真正面から描けない愛の物語 ~小野美由紀「ピュア」を読んで~
前置き 短編集を買うのが好きだ。特に、初めて読む作家さんの小説は、短編から入ることが多い。
なんでかって言えば、短編は著者の技量がある程度ぱっとわかるからだ。自分に合うかどうかも判断しやすい。とりあえず1作読んでみる、というのが気軽にできる。最初の1作を読んで、残りの作品を読むかどうか決めるので、判断に時間もあまりかからない。だから、短編が好きだ。
同時に書き手としてはこう思う。短編小説というのは難しい。特にSFだったりファンタジーだったり、世界設定が複雑な作品になれ