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今の自分になるまで

 若い頃、自分は自分のことがあまり好きではなかった。

 世の中にはたくさんの人がいるが、どうして自分はこんな性格なのだろうか。と悩む期間が長かった。

 ある時、生まれ順による性格の違いについて触れられている本を読む機会があった。

 本の名前は忘れてしまったが、確か次のような内容だった。

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 子どもにとって家庭は初めての社会。

 第一子は親にとっても初めてのことばかりで、色々と慎重になる。毎回沐浴のお湯を温度計できちんと計ったり、顔にかからないように気をつけたり…とても慎重だ。しかし、第二子ともなれば、お湯に手を入れた感覚で判断し、多少のことは大丈夫と学んでいる。

 長子が慎重な性格になりがちな理由は、親も初心者で何事も慎重な姿勢の影響を受けているから。

 また、長子的性格、次子的性格というのがあり、きょうだいができると、お兄ちゃんだから、お姉ちゃんだから、と長子であることを理由に制限等を受けることになる。

 実際、出生がほぼ同時である双子であっても、長子的性格、次子的性格が現れる。それは、家庭では区別をつけなかったとしても、家庭の外の世界へでると、どちらがお兄ちゃん?お姉ちゃん?ときかれることから始まる、社会的なラベル付けを受けるからだ。

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 随分昔に読んだので、今となっては古いのかもしれないが、当時はなるほどな、と感心した。

 確かに、近所に住んでいた同級生の双子も小学校で一緒だった同級生の双子も、どちらがお兄ちゃんお姉ちゃんかときかれていた。

 当時、近所の双子が、後から生まれた方が長子だ、と言っていたがこれは俗信のようで、戸籍等では先に生まれた方が長子と扱うようだ。彼らは二卵性で男女だったため、戸籍上の順序を気にする必要はなかっただろうが、外の世界ではよく聞かれるため家族がそのように話していたのだろう。

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 どうして自分はこんな性格なのだろうと思う時、人は自分に対して否定的になっている。

 しかし自分がこんな性格なのは、生まれてから今に至るまでに様々な外的影響を受けていることも要因のひとつと言える。

 「こんな性格」に対して、どんな性格だったら自分は納得できるのか、自分を許せるのか。

 自分を責めて反省や落ち込みが必要な時もあるが、過去は変えることができない。これから自分はどうなるか。前向きでなくとも、後ろを向きすぎず、滞留しすぎず、少し進む気持ちになれれば、それでいいのではないだろうか。

 歳をとって、自分を許せるようになると、こんなことも思えるようになる、ということを知っていてくれればいい。

 先はまだまだ長い。

ありがとうございます^_^