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冬の風物詩〈カニバス〉

 道頓堀では、大きなカニが年中蠢いている。カニ道楽の看板だが、近年では動くカニさんは全国に散らばっているらしい。
 関西のカニは「カニ道楽」をはじめとする殆どの海鮮料理店で食べられるのだが、ほかに外せない冬の風物詩『カニバス』なるものがある。

 その多くはバス会社や旅行会社、観光協会などの企画が多く、大阪は天王寺、難波、大阪駅あたりで予約しているお客さんをピックアップして現地までの送迎する仕組み。
 公共バスのように運転手さんだけで割り切ったものや、案内人がひとり付いてくれる場合もある。途中トイレ休憩でPAやSA、道の駅などで停まり、プチお買い物などできるのも楽しい。
 
 会社の慰安旅行や有志のカニの会、仲のいい友達や家族でと、利用する機会はかなり多く、たいがいは丹後半島一円や香住あたりに一泊の気軽な『カニバスのツアー』になる。

 こちらでは「ズワイガニ」ではなくて「松葉ガニ」と言うのだが、食べる気満々で挑む『蟹の夜(あぁ〜いい響き)』はテンションが上がるのだが、翌朝がどうもいただけない。

 カニの臭いが旅館ぢゅう町ぢゅう充満しているのだ。二日酔いに寝不足ともなればもっと悲惨。そう、若いころは飲めていた私。蟹をたらふく食った(フグとカニは食べるというより食うと言ったほうがいい)後、あちこちジャン卓がセットされ、夜通しの麻雀大会。
 男性に混じった会社の旅行は、そんな【おっさんカニツアー】。
しっかり、しっかり、昭和です。いまどきは、そんなことはないのでしょうね。

 個人的には、1998年に家族で蟹旅行へ行ったのが最後になった。もちろん、蟹のあとは家族麻雀 。
 このとき長男と私たちは電車、就職した次男は仕事が終わり車で駆けつけ、翌朝の仕事のためにまた車で帰るという荒業をやってのけた。お酒を飲まない子なのでできたことだったが、私たち三人はゆっくりと香住見物をしながら電車で帰った。

 あれからもう16年。
 夫が足を悪くして歩きたがらないことが理由で、私たちは遠出をすることがなくなった。
 たまにはゆっくりとカニでも食べにいきたいよね、お父さん・・・

2014年11月記す

【追記】
1998年家族最後のカニ旅行、2023年の今では25年前のことになった。
四半世紀か・・・


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