小山愛子『ちろり』

また良い漫画を見つけた。

2022年4月12日現在、「週刊少年サンデー」で『舞妓さんちのまかないさん』を連載中の小山愛子さんが、かつて「ゲッサン」で (2011年7月号から2015年12月号まで) 連載されていた『ちろり』。
昨夜、小学館の公式無料漫画アプリ「サンデーうぇぶり」で『舞妓さんち〜』を読んでいる時に偶然見つけた作品で、ひとまず第1話を読んでみた。

時は大開港時代、文明開化の風が吹く港町・横濱。
その海沿いのはずれに建つ小さな喫茶店カフェー「カモメ亭」で住み込みの女給として働く女の子「ちろり」が、朝 目覚めて、今日も新しい1日を迎える。
この漫画は、ここから始まる。

セリフが全くないコマの連続にページの大半が割かれていることで、早朝の静かで 良い緊張感のある空気が、温度までも伴って伝わってくる。
支度を始めた瞬間に仕事人の目に切り替わる、ちろりちゃんの表情のギャップがたまらない……。

   *

――第3話まで一気に読んだ。
『舞妓さんちのまかないさん』は 元気印・キヨちゃん達の活き活きした「動」の印象が可愛らしいけれど、この『ちろり』ではひたすらに「静」を描いて魅せる。

のどかで涼しげな近代の街並み。その地下深くでは、漫画家・小山愛子さんの「絵の職人」としての覚悟が、夏の暑い日差しを受けて 熱を帯びている。

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