「オールスター感謝祭2020秋」のクイズ量増加と易化傾向について

 コロナ禍で規模を縮小して先日放送された「オールスター感謝祭2020秋」は(皮肉にも)ここ数年で面白い部類に入ると思われ、その理由は「クイズ問題の多さ」にあったと考えています。「クイズが多いこと」は開始時にMCが言及し、かつデータ放送の連動企画でも「A賞(最高賞)→40問正解」というかなりのハードルを設定されていました(かつては数問正解すれば最高賞を獲得できた)。
 実はこれまでも「クイズが多い!」みたいなことを喧伝してはぜんぜん……。ということが繰り返されていて(そのたびに当番組担当のクイズ作家は嘆いている)、今回もスタートまでは懐疑的だったのですが、​実際「40問」という数字は期待を抱かせましたね。
 放送されたクイズは以下の通り。まだ見ていない人は注意(5時間半録画している人は酔狂な人間なのでたぶんリアルタイム視聴済みなんだよな)。

Period1 菅田将暉と菅義偉のクイズ 3問
Period2 アルバムクイズ 5問
Period3 半沢直樹NGクイズ 3問+台本ドッキリクイズ4問
Period4 謎解きクイズ 2問
Period5 バラエティミラクル映像クイズ 3問
Period6 仲間外れクイズ 3問
Period7 名曲フレーズ並び替えクイズ 4問
Period8 ランキングクイズ 5問
Period9 身近な2択クイズ 5問
Period10 音楽クイズ 3問
Period11 困っているAD助ける?クイズ 4問
(アーチェリー予想)
(マラソン優勝者予想)
(演技を見破れ予想)
(女優vs芸人 予想 3問)

 以上より、出題された問題数は50問。このうち40問を取るのはかなり難しかったのではないでしょうか。実際達成したのは全国で12人しかいなかったようです。総参加者数は発表されていませんが、いっとき15万人はいたのを覚えています。

画像2

↑これが最終成績。ちなみに自分は39問だった。そんな……。

 ちなみに番組内優勝者の成績は「34問」。これもここ数年では相当高い数字です。というかそもそも、ここ数年は参加者の正確な正解数がわからないルールになっていました。2003年春にクイズ以外のマラソンなどでも正解数が加算されるようになり、2012年秋に「大逆転Period(1問正解で2倍,3倍,4倍の正解数判定になる)」が導入。2015年秋についに単位が「P」になり(ここらへんからは個人的に暗黒期だと思っている)、正確な正解問題数が全く見えなくなりました(1問2Pで設定されていた回もあるくらいだし)。
 5年ぶりに単位が「問」に戻ったわけです。なお単位が「問」だった最後の回:2015年春の優勝者成績は「22問」でした。参加者が2020年秋の3倍の160人もいるのに!? 1問で倍の正解数になるクイズもあったのに!?
 というわけで、名実ともにクイズ問題が増え、また、クイズ問題が多い「オールスター感謝祭」は面白い、という感想を再確認しました(『クイズ』といえるか微妙なものもありましたが……)。

 しかしその一方で、若干ですが危惧していることがあって、それは「クイズの易化」です。具体的には、「オールスター感謝祭」らしい4択クイズがほとんど出題されなかったのです。

Period1 菅田将暉と菅義偉のクイズ 2択クイズ3問
Period2 アルバムクイズ 3択並べ替えクイズ5問
Period3 半沢直樹NGクイズ 3,4,2択クイズ各1問+台本ドッキリクイズ 2択クイズ4問
Period4 謎解きクイズ 4択クイズ1問+クイズ1問
Period5 バラエティミラクル映像クイズ 4択クイズ3問
Period6 仲間外れクイズ 4択クイズ3問
Period7 名曲フレーズ並び替えクイズ 3択並べ替えクイズ4問
Period8 ランキングクイズ 3択並べ替えクイズ5問
Period9 身近な2択クイズ 2択クイズ5問
Period10 音楽クイズ 2択クイズ3問
Period11 困っているAD助ける?クイズ 2択クイズ4問
(アーチェリー予想 4択クイズ)
(マラソン優勝者予想 28択クイズ)
(演技を見破れ予想 2択クイズ)
(女優vs芸人 予想 2択クイズ3問)

 今回出題された50問は、
・2択クイズ:24問
・3択クイズ:1問
・4択クイズ:9問
・3択並べ替えクイズ:14問
・その他:2問
 と分類できます。半分程度が2択だったわけです。
 それらは決して「2択でなければならない問題」ばかりであったわけではなく、たとえば「ホンモノだぁ~れ!?」では「4人のうち激辛麻婆豆腐を食べている人を当てる4択」から「4人のうち激辛麻婆豆腐を食べている人を予想した人の考えが正解か不正解かを当てる2択」になっていました。Period10の音楽クイズでは、「曲を流した後に関係ない言葉遊び的クイズを出す」という「昔懐かしの感謝祭クイズ」が3問出て、そこはよかったのですが、問題はすべて2択です。King Gnuの『白日』を流した後「ヌーは?」と問ういい問題も、バッファローとのビジュアル2択クイズでした。牛っぽいやつ4つ並べる4択でいいのに!
 自分個人としては、「オールスター感謝祭といえば4択クイズ」です。今回の2択クイズの多さはやはり、少しの違和感を抱きました(面白い問題が多かったのでよかったのですが)。2択クイズの増加はそれこそ2015年頃から感じてはいたのですが、いよいよはっきりしてきたかなという印象です。

 まず、おそらく視聴者ウケが良いのはビジュアルクイズなのだと推察します(いつしか、感謝祭からは『文章問題』がいっさい出なくなっていますし)。

画像1

↑「文章問題」とは、こういうレイアウトの「画像が含まれないクイズ」のこと(画像は感謝祭再現動画を作るエビマヨ武勇伝氏のものをお借りしました)

 で、そのうえでビジュアル4択クイズを作るとなると、4枚もの画像などを借りる費用や手間がかかるのでしょう。
 ……この想像が正解ならいいのですが、最も悲しむのは、「視聴者が4択クイズより2択クイズのほうを良しとしている」場合です。そうなるといよいよ、「オールスター感謝祭のクイズ」は2択がベースに"なってしまいます"。

感謝祭おなじみの4択クイズや体当たり企画に挑戦していく。

 これは今回の番組ホームページの一文です。「感謝祭おなじみ」のクイズが今後も4択のままであり続けますように……。

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