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Q LEAGUE 2023が見せたプレイヤーの"背景"【会いに行こう#02】

「競技クイズとデザイン」という記事を書きました。

そして自分自身もいろんな大会/イベントの実例を目にしよう、いろんなクイズプレイヤーに話を聞こうと行動している最中です。いろんな「クイズ」に会いに行こう。
「つくる(≒アウトプット)」を繰り返してきた自分が、よりよい実例をインプットするI/Oの記事。今回は、「Q LEAGUE 2023」に会いに行ってきました! というより、仕事に行ってきました!

ちなみにこの大会は全編無料アーカイブが公開されております。ぜひご覧ください!

クイズ・エンタメ・イベント

今回は、キュービックさまよりお声かけいただき、この大会の得点表示システム開発として参画いたしました。画面に表示される得点や問題を表示する画面をデザイン・設計し、だれでも操作できるアプリ(というほどでもないですが……)にする仕事でした。

丸一日、特等席(スタッフをやったひとのあるある表現)で参加して、このイベントの魅力はやはり「クイズの総合商社」が仕掛ける「エンターテインメントとしての在り方」だと思いました。司会に芸人のガリットチュウさんを据え、優勝者への賞金50万円を筆頭に総額100万円を供する(しかも参加費が無料で!)。クイズナビゲーションサイト「新・一心精進」に掲載されたなかで、ここまでお金のかかっている大会を知りません。
そのように「お金がかかっている」大会にも、これからの、わたしたちが取り組んでいくクイズに活かせそうな糸口がたくさんあったと思っています。特に、「対決クイズ」からは今後の「クイズの見せ方」を考える起点が多くあったのではないでしょうか。

ベストシーン「対決クイズ」

ペーパークイズの結果発表に始まり(厳密には素敵な前説から始まり)、優勝者が決定するまで見どころは多数でしたが、自分は今回、第3ラウンドの対決クイズがもっともよいシーンだったと考えています。勝ち抜いた20人が順番に相手を指名し、壇上で1対1の対決を行うというものです。指名して対決するルール自体はほかの大会でも採用がされているものですが、「10対戦を1対戦ずつ行う」のはかなり大きな規模だと思います(同時進行することが多いと思う)。よいルール……!
今回は、「指名→対戦」を1回ずつ行うごとに、指名するひと・されたひとの、クイズをよすがとする想いの発露があったのがよかったと思います。それぞれの「背景」がある20人が集まり、「いま、勝って一番うれしいひと」「戦う機会のないひと」「口に出したくない名前」、さまざまな理由で勝負を挑む/挑まれる場面の連続は、競技クイズというコンテンツを10年追ってきた自分への褒美のような印象を受けていました。

これからの「観るクイズ」に向けて

対戦は5ポイント先取の短期決戦ながら、ガリットチュウさんの司会をはじめとした各要素によって、指名時点からかなり会場のボルテージが上がっていたと思います(特に第10対戦、その日はじめて見た特徴を取り上げて……という盛り上げ方はふだんの大会ではなかなか見ないですね)。
ただ、この各対戦の面白さにはやはり、先述した「背景」も欠かせなかったと思います。「このひとがあのひとを!?」という声で会場が包まれた瞬間もあったのではないでしょうか。
「観るクイズ(=享受者)」の存在が明らかとなっているなか、今回のように「プレイヤー(どうし)」という個の存在に着目した盛り上げ方もあるのでは、と考えています。

クイズを楽しんでいるひとたちには、クイズイベントを観るだけではわからない特徴的な背景が多くあります。得意なジャンル、ふだんの仕事、サークルの活動、SNSのアカウント、作っている問題……。このあたりを知ったうえで観るクイズはどう映るのか(反対に、知らずに観て伝わっているのか/伝わらなかったとしたら観るひとはどう思うのか)はとても気になっているところです。10年もいると、わからなくなるからです。

また自分は、作問するひとも違えばルールも違う 同一指標で語れないのがクイズの良さと捉えていますが、ここに「同じ大会」という軸があれば、ひとつの競技で戦ってきた連続性を帯びて、選手同士の「わかりやすい」関係を取り上げることが可能になると考えています。定数的なデータを取りまとめ、「過去どうだった」のようなバックボーンを広くリリースできるようになるのがよいのではないでしょうか(もっとも、規模が拡大したら相対的な成績が変わりうるのは考慮すべき)。

さいごに

Q LEAGUE 2023に会いに行きました。ありがとうございました。
この大会では賞金や進行といったところに特長を見出しがちですが、その根底に流れている「”競技クイズ”というコンテンツと、それを支えるひとと、そのひとについて」の存在を楽しめたのがよかったと感じています。
ただこれは現状、簡単に言ってしまうと「内輪」に近いという側面もあります。あとはこの記事の最初でも再掲載した自分の考えに則って、このコンテンツの「どこ」を「どれだけ」輪の外へ広めていくのか見極めつつ取り組んでいく、そういったかたちのアウトプットができればよいと思っています。

前回では「Megalomania Tokyo 4」に参加し、「『壇上がある』『筆記落ちがある』『解答権を独り占めする』大会に多く関わってきましたし、これからも関わっていくと思います」と書きました。今回はそのような大会のひとつであり、ステージの早押しボタン付き解答席へ全員の目が注がれる現場と、その空間がもたらす盛り上がりを体験できました。少しでも協力できたのであれば幸いですし、自分は今後の現場で参考になるところを持って帰れたと思います。
ちなみに作った得点表示アプリは、珍しく他のひとに触っていただく設計でしたがほぼミスなく安心でした!

ありがとうございました。

こぼれ話: 動画にも収録されている「20位決定サドンデス(ちゃんと動画を見てほしい)」はシューマッハ中村さんが楽屋で助言して実現した


saQuna/さくな
Web/SNSの統轄責任者として「abc/EQIDEN」2022年・2023年大会に参画。その他の担当クイズ大会に「"ONLY MY QUIZ" new generations(メインスタッフ)」「mono-series'19(問題チーフ)」「abc-west 3rd(デザイン・得点表示)」「saQunaたんたるひまたんダイキリクイズ(メインスタッフ)」など。2023年6月には個人大会「IRODORI ONSTAGE」を開催。
立命館大学クイズソサエティーを経て現在は社会人。


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