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始まりの記憶 第1話(天野 咲物語)

そこは 暗いが暖かく心地いい場所だった
そんなある日 私の居場所に変化が
突然やって来た
一本の光が差し込んできた
私は そっちに行きたくなく
抵抗をしていた
心の中で(嫌だ!そっちには行きたくないの まだまだここに居たい
この光の向こうには辛い事が待っているに違いないから)
そう思っていてもどんどん光の指す方へ身体が押し出されていく

「おんぎゃ~!おんぎゃ~!」
そう私はこの世に嫌々誕生したのであった

「産まれたよ!女の子ですよ!」
看護婦さんの喜びの声
そこで私の記憶は途切れてしまった

その後の私の様子は 母に聞いたが
私は看護婦さん達の人気者だったらしい
お腹が空いたと泣いていても
「ちょっと待っててね~ 後でゆっくりミルクあげるからね」
と言うと ピタリと泣き止みキョロキョロしながら
看護婦さんが他の赤ちゃん達のお世話が終わるまで
待っていたらしい
そして 最後に看護婦さんが来て
「お待たせ ミルクあげるからね」
と言って 抱っこしていつもミルクを与えてくれていたらしい

次に記憶が有るのは 3ヶ月ぐらいだと思う
私はソファーベッドの上に寝かされていた
周りを見渡せば 私の姉がテレビに夢中になって観ていた
私の横には 母の双子の妹の叔母が私のお腹をポンポンしながら
テレビを観ていた
姉の後ろには 叔母の旦那さんが座っている

私は周りを キョロキョロしながら 手足をバタバタし
(あれ?身体が上手く動かせないし 起き上がれないよ!)
と思ってまた 手足をバタバタさせていた
そこで また記憶が途切れてしまった

きっと私は誰かの生まれ変わりなのかも知れない
産まれる前 乳飲み子の時からこんな事を思うって
ありえない話ですよね

でもこれは私の人生の始まりからの記憶なのである

次に記憶を持つのは3歳の時からです

その話はまた次回と言う事にします


YouTubeに朗読upしています
https://youtu.be/zKc0KnIggBE

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