新しいノートを買ったら

 新しいノートを買った。

 日曜日の午後、4時間1人になれる時間が急にできた。いつも乗換えで利用しているターミナル駅。普段なかなか行けない大きな本屋さんに向かった。

 本屋さんに伊東屋が併設されていたおかげで、久しぶりにじっくりと文房具を見て回った。

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 急にノートを買いに行ったのは、手書きで色々と書けるものが欲しくなった、という単純な理由だ。

 自分時間の確保が難しい日々で使う時間が果たしてあるのか、という気持ちを上回って、とにかく急にノートが欲しくなったのだ。

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 自分の生活にパソコンが入ってきたのは、高校を卒業してから。それも会社ではない。

 会社はIT化がとても遅かった。

 最初の部署は他部署と共通のワープロが1台で、使うのは主に忘年会等の懇親会の案内作成。本来の業務は全て手書きだった。さすがに経理等はそれでは仕事が回らず、配属された個人が私物としてパソコンを購入したものを会社に持ってきて仕事をしていた。

 自分が本格的にパソコンを使ったのは卒論だった。

 夜間大学だったが卒論はあった。夜な夜な、自宅でパソコンを打って卒論を完成させた。

 そんな世代なので、漢字や英単語もひたすら書いて覚えていた。

 だからどこでもスマホで文字が打てる時代になった今でも、紙に書きたくなるのだ。

 トントンしなくとも思ったコトバをすぐに目に見える文字にできる。

 レイアウトも自由自在。

 色も筆記具も好きなもので。

 これが手書きの魅力だと思っている。

 ただ表現力のなさで、魅力的なものにならないのが残念だが。

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 お店でノートを物色していると、トラベラーズノートが目に入る。

 いつかは使ってみたいと思いつつ手が出せないでいるもののひとつ。

 欲しいなぁ、という気持ちと、革カバーは値段もはるし本当に使う時間があるのかという葛藤の末、なんとか売場を離れた。

 最終的に選んだのは、MDノートだった。

 書くことにこだわった、というノート。

 厚いノートしかないと思っていたので購入機会がなかったが、1冊分を3冊に分冊したものが売られていたのでそれと透明カバーを購入。

 最後まで未練があったトラベラーズノートの連結バンドと、スナップ式のベルトシールを購入し家に帰った。

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 早速、購入したMDノートにカバーをセット。3冊が1冊になるようにトラベラーズノートの連結バンドで止める。

 わざわざ分冊されたものを購入したのに連結して1つのカバーにセットするのは、ノートごとにテーマを決めてもカバーごと持ち出せばどのテーマでも好きな時に書けるようにだ。

 1冊のノートにインデックスをつけて分ける方法もあるが、きれいに等分するのは難しいしインデックスが折れてくると気分が下がる。また、分厚いノートはその量に時には気持ちが折れたりすることもある。

 ベルトシールを貼る前に試書きをして、貼付場所を決めることにした。

 手帳はシグノの青0.3ミリだが、献立や買い物リストはパイロットの1,000円の黒インク万年筆で書いている。

 万年筆で書くと、裏写りはしないが手の側面に綺麗に文字がうつり、さらに後日ノートを開くと一部にインクが移っていた。

 これはいけない。

 手帳で使っている青のシグノを購入することにした。

 そこまででタイムオーバー。

 自分時間は終了した。

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 次にノートに触れられるのは早くて週末だ。それも土曜日のみ。

 しかし、このノートの存在は思いのほか自分をわくわくさせてくれている。

 何を書こうか、どう使い分けようか、青のインクはどの濃さにしようか…

 新しいノートを買っただけで毎日わくわくできて、自分は幸せだ。

 久しぶりのわくわく感を抱きつつ、次の自分時間を楽しみにしている。







 

 

 

 

 



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