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実家へ年越し謎解きゲームを仕掛けたら怖がられた

明けましておめでとうございます。さくなです。今年もよろしくお願いいたします。
昨年の今ごろnoteへ投稿した「大晦日に実家へ年越し謎解きゲームを仕掛けた」は多くの方に見ていただき、ありがとうございました。
参加した家族4名にもたいへん喜んでいただきまして、その結果、第2弾を作成しました。やったね!
ということでこの記事は、実家謎解きゲーム『1年B組の謎』の完全ネタバレ解説です。この公演は2023年12月31日21:00スタート回の1回のみしか行われていない公演です。場所はぼく(さくな)の実家です。1チーム4人、父母妹弟です。クリアできたら賞金が出ます。毎年恒例にしていこうな。

ストーリー
「花園ってヤツ、覚えてる?」
中学校のベテラン国語教師であるあなたは、謎解きが好きな教え子・花園によるゲームに挑む。
確かに彼は毎日「謎」を作っていた……。
あなたは、大晦日に自宅へ出現した「謎」を、すべて解き明かすことができるのか!?

ということで、今年は「中学校の教師」となった主人公が、「『花園』という生徒の作った謎解きゲームを解く(花園から頼まれたぼくが自宅に用意した)」なるストーリーがついています。

ストーリーシート

謎シート・アンサーシート・ストーリーシートが入ったファイルと、筆記具としてフリクションボールペンが用意されました。
制限時間は60分。さっそく始めていきましょう。

1st STEP

ファイルに入っていた「謎」5枚と「アンサーシート」1枚を使います。

アンサーシート

アンサーシートを読むと、謎の答えが必要とのことなので、まずは5つの謎を解いていきましょう。

時計の謎

時計は2時を指しており、そこから「3h」=「3時間」、「4時間」、「1時間」の経過を意味しています。ということは、「2時」「5時」「9時」「10時」を経て「通ったひらがな4文字」を導くということです。
盤面を見ると、「虹」の絵があります。これこそが「にじ(2時)」です。右端真ん中の「期」の文字は、よく見ると「誤字(ごじ)」。ほかに「籤(くじ)」「十字(じゅうじ)」があるので、この4つを順にたどると、通ったひらがなは「さしいれ」です。

「まるの下」の謎

まずは「まるの下」を読んでいきます。●の下の文字を上から読むと「あたよめ」になりますが、これでは正しい答えが導けません。「丸」も含めると「あしたよめ」になります。
「あしたよめ」を「あ」の「下」を読むと捉えると、「くつぞこ」が導けます。

ホワイトデーの謎

「ホワイトデー」の右の文字のフォントと、変換表に並ぶ文字のフォントが同じなことから、数字に対応していると考えると、「ホワイトデー」=ゆせい=628とわかります。
この「ホワイトデー」は二重になっていました。628という数字は、ホワイトデーの日付=3月14日、つまり314の「二重」、倍になっている数字です。
同様に「クリスマス」の3重、つまり1225×3=3675を変換し、「つゆばれ」が答えです。

今年の謎

「○○○○=○=今年」を導くために必要なのは、ずばり干支。赤い○に「ラビット」、青い○に「う」を入れると、「ラビット=う(卯)=今年」が成立します。
2行目も、ラビットの2文字目が消されて「ラット(ねずみ)=3年前」が成立しています。青い○に「う」を入れて、「う①=2年前」「う②=3年後」を考えると、①=し、②=ま(それぞれ、うし、うまになる)。よって答えは「しまうま」です。

僕の仲間の謎

5つのヒントから導けるのは、ずばり「リゾット」です。

1st STEP 解答

以上より、「さしいれ」「くつぞこ」「つゆばれ」「しまうま」「りぞっと」を、アンサーシート上の赤い線で結ばれたマスが同じ文字になるように埋めると、12345は「れいぞうこ」となります。
よって冷蔵庫を探してみると、次の謎が見つかりました。

2nd STEP

冷蔵庫には、ファイルに入った1枚の紙がありました。

左下の謎は手書きで文字が書いてありました

まずはこの4つの謎を解きます。左上の謎は最初には解けないようなので、それ以外に挑みます。

右上の謎

「めいろ」が「メガネ」を経て「ねいろ」になる、つまり《「め」が「ね」》になっています。同様に考えると、「しめきり」の《「し」が「つ」》になり、「つめきり」が導けます。
解くと、作者のコメントとピースが見つかります。

左下の謎

メモには手書きの文字が書かれており、△は「三画」を意味していました。このメモから「3画で書ける文字」を探すと、「お」「さ」「け」が該当します。
解くと、作者のコメントとピースが見つかります。

右下の謎

「今の世紀」は21世紀。「いまのせいき」の「2」「1」文字目を読むと「まい」となります。同様に、「きょう」の「3」「1」文字目は「うき」。「こんげつ」の「1」「2」文字目は「こ」「ん」。「は◇◎」に当てはめると「はんこ」です。
解くと、「座席表」とピースが見つかります。

左上の謎

手に入れた座席表を使って謎を解きます。座席表の枠の左下が切り取られていました。それぞれのアルファベットを「あ段」で読むと、ART=「アラタ」、SKY=「サカヤ」、MY=「マヤ」と、座席表の名字と合致します。よって、AMGS=「あまがさ」が答えです。
解くと、「ルール」とピースが見つかります。

2nd STEP 解答

爪切り、お酒、判子、雨傘を探して得られたピースには、緑色をした面もあるようです。

手に入れたルールを見ると「緑の面を上にする」という指示があるので、それに従ったうえで長方形をつくると、「めもからけすことができるもじけしてよんで」という指示が生まれます。

メモから消すことができる文字とは何でしょうか。「メモ」は先ほどの「△(3画)を読む」謎に登場していました。
これらの文字のうち一部は、実は「フリクションボール」で書かれていました。ストーリーシートにも明示されていたこのボールペンは、「熱を加える(こする)と文字を消す」ことができます(ちなみに冷やすと文字が復活します。だからこの謎は冷蔵庫のなかに入っていたんですね~)。

よってメモを手持ちのフリクションボールでこすると、「い」「す」の2文字だけが残りました。「椅子」を探してみると、次の謎が見つかります。

3rd STEP

部屋の椅子を探すと、1枚の謎と、解答用紙が見つかります。3rd STEPの謎は、「答えとなる3文字の言葉」と「根拠」を見つけることでクリアとなります。

5文字の言葉を導くには

過去に「♣」という記号を目にしています。1st STEPの問題です。この横5×縦8のなかにひとつ、♣があります。そして「僕」とは、2nd STEPで手に入れた情報から「花園」さんです。花園=♣と考えると、2nd STEPで入手した座席表と位置関係が合致します。

「僕の仲間」は1st STEPに登場していた面々(全員名字が3文字だった)です。よって、この5人の名字の場所を読むと、「たからもの」とわかります。この謎は「『たからもの』を作る」ことになります。

空欄のマス目は、1st STEPに登場した盤面を示唆していました(マス目のサイズが同じです)。ここに「たからもの」を作るにはどうすればいいでしょうか。

5文字の言葉を作るには

「たからもの」を作るには、2nd STEPで使ったピースをもう一度使います。これも、1st STEPの盤面と同じサイズのマス目が組み合わさって構成されていました。緑の面ではないほうに注目して、以下のように重ねると、下から2段目に「たからもの」が作れます。

この状態で「赤い文字だけを読む」と、「今年変換し下見ろ」となります。
「今年=2023」を「変換」できるのは、1st STEPの変換表です。

2023=せきせつ、つまり「積雪」の下を、盤面上で見てみましょう。

「浴室」という言葉が導けました。しかしこれは、「3文字の言葉」ではありません。浴室を探してみると……

このようなメッセージが見つかります。このままでは、答えは導けないということです。

答えを導くには

このメッセージを読むと、どうやらこれまでのすべての謎は、作成された当時のままだとわかります(緑の枠がすべての謎にあった)。一方で、緑の枠がなかった「2nd STEPでピースと一緒についていたメモ」には「中学1年のときに作った」「2023年の今や、みんな社会人」という記述があります。

「2023年」を頼りに向かった浴室で答えが見つからないという事実と組み合わせると、「この謎解きゲームは花園という生徒が中学1年のときに作ったが、それは2023年の話ではなく、過去の話である」「ゲーム内は作成当時のままなので、『今年』が2023年でない可能性がある」ことに気づく必要がありました。
では、このゲームが作成された「今年」は何年なのでしょうか。

2nd STEPの謎を振り返ると、「今の世紀」=「21世紀」として進めています。ということは、「今年」は2001年以降であることがわかります。

そのうえで1st STEPの謎を振り返ると、干支を使った問題がありました。「ラビット=う=今年」が成立している(ちなみにこの謎に別解はないと思います)ということから、「今年」は12年前=2011年と確定することができます(24年前だと20世紀になってしまう)。

以上のふたつの「根拠」から、「今年」を「2011」として解きなおしましょう。2011を変換すると、「せきらら(赤裸々)」となります。盤面から「赤」「裸」「々」を探し下を見ると……言葉にはなりません。
ここでもうひとつ発想を切り替えます。「下」とは、「ピースの下」を意味していました。

ピースをめくって、「赤」「裸」「々」の下を見ると、「み」「ら」「い」という3文字が見つかります。これこそが、3rd STEPの答えです!!
「みらい」という言葉を導き出すことができれば、賞金を獲得することができました。よかったよかった。

しかし……

しかし、この謎解きゲームはまだ終わってはいませんでした。
大晦日、「みらい」という正解を導き、年を越し、それなりにテレビを見て、眠りにつき、翌朝、新しい年。
ポストのなかには、束になった年賀状。そこに1枚、妙なものが入っていました。

どうやらあの謎解きゲームを作った生徒から、12年の時を経て年賀状が届いたようです。

裏返すと、メッセージとともに、「LAST STEP」の文字。実は大晦日謎解きゲーム『1年B組の謎』は、まだ終わってはいなかったのです。
ここから、年賀状をめぐる「新年謎解きゲーム」が始まります。最後の謎を解いていきましょう。

LAST STEP

ハガキに書かれた謎には、以下の工程がすべて提示されています。
・2つの紙を青い図形にぴったり重ねる
・【  】を作る
・矢印が示すものを4つ作る
・六角形のなかの指示に従う

重ねるには

まずは「青い図形」に「2つの紙」を「ぴったり」重ねます。つまり、「何らかの紙」と「何らかの青い図形」がぴったり合うということです。これまでの謎にも何か所か青い図形がありましたが、謎解きに出てきた紙に合いそうなものはありません。
注目すべきは「ストーリーシート」です。これにも青い図形がふたつありました。ここにぴったり当てはめられる紙があります。ひとつは、2nd STEPで得たピース。灰色の面を上にすると当てはまります。もうひとつは、まさに年賀状です。

空欄の言葉を導くには

すると新しく謎が出来上がりました。赤い矢印は、2nd STEPに出てきたもの。ということは、「はゅうねん」という文字列が《「め」が「ね」》のように変化していきます。
2nd STEPでは、赤い矢印の上に載っている絵で変化の法則を突き止めました。今回は、赤い矢印のうえにハガキが載っています。つまり《「は」が「き」》となり、「きゅうねん」となります。「旧年(2023年)」でしょうか? しかし赤い矢印はもうひとつあります。引き続き上には年賀状が載っていますが、「き」に変化できる「は」はもうありません。
ここで発想を切り替え、このハガキを「年賀状」、つまり《「ねん」が「じょう」》と捉えます。「きゅうねん」の「ねん」が「じょう」になり、「きゅうじょう」になります。

以上より、はがきを置いて「はがき」かつ「ねんがじょう」と捉えることで、「はゅうねん」の「は」が「き」、「ねん」が「じょう」となり、「きゅうじょう」が導けます。

「空欄の言葉」を作るには

「きゅうじょう」とは「球場」のこと。これを作るにはどうすればよいでしょうか。年賀状をよく見ると、右端に線のかたまりがいくつか描かれています。このうち下の2つのかたまりは……「球場」の部首に見えます。

1st STEPの文字に重ねて「球場」を作ることができました。そうすると、図形の重なりによって、新たに矢印が生み出されます。その先には「赤い星」の文字。今度は「赤い星」を4つ作ります。

「矢印が示すもの」を4つ作るには

これまで使ってきたピースや年賀状には、赤い星のかけらが描かれていました。これらを、違和感のないようにつなげて4つの赤い星を作ります。

このようになります。中心部分では線がつながって、縦長の六角形が生まれました。中を読んでみると、「白い1年ノウしろの2文字の間、変換しよう」という指示となっています。

指示に従うには

「白い1年」の「後ろの2文字の間」を「変換する」ために、まずは「白い1年」を探します。「白い1年」は……

ストーリーシートに書かれていました。タイトル部分が白色の「1年」です。ということは、「白い1年の後ろの2文字」は「B」「組」ということになります。
「B組の間」とはどこなのか。これまでの謎を振り返ってみても、「B」や「組」はストーリーシート以外に見当たりません。

最後の答えとは

しかし「B組の間」は、参加者が確実に目にしています。実は……

年賀状の宛名面に書かれたお年玉くじに、「B」と「組」の表記がありました。
「B組の間」とは、お年玉くじつき年賀状の、そのくじの抽選番号に書かれていました。「B」と「組」のあいだには「0984」の数字

この4桁を、1st STEPの変換表で変換すると……「きんいろ」
過去からやってきたかのような年賀状。そこに眠っていた4桁を変換し、得られるLAST STEPの最後の答えは、「きんいろ」でした!!

ゲームを終えて

以上、「実家へ年越し謎解きゲームを仕掛けたら怖がられた」でした。やった~。以下、ちょっと自分語りをして終わります。

「年越し」はこの場合「12年越し」という意味合いも込めていました。きっかけは、全く年越し謎解きのことを考えていなかったころに「そういえば『はがき』も『ねんがじょう』も『てがみ要素』だな~」という気づきを得たことでして、そこから「年を越してもゲームが終わってなくて謎の年賀状が届いたらキモイな~」という発想になりました。実際元日に届いたときに全員から怖がられましたね。よかった~。

年賀状をいろいろ調べて(年賀状くじの組ってA,B,Cがあるの知ってました?)、「Bと組の間を見ろ」という仮の指示も作ったところで、学校の先生というストーリーを付与しました(年賀状を送りつける理由も欲しいところ。となると架空人物を設定して、そいつが送ってきた……という話が考えられる)。本当は「『3年B組金八先生』を出してカモフラージュする」とかしたかったのですが、そこまでは手が回らず……でも満足です。

条件に合致する組番号を持つ年賀状を求めてあちこちのコンビニと郵便局を歩き回ったのもいい思い出です。6桁の抽選番号ならいざ知らず、ふつう気にしなくてもいい組番号を局員さんに聞きこむのも恥ずかしくて、1時間くらい都内を徘徊していました。見つかってよかった。

大晦日に実際やってみるとデバッグ不足が露呈したり急遽のサポートに入ったりしました(このあたり、ぼくは『謎解きに慣れている』からこそ見落としている視点があるんだなと勉強になった。ほんと想定外の行動をする)が、全体的に納得いくものを作れました。これを超えられるクリエイティブな2024年にしたいですね。

新年の抱負もできたところで、また来年。ありがとうございました。

頂戴したサポートは、よりよい作品づくりに活用させていただきます。よろしくお願いします!