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オリジナル曲「アクアリウム」とヤンデレ企画「Theヤンデレ祭り2024Trueno」の参加について

はじめに

 まず最初に、「Theヤンデレ祭り2024Trueno」の主催者「*YUKI*」さま、歌ってみた企画参加者さま、シチュボ企画参加者さま、イラストや映像に関係者さま、全てのリスナーさま、お疲れ様でした。それと同時に、感謝申し上げます。色々とご迷惑をおかけしたと存じますが、この企画を経て、代えがたい様々な経験と勉強をさせて頂くことができました。
 曲も出来ました。オリジナルのリード曲「アクアリウム」とエンディングBGM「Trueno」です。今回のNoteでは、上記の2曲とメドレーに関する制作の裏話や制作中に感じたことを、少し書いてみようと思います。いつもどおり、曲の考察はございません。そこはリスナー様にお任せします。お時間ある方は、お付き合い頂ければ幸いです。

リード曲「アクアリウム」はこちら

BGM「Trueno」はこちら

「アクアリウム」製作まで

出会い

そもそも主催者である「*YUKI*」さんとの出会いは、約1年前の2023年6月頃になります。架空アニソン祭というボカロP有志企画で、「Sugar」という曲を公開したのですが、その曲を気に入って頂けて、ありがたいことに応援のご連絡頂いたのが最初だったと記憶しています。

過去曲「Sugar」

その後、2023年12月にYUKIさん主催企画に、テーマ曲のアレンジ参加者としてお声がけを頂き、ボカロP「mahito」さんのオリジナル曲「スマスリク」をアレンジ参加させて頂きました。
(ニコニコ動画限定なので、2024/6/30現在は閲覧不可)

企画にお誘い頂く

そんな中、2024/2月中旬頃に今回の企画のお話を頂きました。
6月開催、テーマは「ヤンデレ」、シチュボ+歌ってみたの無償企画。
成果物は、オープニング曲(歌ありフルコーラス、歌みた用)を1曲、エンディング曲(歌無しBGM)を1曲の計2曲でした。

YUKIさんのお誘いなので、最初からお請けするつもりでした。
私の曲を以前から聴いて頂いて、その上でお声がけをしてもらえるなんて、とても嬉しいことです。ただ、他の制作も既に決まっていたのと、曲作りにムラのある私なので、ご迷惑をおかけしないかが心配でした。私はあんまり人気者じゃないし、実績や受賞経験もないので集客に寄与できないことも…。その辺りを相談しながらスケジュールも検討頂き、調整して頂き、晴れて参加させて頂くことになりました。
当時の私のスケジュール、大雑把には以下でした。

  • 2月下旬 ボカコレ参加「くるくるり」

  • 3月上旬 TDNoさん企画参加「RemenBAR」

  • 3月中  ボカデュオ楽曲制作(1曲。来週公開予定)

  • 4月中  架空アニソン祭楽曲制作「嘘つきのバラッド」(5月GW公開)

  • 5月GW明 今回の依頼提出

平日は本職のお仕事で基本楽曲制作できないので、中々ハードでした(笑)。今回の依頼曲は、構想だけ固めておいてGW中に一気に制作することに。
(5月17日にスピッツさんのカバー「ロビンソン」を公開していますが、これは今回の依頼リード曲を提出後に制作したので、上記スケジュールにはあまり関係ありませんでした)
全く異なる曲調ばかりを制作していたので、切り替えと没入するのが大変でした。そもそも、私は音楽3年目の見様見真似の独学者なので、適当にやっていたスキル不足・知識不足も重なって、ボロが出てきます。

制作開始。曲が作れない。ヤンデレ?

お題整理

このあたりから今回のNoteの書きたかったところです。
さて、リード曲の制作にあたり、もう少しYUKIさんからお題を頂きました。

• 雷鳴 、ヤンデレ、じめじめ、どんより、雨、暗い

なるほど…鬱屈したものを感じます。ホラー曲なら作ったことがあるのですが、ヤンデレははじめてですので、段々不安になってきました。
テーマ的にはBPM(曲の速さ)はゆっくりめ、さまざまな人間の歌い手さまに歌って頂く前提なので音域はいつもより狭く、短期間で歌ってみたをして頂くので覚えやすくキャッチーなメロディ、でもイントロにインパクトは必要。
当初思っていたよりも、ずっと難しく、ずっと地味で、ずっと暗い曲になりそうでした。

私は曲を作るときは、イメージを固めるところからスタートします。
大雑把にいうと「こんな感じの曲が作りたい~」と、頭の中に曲を流して適当にメロディラインを口ずさむ、という感じです。良さそうなら構想(何の事象があって、誰が、誰に、何を伝えたいか)を練ります。イメージ固めと構想は順番が入れ替わることもあり、構想だけを先に作りきることもあります。今回はここから躓きました。

制作開始。仮曲

4月までの制作を終え、GW中盤から制作開始。5/5にサビだけのデモ曲を作成し、YUKIさんに共有しました。
「アクアリウム」とは別の曲です。メロディはまあまあキャッチーですが、個人的にはどうもしっくりこないので、サビだけ作って感触を知りたかったのです。YUKIさんからは、「サビ以外も聴かせてほしい。全体感も知りたい」とおっしゃって頂きました。続きは、まだありませんでした。それどころか、これから展開される道が無数にありすぎて、整理できていない状態でした。
リミットまであと2日。多分、まあまあ良い曲だったと思いますが、私は1から作り直すことにしました。自分の弱さが出ている瞬間だなぁ、と今思うと感じます。

そもそも私が構想を練る際は、前提として作ろうとしているものへの知識や経験、感性が必要になります。分からないもの、知らないもの、想像できないもの、は作れないからです。カッコ良く言うとジョジョの岸部露伴先生みたいな感じです(読者はリアルを求めている)。構想が非常に不鮮明な状態で、楽曲制作に入っていたのが良くなくて、そのために何が言いたいのかわからない。それが自分でも引っかかっていたのです。

じゃあ、何が不鮮明かというと「ヤンデレ」でした。
ヤンデレがわからない。勿論、「精神的に病んでる人が、意中の異性(または同性)に心酔し、その人の挙動にデレる(好きになる・照れる)状態」的なことは分かります。過去、ヤンデレがヒロインのアニメも見たことがありました(ひぐらしのなく頃に、未来日記。見てませんが話題になったスクールデイズ?とか)。
もちろん、今回ヤンデレを勉強するために、サエイズム・ハッピーシュガーライフ(途中まで)という漫画や、いくつかのショート小説も読みました。
ヤンデレ曲といわれるボカロ曲も聴きました(メロディとか似ちゃうので、個人的には近い曲を聴くのは割と禁断)。ただ、どうしても自分の創作に落とし込むと、抜けない違和感がありました。(ちなみにサエイズムは、奇想天外で面白かったです)
それの正体が私の造語、「ファッションヤンデレ」でした。

「ファッションヤンデレ」

ファッションという例え

「ファッション●●」という言葉があると思うのですが、上手く例えるのは難しいのですが、本当に好きなわけでなく、オシャレ・カッコイイから服やアクセサリーなどと同じように、それを身にまとっている状態でしょうか。
私の場合、「ヤンデレ」という状態を身にまとった主人公または登場人物が、「ホラ、病んでるでしょ?こういうエピソード好きでしょ」みたいな感じでヤンデレしてる自分に酔ってるような感じでした。真に好きな人からはそっぽ向かれ、興味のない人は通り過ぎていく。少なくとも自分にはこう思えて、この状態にはほんと困りました。でも、魂が入ってない状態ってそんな感じかな、とも思います。

ヤンデレって何だろう? 救世主現る

 根本的にヤンデレを間違えている気がして、お忙しいところに無理を承知でYUKIさんに「ヤンデレ」について相談をしました。
納期まであと2日なのに。難航しててよく分からないと。
 YUKIさんは快く相談に乗って頂き、お知り合いの過去の見解のご教授と、そしてわざわざ演者様数名に「ヤンデレを演じる時、どのようなことを考えたり捉えているのか」を質問して頂きました。こんな機会は滅多にありません。いくら感謝しても、感謝し尽せない気持ちです。
複数のアドバイスで、特にありがたかったところを以下に挙げます。

  • ヤンデレは「ファンタジー」な媒体であり、表現も極端である。

  • 「フィクション」と捉えられる人と、「理解できない・好きじゃない」と避ける人が存在する、共感の難しいジャンルである。

  • サイコパス寄りの表現になることがある。
    「異常者を演じるのではなく、あくまで自分の価値観の中で正常な事を伝えているイメージ」

  • 当然ヒロインとは意見が合わず自分の異常性を突きつけられてしまう。それが心へダメージとして重ねられてしまって限界突破してしまう。

  • 究極的な愛の重さ故に、相手を自分のものにしようと爆発する感情。

  • 一般的に「ヤンデレ」というと「愛が重くて監禁しようとしたり、圧をかけてきたり…」というリスナー様のイメージが強い。

  • 「自分の心臓の隣にヒロインがいる」ぐらい大切だから、逆に言うと当たり前のように他のこと(自分のことも含め)を犠牲にしてでもヒロインを守ろうとする

まさに救世主現る、でした。私の中で出た一つの解が、「あぁ、ヤンデレって、あくまでも他者からみた『状態』のことだったのか。本人はただ純粋に好きなだけなんだ」でした。「そこに愛はあるんか?」テレビCMでも言ってたのに気づけなかった自分が恥ずかしいです。ご利用は計画的に。

イメージは固まりました。
「鬱屈とジメジメしたものを纏いながらも、自分の中では究極に美しい純愛ソング」です。

構想・作曲・作詞

再構想

さて、イメージが固まりましたので、構想を練ります。
いくら共感性が難しいテーマといっても、リスナー様に聴いて頂き、歌い手さまに歌って頂く曲です。やはり、万人は無理でも、響く人には響くものを作りたいので、構想は幅広く挙げていきます。

<主人公はどうする?>
 加害者
<関係性は?>
 幼馴染、恋人、教師と生徒、双子、ファンとアイドル、認知されてない
<事件・裏切られたエピソード>
 他に恋人ができた、好きな人が出来た、別れを切り出された、転校、卒業
<共感性>
 奪われたくない、離れて欲しくない、自分だけを見て欲しい
<何で好きになった?>
 独りを救ってくれた、優しくしてくれた、一目惚れ

このように思いつく設定を挙げ、以下の4案の構想案に練りました。

  • 水槽の熱帯魚(飼育)

  • 交換日記(一方通行)

  • 雷雨の教室(箱庭)

  • 手作り料理(マッド・チョコレート)

採用したのは「水槽の熱帯魚」です。
理由としては、「ヤンデレ」という人によっては拒絶反応もあるテーマを最もオブラートに包む表現が可能で、なのに閉鎖的で独占的で美しさがあり、更には歌い手さまのどちらの歌唱心理にも寄り添うジェンダーフリーな進行ができるから、です。
残りは、ちょっとサイコパスが過ぎる気もしました。マッド・チョコレートはグロい。交換日記はちょっと面白い構想まで作りましたが、ホラー感と物語感が強くて、「企画」のテーマ曲にはふさわしくないと判断しました。
私を表現する場ではなく、企画を楽しむための曲。

<参考までにこんな冒頭>
  卒業式前日、放課後の教室に忘れ物を取りに来た主人公。
  机の上に見知らぬノート。
  タイトルには、先輩とワタシ日記。
  恐る恐る読み進める。
  そこには主人公と誰かの、身に覚えのない交換日記が・・・。

作るよ

さて、ここまで出来るとあとは早いです。
作詞作曲は半日くらいでワンコーラスつくります。

作曲ではイントロを妖しく、Aメロはそこを引き継ぎ、Bメロで美しく暗転、サビは転調も交えて同じフレーズをこする。
フンフン鼻歌を歌いながら、DAW(パソコン)にメロディラインの音譜をポチポチ打ちます。コードもピアノをジャーンと小節毎に入れます。
細かい作り方は、その内また別の機会にするかもしれないし、しないかもです。1点だけ特筆するなら、音譜をDAWのMIDIシート(楽譜のようなの)で1曲丸々横にメロディを並べて、音域が広すぎないことを意識しました。

少しわかりにくいですが、A2(ラ)~B3(シ)までの1オクターブ+1音の中で曲は作っています。昨今は2オクターブ以上の曲も多いので、ボカロ曲に慣れた方には物足りないかもしれませんが、皆様がキーさえ調整すれば歌えることを意識してみました。ただ、一つ反省があるのが、Bメロ~サビの息継ぎポイントが少ない所。インパクトを優先しました。ボカロなら余裕ですが、人だと苦しいかも。

歌詞は、構想を元にストーリーや心情を書きだし、それをAメロ、Bメロ、サビに当てはめます。これは作詞本の受け売りですが、サビに心情や心の動き、言いたいことを持ってくるように意識しています。
単語の強さ、リフレイン、語感・語呂、この辺は経験と感覚ですし、わざわざお伝え出来ることがないので割愛します。基本はダジャレ(韻)。

完成

完成からのインパクトUP

5/7、無事にフルコーラスが完成し、YUKIさんにご提出。
違う曲を持ってきたのでビックリされてました。スイマセン(汗。
歌詞をシチュボ脚本家の方々に配布頂きました。

また、歌みた企画にあたりプレゼント曲を作った方がいいとのご意見。
そうなのか。いきなり曲をもらっても迷惑じゃないかな・・・?
歌いたくないな・・・とか。
と、今でも半分まだ思っていますが、喜んで頂けるならと承諾。実は今でもちゃんとした曲が作れる自信がないですが、参加者のどなたか1名様に、別の曲を作ってプレゼントさせて頂きます。

そんな中で、サビのインパクトについて、YUKIさんからアドバイスが。
メロディをもう一度作り直すことも考えましたが、個人的に気に入っていたので、他の要因も思案。
というか、まあ編曲とMIXだろうなぁ…そうだろうな。自信ないもん。
プロが編曲MIXしたら、全然違うものに生まれ変わる気がする。
正直、難しいなぁ。編曲こわい。
と思ったんですが、何とか曲をより良くしよう!、と手を加えました。
心の弱さパート2を出している場合じゃない。
なんちゃってクリエイターとして頑張れ、私。

サビにSE(インパクト、ライザー、ダウン、雷音)入れたり、サビ前に無音域を作ったり、パン再振りしたり、被り音を高めにふったり。
ねちねちした作業を頑張って完成!
自己満足かもしれませんが、良くなった気がします。

イラストのご使用許可、MV、メドレー

イラスト使用許可申請はとても大事

MVイラストは、piaproで前々から気になっていたMizzinさまにさせて頂きたく、YUKIさんに相談の上で、私からご連絡。実は、制作中もイラストでイメージを膨らませたりしていたので、断られると大ダメージです。
そんな私の不安も杞憂に終わり、Mizzinさまから快くご使用許可を頂き、メドレー動画での一括許可まで頂きました。公開後にはFAも描いてくださり、本当に感謝でございます。(他にも良いイラストが沢山。URL貼っておきます)

piapro | みじんのページ

エンディングBGM、MV

5/19、エンディング用BGM完成。
比較的すんなりスルスルと作れる。ちょっと感傷的というか情熱的な部分があり、良くも悪くもアクセントのある曲。BGMとしては冒頭のみの方が使いやすかったかなあ、と思いつつも、好きだったのでご提出。

5/25、MV完成。
私、嫌いな動画制作を頑張る。ボカロ用と歌ってみた用のMVを2種類。
実は、依頼を受けた当初、MV制作まで必要と認識をしていなかったのです。なんてこったい。基本的に依頼が苦手な自炊ボカロPなので、苦痛でも他の手段がないので、自分で作る。

モチベーションは、許可を頂いたMizzin様、歌い手様、リスナー様、YUKI様、この方々に良い物をお届けしたい一心。ほんとそれだけ。
それしかないくらい動画制作が苦痛。頑張りました。
(私と組んで頂ける動画師さん、永遠に募集しております)

この間、メドレーの配布ファイルとか募集方法とかファイル受信方法とか、YUKIさんと事務的な話を結構していた気がします。
YUKIさん、ほんと凄い。そして、連絡取次ぎとかご迷惑かけてスイマセン。

メドレー&合唱、地獄のMV

さて、長いNoteもラストです。6月はメドレーに着手してました。
ここまで書くのに疲れたので多くを語りませんが、特にお伝えしたいことが数点ございます。

  1. 歌い手の皆様が素晴らしい。
    歌声もさることながら、提出のファイル名、キーへのご配慮。ご自身でのアレンジや取り組み。また、ご感想や励ましのお言葉を頂く機会もあり、本当に幸せな気持ちにさせて頂きました。

  2. メドレー、合唱の制作状況がえげつない。
    もはやよく分からないでしょうが、赤とオレンジは全て歌唱ファイルです。入りきらなかったですが、まだ下に20ファイルあります。全てのファイルのタイミングをボカロボーカルと耳で同期をとって、パート毎にMIXしながら振り分けるのは、人のMIXに慣れていない私には、とんでもない作業でした。出来上がったあと、もしかして私って凄いのでは、と思いました(笑)。
    ただ、その反面、歌声を生かすというMIX自体は、皆さんどう思われているかな…と今でもやっぱり不安ですね。どこまでやっていいのかも難しかったです。ボーカルMIX師さま、中々気を遣うジャンルですね。

3.メドレーMV
 せっかくなので、皆様のSNSアイコンを歌唱中に表示させよう、と考えたのが地獄の始まりでした。なぜ私は苦痛で仕方がないMVを、わざわざまた作っているのか。しかも難しい方向で。
 自問自答しながらも、喜んでくれたら嬉しいな、と思って作ってました。
コンセプトとしては、作品性よりも自己紹介という感じですね。

おわりに

ということで終わりです。
改めまして、関わって頂きました全ての方々にお礼申し上げます。
一生に一度しかない機会でしょうが、とても貴重な時間を過ごすことが出来ました。またいずれどこかで。


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