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外国料理店で働くコックさんの在留資格はなに?〜在留外国人&外国人支援者向け〜ニュースレター#16

先日、ネパール料理のお店に行ってきました。
ガラス張りの向こうに見える調理場では外国人のコックさんがカレーを作りナンを焼いている姿が見えます。

このように外国料理のお店で働いているコックさんは、技能というビザで在留しています。

技能ビザとは

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動

をすることができる在留資格のことです。

外国料理の調理師のほかにも
・建築技術者
・外国製品の製造修理
・宝石、貴金属、毛皮加工職人
・動物の調教師
・石油、地熱等発掘調査員
・航空機のパイロット
・スポーツ指導者
・ワイン鑑定等
などが該当します。

実際に日本で活躍されている技能ビザ取得者の多くは、外国料理の調理師です。外国料理の調理師として日本で働くためには、どのような要件があるのでしょうか。

【技能ビザ(調理師)の要件】

次のいずれかに該当し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
料理の調理または食品の製造に係る技能で外国において考案され日本において特殊なものを要する業務に従事するもので、次のいずれかに該当するもの①当該技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者
②経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定付属書7第1部A第5節1(c)の規定の適用を受ける者

上記の要件をわかりやすく要約しますと、


・日本人と同等額以上のお給料をもらえること
・料理人として働いた実務経験が10年以上あること
(調理専門学校に通っていた年数も含めることができる)

(タイの料理人は実務経験5年以上)

タイの料理人のみ、要件が他の国と違います。

【タイの料理人の要件】

①日本人と同等額以上の給料をもらえること
② 5年以上の実務経験があること
③来日する直前までタイでタイ料理の料理人として働いていること(他の国の料理人は直近まで働いてなくてもよい)
④タイの調理師資格を有していること(他の国の料理人は必ずしも調理師資格が必要ではない)

【実務経験の証明方法】

次の内容が記載された在職証明書が必要です。

・店名(会社名)
・電話番号
・住所
・職種
・実務経験年数

場合により、外国で公正証書にして入国管理局に提出します。

この在職証明書ですが、偽造が多いため入国管理局の外国人職員によって電話を掛けたり、実際に存在するお店なのか調査をします。

嘘を書けば調査によってすぐわかりますし、本当のことであったとしても電話をかけた時に誰も電話に出なかったり、お店の存在が確認できないとビザが許可されません。

過去の勤務先が倒産や廃業などでなくなっている場合は証明できません。

【1つのお店に外国人料理人を何人採用できるのか】

①お店の規模(広さや座席数)
②営業日、営業時間

①②の条件に対して合理的に必要な人数まで採用できる。小さめの店舗でも2人は採用可能であると考えます。

技能ビザで3人以上採用するためには、
・店の広さの証明
・座席数の説明
・営業日と営業時間の説明
・調理師のシフト表
その人数の調理師が必要である合理的な理由を説明する資料が必要です。

【技能ビザ 新規・更新それぞれのポイント】

新規・・・本人の実務経験の証明が最重要、勤務先店舗、会社の情報

更新・・・給料が予定通り支払われているか、住民税等きちんと納付されているか、職務内容は変わっていないか、会社の経営状態は悪化していないか


〈その他注意事項〉
技能ビザはあくまで料理人として働くためのビザですから、皿洗いや注文を取りに行ったり料理の配膳、お会計などを行うことはできません。

外国料理の料理人ですからお店は外国料理の専門店であること。
メニューにコース料理があり、お店の大きさは30席以上でカウンター席のみは不可、フードコートも不可、お店が営業許可証を取得していることなど。



職業柄、つい外国人の方がいるお店に行くと、業務内容などからこの人の在留資格は技能で、こちらの人はオーダー取ってるから日本人の配偶者かな。などと、在留資格が気になってしまいます。

日本にいながら外国の料理を楽しめるのも、このように技能ビザの在留資格で働いてくれる方がいるからこそですね。感謝の気持ちを忘れずにいたいと思います。

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