の変化の意味が分かりませんでしたし、散々「デブ」「ブス」と言われてきたので信じられませんでしたが、痩せてコンタクトにしただけで突然モテるようになっていたのでした。

手紙をもらったり、呼び出しをされても「この人は私の表面だけを見ている、私が何をやってるかなんて知らないし、もし知ったら絶対嫌いになるはず」と思い、嬉しいとは思えませんでした。

そして、あんなにデブ、ブスと言ってきたくせに、外見が変わっただけでこんなに態度が違うなんて信じられないと、男性不信を募らせていきました。

入院したことで行きたいと思っていた市内でベスト3に入る進学校である女子高への進学は諦めていましたが、男性不信になったことで「男子のいない学校に行きたい」そう思い、相変わらず食べて吐きながらも必死で勉強の遅れを取り戻し、その高校へ進学しました。

進学してからも学校帰りに勉強しに行った図書館や、駅や学校付近で待ち伏せされて男性にアプローチをされることがあり、私はますます男性不信を募らせていきました。

そして今でいうストーカーのような人に目をつけられるはめになり、ある出来事をきっかけに私の過食嘔吐は酷くなっていきました。




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