見出し画像

スリ空き巣にご注意!

夕暮れ時、買い物袋を下げてぷらぷら帰宅すると、家の目の前にバイクにまたがった男が辺りを見回している。男を一瞥して門をくぐり、灯りがついた家の中へ大きな声で「ただいま」と言って家に入った。家の中には誰もいない。心臓が少しだけバクバクしている。空き巣の偵察かと思ったのだ。

翌日その話を会社でしたら「考えすぎじゃない?」と同僚に言われた。そうかもしれない。でも7年間ヨーロッパでスリや空き巣を散々見てきている。主に滞在していたのは英国だが、中でもイタリアはスリや泥棒がヨーロッパで多かった。ホテルに泊まると窓は檻のように鉄格子が張られている。治安の良い一般住宅街も同じだったので、イタリアではどこの家でも鉄格子が張られているのかと聞いたら「だってその方が安全じゃない?」と驚いた顔をして返答された。

人よりも用心深い方ではあるが、それでもスリに狙われたことが一度だけある。ローマの地下鉄の電車の中でで5、6人の子供たちに囲まれ羽交締めにされた。手足を拘束されてうつむくと、13歳くらいの男の子が私の足元にバックは切っている。男の子と目が合うが、声は出てこない。だがその子と目があった瞬間、男の子のバックを持つ手が緩んだ。列車は駅に止まり扉が開く。私は子供達を振り解いて、ホームに飛び降りた。幸いにも、バックは切られだけで中身は取られずに済んだ。日本では電車の中でバックが開いていても、席を確保するのにバックを置いていても誰も盗もうとしない。治安が良い所は住み心地もいい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?