はじめてのお酒

酒、タバコ、女、ドラック。
昭和っぽい考え方かもしれないけど、上の4つをやってる程、ダメな男と言われる事がある。
まぁ、もちろんドラックは日本の法律では禁じられているから特殊な物と考えるとして、他の3つはコントロールする事が難しいだけに、程よく付き合えば最高の趣味になるんじゃないかなって思う。

今日もYouTubeを垂れ流している。20歳くらいのクリエイター達がはじめてお酒というタイトルで動画を公開している。
一時、流行ったモーニングルーティンのように沢山のクリエイターがこぞってアップロードしている。
自宅やお店など場所は違えど目の前に数種類のお酒を並べて飲み比べる。
ビールは苦い、酎ハイはジュースみたい、ワインはまずい、ウイスキーは……飲めたもんじゃない。似たり寄ったりした動画が並ぶ。
最近はインターネットでも不適切な表現に対する規制が進んできているから、あくまでもはじめてのお酒という前提で動画は進んでいく。
僕は、ひとつひとつの動画を観ながら、これは飲んだことあるリアクションやろ!!とか、あぁ、ホンマにはじめて飲むんやろな。とか考えながら、若いクリエイター達の動画に夢中になる。

そういえば、はじめて飲みに行った日っていつだろう。
いつとは言わないが、学生の頃、確か時期は今のように秋だったか、冬だったか寒い時期だった。当時、人生の一区切りを終えた僕は開放感から大人の階段を登ってみたいと考えていたのだろう。

当時はグルチャなんて無かったからガラケーを片手に悪友達に電話をかける。
よし、1人捕まえた、次の悪友に電話をかける、その日はダメだって!?
そしたらまた1人目に戻って………という、とても面倒臭いアポ取りのおかげで、今では飲み相手を現地調達するスタイルになったのかもしれない。
無事に3人の悪友とアポが取れる。近所の焼き鳥チェーンと決めていたが、店選びも重要だ。

あそこの店は時々、先生が飲みに来るとか、あそこは年確が厳しいとか、あそこは平日なら大丈夫とか、当時は色んなところでそんな会話が飛び交っていた。

無事に席に着く、遂に注文の瞬間だ。いいか、あれだけイメージしたんだ……
「みんな、生でいい??」
3人が黙って頷く
「生4つで!!」
内心、よしっ!!上手くできた!!って心の中で興奮した事を覚えている。
テーブルに並べられた4つのビールジョッキを1つずつ手に取り乾杯、並々に注がれたビールを一気に半分ほど飲み干し、大きなため息をつく、すかさず「やっぱり1杯目は生だよね」と盛大にカッコつける。

当時は、髪を短く切り、流行っていた、スラムダンクやドロップの主人公のような髪色、居酒屋では、さぞ慣れてるかのようにビールを注文して一気に飲み干す。すかさず大きなため息をついて「やっぱり1杯目は生だよね」という事がカッコイイと思っていた。

ブログを書いていると色んな思い出が蘇ってくる。描きながら思ったんだけど、こんなの全然カッコよくないし、でも、年齢毎のドキドキとかワクワクってあるよね。志望校に入れようが落ちようが、今となってはどっちでもいい事でも、20年くらいしか生きていない若い子にとっては人生の分岐点なんだもんな、10代と話す機会は滅多に無くなってしまったけど、10代の恋愛も命懸けだった事を覚えている。
そんな甘酸っぱい過去の話である。

つづく

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